第16章 CIA、異界の門を開く
私はエカテリーナに緊急招集をかけた
死神ちゃんも異変に気づいて休憩室から出てきた。
チャラ男と河太郎さんは配達に出たばかりだ
大五郎さんに店番をお願いして、私と死神ちゃんと2人で猫又についていく
エカテリーナには後で位置情報を送っておこう
猫又チロには外で待機してもらい
エカテリーナが来た時の目印になってもらう
恐る恐る中に入ってみる
暗い
カビ臭い
部屋の中には、
猫の山
猫
猫
猫
猫
猫の山
チビがいた!!!
あの直角に曲がった
カギしっぽ
間違いない
よかった、、無事だった
よく見ると、中には黒い大きな毛の塊がある
死神ちゃんが確認に行った
「毛羽毛現だね現世に出てくるなんて珍しい」
猫の山からモゾモゾ出て来た毛羽毛現は私たちの前に座った
座ったんだと思う
全部毛で覆われているからわからない
事情を聞くと
「異界の門が
開いてしまっていたらしく
こっちの世界にうっかり出てきてしまった
帰りたいけど、帰れない、、
何とかここを見つけて隠れていたんだけど
もう一週間もここに居る
このモフモフが、猫たちを引き寄せてしまっているらしくて
どんどん集まってくるんだよ
猫たちから生気を少しずつもらって何とかしのいでいた
寂しかったから、ちょうどよかったんだけど
このままだったら、自分も猫も共倒れになってしまう」
その時外でけたたましいタイヤのスリップ音がした
エカテリーナがチロを抱いて部屋に勢いよく入って来た
髪は乱れ
ジャージ姿
サンダル履いてる
いつもビシッと決まってるエカテリーナじゃない姿は
普通の女の子みたいで可愛かった、、、
ん!
プラダのサンダル
ドルチェ&ガッバーナのジャージ、、、、
前言撤回
なんかムカつく
三人寄れば文殊の知恵
だったっけ
文殊って何?!
三本の弓?
まぁどうでも良いけど
作戦会議だ!
「ねえ死神ちゃん
そもそも異界の門って何?」
「そこから〜!
わかりやすく言うと君がクシナダヒメの櫛をつけて正拳突きしたでしょ?」
「ああ
それが冥府に送る門って訳ね
でも今クシナダさん帰省中じゃない
またケーキで釣って召喚するの?
でもあれって私たち悪魔専用なんじゃないの?」
「そこがわからないんだよ
ヒメ様が居てくれたら確認できたんだけど、、
どっちにしても今は神無月だし、その作戦は使えないね」
作戦会議開始早々3分で
行き詰まった
「誰か妖怪でも神様でも人間でも良いから門を開けられる人っていないかしら、、、」
「チャマ!!」
「CIA!!」
「宮内!!」
三人がそれぞれの答えに辿り着いた瞬間だった
電話をすると会議中だって言ってる
暇そうなので今から迎えに行くって言って電話を切った
エカテリーナがポルシェのお尻を左右に振りながら勢いよく出ていった
よかった
一緒に行かなくて
一時間ぐらい待ってたら
ポルシェが横向きになって止まった
目の前に青い顔のCIAチャマが地面に座り込んでゼイゼイ言ってる
あの荒波に良く耐えて
気絶しなかった事は
心の中で褒めてあげよう
チャマの言いつけ通り空いている部屋を片づけて綺麗に掃除をした
チャマが黒い大きな鞄から
白木の小さな台、和紙、墨、朱、五色の紐、小さな鏡、榊、米、塩、水――と説明しながら次々と出してくる
なんかすごくめんどくさそう
しかもチャマ
目が怖い
「結界を張ります」
「まず部屋の四隅と中央、五か所に札を置き
そこから五色の紐を張って、部屋そのものを小さな祭場にします」
なんかドヤ顔して得意げ
なんかムカつく
「そして重要なのが門を開く場所」
「壁に札を貼る方式だと大きな門ができません
床に二本の白木を立てて、その間に一本渡す」
鳥居みたいな形の物が部屋の中央にできた
チャマが着物みたいなのを羽織ったり帽子みたいなのを被ったり
いつ始めんだよって突っ込もうかと思っていた時
「東に青、南に朱、西に白、北に玄。中央に土を据え、五気をもって境を定む。此岸に在らざる道、彼岸に在らざる門。名を持たぬ境よ、今ひととき道となれ」
最後の札を鏡に貼る。
「ふんぬらばぁ〜!!!」
その瞬間
五本の紐が、風もないのに震える
水を張った器に波紋
部屋の照明が一度だけ落ちる
パン
宮内が柏手
壁だったはずの白木の向こうが霧で包まれる
チャマが最後に、毛羽毛現から抜いた一本の毛を札に包んで燃やす
臭い、、、、
毛を燃やすとなんでこんなに臭い匂いがするんだろう
早くおわんないかなぁ〜
「これを行き先の指定にします」
煙が門へ吸い込まれていく
暗闇の向こうに、ぼんやり提灯が見えて来た
すげっ!
チャマやれば出来るやつじゃん!!
なんか真剣な顔してるから
黙ってる事にした
「できました!!
早く毛羽毛現を門に!!」
モゾモゾと毛羽毛現は異界の門に入って消えた
提灯が並ぶ商店街が輪郭をはっきりさせて見えて来た
なんか見覚えのある
お店、、?
「このジャージとハイテングワールドのトートバッグを買ったお店じゃん!」
そう言ったかと思ったら門がいきなり渦巻きのように消えていった
「君はどうやって、、、
その、、
異界の商店街?
に行っているのですか?」
ハァハァ言いながらチャマが聞いて来た
「浅草橋でいろんなお店を見て回っていると気になるお店の前に出てくるの
このジャージ上下で¥1050円
色落ちしないし
型崩れしないし
丈夫だから気に入ってるの」
チャマが言うには
このジャージは女郎蜘蛛の糸で作られているかもしれません
とか言って私のジャージを引っ張ったり擦ったりしている
「欲しい、、、、」
「え?」
「私も欲しいです」
「じゃあ今度浅草橋に買い物に行った時買って来てあげる?」
「是非!!!目立たない色で
定番の形で
スーツにも似合うブルゾンのような物をエムサイズでお願いしても良いですか?」
エカテリーナが割り込んでくる
「では今回のそちらの依頼料はそのブルゾンで良いかしら?」
「んんんんん〜、、、夏物と冬物を二点と言う事であれば、、、」
「交渉成立ね」
KGBに帰ってきた
黒猫チビと猫又チロがお腹を空かせているんじゃないかと思って、私が焼いた
自分たちがいつも食べてる鯖をご馳走してあげた
くんくんしてたと思ったら
2匹の猫は
顔を背けてフレーメン反応
ん?
フレーメン反応?
黒猫なんかトイレに砂をかける仕草までする
私たちが毎日食べている
この鯖
野良猫も食べない。




