ストーンアテナの一コマ(SS集) 10
各話の登場キャラクター
【各々の趣味】サファイア・オブシディアン・スピネル
【雪】ガーネット・ロッククリスタル・ネフライト
【寄せ鍋の具】トルマリン・トパーズ・ロードナイト
【怖いモノ】ロードナイト・オブシディアン・メノウ
【各々の趣味】
「凄く美味しいですね、このシュークリーム。カスタードが濃厚で甘過ぎなくて絶妙です」
オブシディアンが感嘆すると、サファイアは嬉しそうに微笑んだ。
「そうなんです。この間スピさんが差し入れで下さったんですけど、凄く美味しくてすぐに自分でも買ってしまいました」
そんな二人の様子にホッとするスピネルが、控えめに声を出す。
「気に入って貰えて良かったです。ミニサイズなので執筆の合間にも、つまみやすいかと思いまして…」
「お気遣いありがとうございます。それに拙い小説を沢山褒めて下さって、元気が出ました」
スピネルは先日ひょんなことから、サファイアの書く小説と運命の出会いをしていた。
「その、本当に素敵でしたので……趣味であんな風に作品を創れるなんて、羨ましいです」
「スピちゃんはたまにメノウちゃんと歌を歌ってるけど、曲作りとかはしないの?」
そこへオブシディアンが、ふとスピネルに尋ねる。
「えっ、あ、あれは……メノウちゃんはともかく、私は只のカラオケですよ。私は絵を描くほうが好きなので……」
「絵が描けるんですか? 凄いですね、私はそのほうが羨ましいです。もし良かったら今度見せて下さい。あ、勿論、無理にとは言いませんので……」
「私も見たいな。気が向いたらで良いから。というか、サファイアさんの小説の挿絵描くのはどうですか?」
「ひえっ!? そ、そんな、恐れ多いです。描くのは好きですけど、得意ではないので……!」
慌てふためくスピネルに、サファイアは微笑む。
「そんなことないですよ。私は小説を読み込んで下さるスピさんに絵を描いて貰えたら、とても嬉しいです」
(それにしてもスピちゃんはリアクションとか趣味とか色々、サファイアさんに似てるなあ)
何だか可愛らしいやり取りを眺め、オブシディアンはシュークリームを頬張りながら思った。
―おわり―
【雪】
「クリちゃん、ネフちゃん、雪が降って来たよ! かまくら作れるかな?」
窓の外を見ていたガーネットが、そう言いながら笑顔で振り返った。
「うーん、天気予報を見る限りだとちょっと難しいね。そこまでは積もってくれなさそうだ」
ネフライトが応えると、ロッククリスタルも続ける。
「この辺りは雪がさほど降らない地域だからな。あまり積雪が多いと危険にもなるし、雪だるまでは駄目か?」
「全然OKだよ、楽しみ! 二人とも、雪だるま一緒に作ってくれる?」
「良いよ。僕とゆかりの深い地域が豪雪地帯でね。雪には慣れているんだ」
外の雪を眺めて言うネフライトに、ロッククリスタルが目を向けた。
「新潟は全県指定の豪雪地帯だったな。鉱物としての強靭さもしかり、君の強さの源を感じる」
「あれ、そういえばクリちゃんは雪の少ない山梨と繋がりが強いのに、雪山とか全然平気だよね」
首を傾げるガーネットに、ネフライトが微笑む。
「それは、ストーンアテナを形成するものが多岐にわたるからさ。クリスタルの場合は全国各地で産出するから、というのもあるだろうけどね」
「そうだな。私は長野の林檎や岐阜の五平餅が特に好きだが、山梨の葡萄も勿論好きだ」
「…想像したらお腹空いてきちゃった。雪が積もるまでおやつにしない?」
「ふふ、構わないよ。最高の雪だるま作りの為に、英気を養おうじゃないか」
楽しそうなネフライトの返事に、ロッククリスタルも頷いた。
「腹が減っては何とやら、ということだな」
―おわり―
【寄せ鍋の具】
「それでは、『今晩の寄せ鍋に入れて欲しい具材』アンケートの結果を報告致しますわ!」
買い出し班員のロードナイトが告げると、トパーズが笑って応える。
「集計ありがとう、ロードナイト。とりあえず全員違うものなんだろうな、っていうのは予想してるよ」
「お疲れ様です、ロードナイトさん。主からは好きな物を買ってよいと言われていますから、具だくさんになっても大丈夫でしょう」
同じく買い出し班員のトルマリンも、ロードナイトを労った。
「まずお魚系はトルマリンさんから鱈、アメジストさんから鯛、メノウさんからいわし団子のリクエストですわ」
「そういえばアメジストは、好きな縁起物が鯛だったっけ。お鍋だと優しい味になって美味しそうだね」
トパーズが具材を思い浮かべながら、そんなことを言う。
「お野菜系はサファイアさんから白菜、ディアちゃんから人参、スピさんからもやしとなっていますわ」
「スピネルさんはもやしのお味噌汁もお好きですし、炒めるより煮る派なのですね」
「その他の具材はトパーズさんとガーネットさんから椎茸、ネフライトさんからお豆腐ですわ」
「流石、ドクター・ネフライトは胃に優しい食材を選ぶねえ」
因みにネフライトは、治癒能力の高いストーンアテナである。
「ロードナイトさんのリクエストがありませんが、もしかして鍋料理はお嫌いでしたか?」
「とんでもないですわ! わたくしはアテナちゃん達が幸せそうにお鍋をつつく様子を想像しただけで、お腹が膨れてしまって…」
※ロードナイトはストーンアテナオタク
「あはは、ロードナイトらしいね。お店に行けば目に留まる物もあると思うから、ひとまず買い出しに行こうか!」
―おわり―
【怖いモノ】
「ディアちゃん、サスペンス映画って迫力がありますのね…」
ロードナイトが薄暗い部屋から顔を覗かせ、通りがかったオブシディアンに声をかけた。
「それって、凄い怖いやつじゃなかったっけ? ドナちゃん、よく観たね。私は無理かな……」
そこへ突然、ふわっと人影が現れる。
「何してるの?」
「ひょわああああ!!! め、メノウさん。映画の俳優さんのように美しい声でしたので驚きましたわ」
「…本当、よく一人で完遂したね。流石ドナちゃん」
「あ、サスペンス観てたんだ。こういうのって、超常現象よりよっぽど怖かったりするもんね」
メノウは部屋の中をチラッと見て察すると、あっけらかんと言った。
「人々の心の奥底まで知ることは不可能ですし、わたくしは無力ですわ…」
「ドナちゃんは優しいね。とりあえず、この屋敷に人間は主さんしか居ないから大丈夫だよ」
人間の心の闇に戸惑うロードナイトを、オブシディアンが気遣って応える。
「邪気払いなら私と、ディアちゃんも得意だよね!」
黒瑪瑙のパワーストーン効果である邪気払い能力を持つメノウが、同じく邪気払いに強いオブシディアンを見やった。
「うん。あと、お清めの日本酒とかも普通に効くし。台所から取ってくるね」
「アメちゃんが日本酒好きだから、自分用に持ってるかも。私も聞いてくる!」
※アメちゃん=アメジスト
オブシディアンとメノウは、それぞれロードナイトの為に足早に去っていく。
「ちょ、待っ……邪気払いのできるお二人に置いていかれたら、わたくしはどうすれば!?」
―おわり―




