第11章 海老天と招き猫
「お嬢良いとこで会った
ちょいと一緒にそばでも行くかい?」
「車は今度の金曜日に届けてやれると思う」
本所の岸さんが
黒いハット
びしっとした着物
手には
つやつやのステッキ
それをぐるぐる回しながら
ニコニコして近づいてきた
金曜日か〜そのまま箱根に行ってもいいかな〜
今日は
河太郎さんが朝からきゅうりを持ってきてくれた
それで弁当屋も手伝うって言うんで、私は急遽お休みをもらってしまった
エカテリーナは弁当の仕込みの匂いが服につくからって、午前中はKGBに寄り付かない
どうせ午後からまた戻るから、近所散歩することにした
その途中で土地神様にそばをおごってもらうことになった
今懐はあったかいけど
おごってくれるんなら遠慮はしない
ラッキー!!!
好きなもん食っていいぞって言うから
躊躇なく
大海老天ぷらそば¥1,850-
を頼んだ
大海老!!
期待が膨らむ
土地神は冷の日本酒と板わさ
それと、もりそばを頼んでいる
目の前にお通しと
板わさと日本酒が、、、
天ぷらそばはまだ来ない
私の海老がまだ来ない。私の大海老が、、、、
「板わさ食うかい?」
「いいのっ」
「そんな目で見られたらくれねぇわけにはいかねーだろが」
そんな物欲しそうな目で見ていたのかしら
ちょっと恥ずかしい
土地神様は追加でもう1つ板わさを頼んでくれた
「お嬢は美味そうに食うな
食いもんは好きかい?」
板わさってうまい
「うん大好き」
キタァ〜
大海老天ぷら蕎麦!!!
「蕎麦前って言ってなぁ、、、、、」
「うんうん」
サクサク熱々
中身太っ!
上顎火傷した
水!水!!
「更科は白くて上品だろう?
山手の食い物って言う奴もいる
田舎そばはその逆で、下町の食い物だって、、、」
「うんうん」
「私はどっちも好き」
やばい尻尾まで身がギッシリ!!
尻尾カリカリでうまい
「お嬢は本当に幸せそうに食うなぁ〜」
「うん、海老大好きなんだもん」
「なあ、お嬢
この店も今週で店じまいするんだよ息子は証券会社でバリバリやってるらしいからなぁ
1つ頼みがあるんだけどよぉ〜」
「うんうん何でも言って」
ドン!
「ん、、、」
目の前に大きな古い
まねき猫が
目が合った
そして
ゆっくり私に瞬きをした
カランカラン
「ただまぁ〜」
「それであんたは海老に釣られてまた厄介なものを引き受けてきたってわけね!」
「エカテリーナ
そこは違うわ
大海老よ!大海老!!」
「そんな事はどうでもいいのよ!あんた安請け合いしすぎ」
背中に招き猫を縛りつけた私を
エカテリーナ
死神ちゃん
わらしちゃん
大五郎さんまでが大笑いしている
お弁当の配達から帰ってきたチャラ男は、私の背中の招き猫と正面から向き合うことになった
「ヒェッ!
主人!この置物今瞬きしましたよ」
「あら、良かったじゃない、猫の瞬きは敵意がないと言う意思表示なのよ」
さすがエカテリーナ、私が思った通り猫撫士だわ
ん?
貧乏神のビンちゃんだけ、こそこそとトイレに逃げるように入っていった、、
もしかして
貧乏神って?
福の神の招き猫に弱いの!?
毎日、入り浸ってるから
猫よけみたいに貧乏神よけになるんじゃない?
瞬きをするまねきねこをカウンターに置いてもらって私は今日の事の顛末を皆に説明した。
「今日、土地神様に教えて貰った粋な大人のそば講座を教えてあげる」
「板わさは天ぷら揚げてる時間の前菜で、田舎蕎麦と白いサラシ蕎麦があってどっちかが下町の食いもんで、
後なんだっけ、、、」
死神ちゃんがツッコミを入れてきた
「イツキは海老の誘惑に勝てなかったんでしょう?
更科と田舎の地域性の話ってことでしょ?」
「そうそう、それよ!
でも、1つだけ違うわ
大海老よ!」




