シャイン・レジェンドの輝き
第七レースのピット裏。チームシャインの三人は、静かにタバコをくゆらせながら、自らの機体から立ち上る神々しい光を確かめていた。
「今日の宮島の太陽は、わしのシャイン・ブレードとの相性が最高やわい。プロペラの鏡面が、光を完全にハイドロエッジの裏側へ誘導できとる」
東野寧さんが、自分の磨き上げたプロペラを愛おしそうに撫でる。その鏡面加工の精度は、理論上の限界点に達していた。
「マブイなんか要らんわ。わしらの髪の毛はとっくに引退しとるが、その分、プロペラの叩き方なら現役の若造には負けん!」
宮本太一さんが笑うと、その頭頂部が宮島の夕陽を受けて、意図せず光り輝いた。スリット付近の西野貴志さんが「何だ、この眩しさはッ!」と目をくらませたのは、シャイン・ブレードの鏡面連鎖に加え、三人の磨き上げられた頭頂部が生み出した思わぬ反射光のせいでもあった。
「あれは狙ったんか?」と長谷川一樹さんが聞くと、宮本さんは首を振った。「人生の経験が、全部光になっとる。それだけや」
ピット裏で、誠はモニター越しにその眩い光の連鎖を見て、思わずサングラスをかけ直した。膝の上でスーが短く鼻を鳴らした。
「……あれが、兵庫の職人魂か。プロペラと、それから……人生そのものが光っているんだな」
「師匠、あれを見たら、私たちの「玉ノ井」の数式も、もっとシンプルにする必要があるかもしれないっす……。光を避けるんじゃなくて、光そのものを味方にする……!」
あかりの言葉に、誠は深く頷いた。
宮島の夕陽が沈み、今や東野さんたちの頭頂部は、夜の帳を切り裂く灯台のように輝きを放っている。若い天才たちが「黒影」や「金属性」で争う中、彼らはただ、自分たちの磨いてきた技術と、思わぬ副産物として光り続ける頭頂部で、聖地を静かに支配していた。




