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第15章 焼き鯖と黒猫

大五郎弁当の新作が決まった

1日10食限定炭火焼き鯖弁当900円

木場の会社に勤めていた時に、ドライバーさんから篠崎においしい炭火焼のお弁当屋さんがあるって聞いたから、ウチでも真似してみようかと思って提案したけど

難しい

うまく焼けない

大五郎さんに炭を作ってもらって七輪を用意する。

日の出とともに、大家さんには内緒だけど屋上で鯖を焼く


また失敗


「んんんー」


伸びをして次の鯖を網に置く


練習あるのみ

最近のみんなの朝ご飯は焦げた鯖、、、

ごめんね、、、


またボロボロになってしまった


皮が網にくっつくし


炎が上がって、鯖は真っ黒


自分で言い出したから

絶対成功させてやるんだ!


紫からピンク。そしてオレンジにグラデーションしている空に鯖のけむりが吸い込まれていく


自主練を終えて朝のお弁当の盛り付けの仕事の時間だ

焦げた鯖を片手に階段を降りながら

今度カッパ橋行って便利グッズ探して来ようと決意した


お弁当の盛り付けも無事終了し

チャラ男と河太郎さんが配達に出て一段落


河太郎さんはこの間の依頼料を働いて返す

とか言って毎日朝手伝いに来てくれる

午後からは銭湯の仕事

あんまり働きすぎなければいいんだけど


コンビニの喫煙所でIQOSを吸ってると

黒い子猫がやって来た

短くて直角に曲がった見事な鍵尻尾


すりすりすりすり


「何、可愛い子

鯖の匂いにつられてきたの?

私、鯖の匂いする?」


子猫を撫でる、

小指を甘噛みする子猫

引っ張られる


「ちょっと痛いよ」


頭を撫でようとする。

さっと離れてこっちを振り向いている。


また寄ってきた。


今度はズボンの裾を引っ張り、

まるで私に一緒に行こうって言ってるみたい。


どうせ暇だしついて行くか!


子猫は前を歩き、時々後ろを振り向いて私がついてくるのを確認している。

かわいい


ビルとビルの隙間を抜けていく。

猫の道はなかなかスリリングで厳しい。

室外機をやっと乗り越えたら子猫を見失った


耳をすますとミュウミュウと言っている


そっちに足を向ける


網の箱の前に子猫がいた


網の中には白い大きな猫、そうか。捕獲器に捕まったこの猫を助けたくて、

私を呼びに来たのね


なんて賢い子


網の中の白猫は、左右の目の色がグリーンとブルー

とってもきれい

そして、しっぽは


ん?

あれ?


2本ある、、


「助かった。早く出して」


ああああ〜やっぱりしゃべるのね、、、


白猫はかわいい声で

白妙金碧双眸猫又大明神

(しろたえこんぺきそうぼう・ねこまただいみょうじん)

だと名乗った

覚えられるわけがない

けどなんか

可愛い


捕獲器から助け出して

事情を聞くと


「自分は猫又だから食べなくても大丈夫なんだけど、

このチビがちょっと前からずっとついて回ってる

お腹を空かしているみたいだからタニシさんの所の油揚げをもらいに行って食べさせてあげたら離れないんだよ」


「それで、慣れない食べ物探しをしていたら

この有様だよっ、、、」


恥ずかしそうに説明している

可愛すぎる


もう二匹とも可愛いからKGBに連れて帰って来た

しゃべる猫だよ

しかも、かわいい声で

僕とか言ってるし

しかも、子猫を助けてあげる。優しい子

エカテリーナに自慢しよう

絶対キュン死するはず



みんなで囲んで

黒猫にミルクをあげる

顔を全部突っ込んで溺れるんじゃないかと思う位の飲み方をしている

かわ〜いい


エカテリーナはまだ来ない

早く来ないかなっ!


びんちゃんが奥から出て来た


「あの私にもミルクをいただけませんか?」


「あんたは可愛くないからあげません!」


「そんなこと言わずに

最近、朝から炭を食べているので、ちょっと喉がイガイガして

口の中もさっぱりさせたいし」


「あれは鯖です、嫌なら食べなくていいですから

無理して食べなくてもいいんですよ!」


「あれは鯖だったんですね

鯖風味の炭かと思っていました」


絶対うまく焼けるようになってやる!!!

決意を固めていると


猫又が変なこと言ってきた


「最近ね、この辺りの猫たちがいなくなってるんだよ

あの罠のせいかもしれないけど、、

あれはなんだい?

あの罠に捕まるとどうなるの?」


猫又は可愛い声で聞いてきた


そこで桜耳の話をする


「僕の耳が切られるなんて考えるだけでもぞっとする

しかも、去勢されるんだって!!

冗談じゃない!!」


怒った顔も可愛い


チャリン

鍵が落ちる音がした

エカテリーナが後ろにいた

猫又を凝視している


ぎこちなくカクカクしながらカウンターに向かって行く


「チロ、、、、」

いつの間にか現れたわらしちゃんが猫又を撫でながらつぶやいている


「わらしちゃんこの子知ってるの?」


「いや、昔あの家にいた白い猫に似ていただけ」


「チロって呼んでいい?」


猫又は、ゆっくり瞬きを繰り返しながら


「いいよ」


「助けてくれてありがとう

また、チビの食べ物もらいに来てもいいかなぁ

これからは気をつけるよ」


と言うと、猫又は2本のしっぽで黒猫を絡み取ると背中に乗せてKGBを後にした


最後のあれは反則だ

わらしちゃんとの絡みも

そしてあの二本のしっぽも、、、、

私もエカテリーナも腰が砕けたように、床に座り込み猫又を見送った


次の日の朝

猫又がバタバタとやってきた


「昨日の夜からチビがいなくなった」


「臭いをたどると

一軒の空き家の前まで続いている。

相手が人間だったらめんどくさいから。

お前助けてくれないか?」


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