ストーンアテナの一コマ(SS集) 9
各話の登場キャラクター
【アテナイレブン】サファイア・トルマリン・ネフライト
【宝石たちのバレンタイン】トパーズ・アメジスト・ロッククリスタル
【サファイアの小説】ロードナイト・オブシディアン・スピネル
【縞模様の世界】ガーネット・トルマリン・メノウ
【アテナイレブン】
その瞬間、トルマリンとネフライトの声が重なった。
「「名づけて『アテナイレブン』!!」」
(?? 何の話してるんだろう…)
通りかかったサファイアが首を傾げていると、ネフライトが彼女に気づく。
「サファイア、いい所に来てくれたね。良かったら僕たちのサッカー談議を聞いてくれないかい?」
そのネフライトの言葉に続き、トルマリンも説明をはじめる。
「今この屋敷には十人のストーンアテナがいますので、サッカーチームが作れそうだと盛り上がっていたんです。勿論例えばの話で、実際に活動したいということではありませんのでご安心ください」
「そうだったんですね。あと一人はクリスタルさんですか?」
人見知りのサファイアは、気を遣わせてしまって申し訳ないと思いつつ尋ねた。
「はい。クリスタルさんには是非、守護神のゴールキーパーをお願いしたい所です」
「日本産宝石代表のクリスタルさんなら、最後の砦に相応しいですね」
「そして彼女の手前のセンターバック(DF)に、サファイアとスピネルが就いてくれたら守りは完璧だ」
「え、そ、それは責任重大…ですが、防御力なら、お役に立てるかと思います」
サファイアは少し怯むが、自分の得意分野であればと頷く。
「お二人は劈開(※)がなく、硬度も高い強靭な宝石ですからね。因みに私とネフライトさんはボランチ(守備的MF)を務めます」
※割れやすい方向のこと
「僕は劈開があるけど、耐久性には自信があってね。頭脳派のトルマリンと組めるなんて光栄だよ」
「こういうお話って、何だかわくわくしますね。是非、他の皆さんのポジションも教えて下さい」
~アテナイレブン スタメン表~
FW ガーネット、メノウ
攻撃的MF トパーズ、ロードナイト
守備的MF トルマリン、ネフライト
サイドバックDF オブシディアン、アメジスト
センターバックDF サファイア、スピネル
GK ロッククリスタル
―おわり―
【宝石たちのバレンタイン】
屋敷の台所にて、嬉しそうなトパーズ。
「ありがとう、クリスタル。まさか日本産のカカオ豆を入手してきてくれるなんて流石だよ」
「お安い御用だ。日本生まれの宝石として、自国の産業を応援する機会でもあったからな」
頼もしいロッククリスタルの言葉に、アメジストが微笑む。
「私たちも頑張って、こだわりのチョコレートを作りましょう」
「うん。皆にも『楽しみにしてて』って言ってあるしね」
「予め自らにプレッシャーを与えて挑んでいるのか。君たちは凄いな」
「うふふ、期待されると気合いが入りますから。喜んで貰えたら幸せですもの」
「サプライズでも良かったんだけど、他の皆と被るといけないからさ。今回は私たちに任せて貰うことになったんだ」
「そうか。他にも何か手伝えることがあれば言ってくれ」
「良いんですか? 色々と工程が多いので、万能な光属性のクリスタルさんが居て下さると助かります」
アメジストがそう言うと、トパーズもロッククリスタルにお礼を伝える。
「ありがとう。基本的には普通の作り方で進めるけど、所々のさじ加減にアテナの能力を使えたらって思ってたんだよね」
「了解した。製造方法の知識はないが、二人の要望は忠実に具現化して見せよう」
(素敵なバレンタインデーになりますように)
アメジストは心の中で、そっと祈った。
―おわり―
【サファイアの小説】
スピネルが何かを手に、ロードナイトに声をかけている。
「あ、あの、すみません」
「スピネルさん! どうなさったんですの?」
「この冊子、居間の棚の上に置いてあったんですが、誰…どなたの物か分かりますか?」
ロードナイトと一緒にいたオブシディアンは、それを見てすぐに分かった。
(あっ、これ…サファイアさんが趣味で書いて、自分用にだけ手作りしてる小説冊子だ。置き忘れたのかな)
「ごめんなさい、わたくしは存じ上げておりませんわ。少々お待ちくださいませ。皆さんに忘れ物をしていないか聞いて参りますわ」
「待ってドナちゃん。私、心当たりあるから、あんまり皆には広めないように…」
「本当ですか、ディアさん! 私、これの作者さんが知りたくて! あの、えと、とても面白かったので…」
「そうなんですのね。でもそれでしたら、本に著者名が書いてありませんか?」
「多分この『薬研』っていうのが作者さんだと思うんですけど、調べても分からなくて…」
「…ヒントは、薬研山が著名な産地のストーンアテナです」
小説に好意的なようだし話しても大丈夫かな、と考えたオブシディアンはヒントを出す。
するとスピネルより先に、ストーンアテナオタクのロードナイトが反応した。
「えっ、サファイアさんがお書きになったんですの!? スピネルさん、わたくしにも読ませて下さいませ!」
「え、サファイアさん……?」
ワンテンポ遅れて反応するスピネルは、思わず冊子を見つめた。
(マジか、流石コランダム(※)……後で差し入れ用のお菓子買いに行こ)
※サファイア・ルビーの鉱物名
―おわり―
【縞模様の世界】
「メノウちゃんの縞模様って、不思議な空間が広がる感じがして素敵だよね!」
ある日、ガーネットがそんなことを言った。
「ありがとうございます! 同じ模様は一つもないので、色んな個体を楽しんで貰えたら嬉しいです」
嬉しそうに応えるメノウに、トルマリンが頷いて続ける。
「それぞれの模様から違う世界を読み取ることができる……つまり、異世界への扉という訳ですね」
「異世界! あったらちょっと行ってみたいなー」
ガーネットが楽しそうに話に乗ると、メノウが首を傾げた。
「うーん……あるとしたら、どんな所だと思いますか?」
「メノウさんの模様のように、数多の異なる世界があるのだろうと思います。ここと似ていたり、似ていなかったり、あらゆる可能性があるかと」
「なるほどー。それなら私は、柘榴がいっぱいある世界に行ってみようっと!」
相変わらず、ガーネットは柘榴を好んでいる。
「自分で選んで行くのって良いですね! 皆が自分の思い描く世界を、模様から感じ取ってくれますように」
「大丈夫ですよ。メノウさんとご縁がある人ならば、きっと自ら選択ができる人間です」
「最初に沢山の模様の中から選んでるんだもんね。所で二人はどんな異世界に行ってみたい?」
ガーネットが尋ねると、メノウとトルマリンはそれぞれ応えた。
「私は楽器とお喋りができる世界に行ってみたいです!」
「様々な宇宙産宝石と交流が盛んな世界で、宇宙や宝石についての見聞を広げたいですね」
―おわり―




