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からくり競艇 ~黄金の波切り、魂のスロットル  作者: 水前寺鯉太郎
第2章:駆け出し編

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7/70

高松の旋風、三連単ラインvs女王の30mダッシュ

2027年6月中旬

香川高松競艇場での、優勝戦。

降りしきる雨の中、瀬戸内の水面が荒れ狂う。

山口支部の「山口コンビ」――誠(6号艇)と瓜生俊樹(5号艇)の前に、香川の女王・平田千夏が立ちはだかる。

千夏の必殺技、「30mラインからのダッシュスタート」。

上田校長を彷彿とさせる助走距離。

58,000という膨大なマブイを誇る彼女が30mも後ろから加速すれば、後続はマブイの衝撃波だけで粉砕される――それが鉄則だった。

「無」のライン、連結

「……俊樹、準備はいいか」

「ああ。一貴さんの『無』と、シロの『浄化』……全部使うぜ」

ピット離れ。

誠と瓜生はあえて最後方に並ぶ。

二人の間には、一貴から教わった「機体との対話」による、マブイを一切介さない物理的な**「共振ライン」**が静かに形成されていた。

雨音さえ飲み込むような、無音の連帯。

一方、30mラインからスタートする平田千夏。

「菜奈の教え子がどこまでやれるか、見せてもらうわよ!」

彼女がスロットルを握ると、機体から黄金のマブイが噴出し、雨粒を瞬時に蒸発させて「炎の道」を作り出した。

水面が沸騰するような轟音とともに、千夏の機体が猛烈に加速する。

シロの「リズム」と誠のチルト

「ワンッ! ワンッ、ワンッ!!」

誠の足元で、シロが吠え始めた。

――雨のマブイ密度が一瞬だけ最低になる「隙間」を、犬の鋭い感覚が捉えていた。

誠はその吠え声の合間に、**「チルト3.0」**を起動。

「……今だ、俊樹! 潜れ!!」

瓜生がマブイ0の特性を最大限に活かし、千夏の「黄金の衝撃波」の波の裏側に滑り込む。

そこはマブイが一切存在しない「真空の道」。

瓜生の機体が音もなく道を切り開き、誠がその隙間を爆速で貫く。

全速旋回、交差クロス

第1ターンマーク。

千夏が58,000マブイを一点集中させ、水面をえぐるような「全速旋回」を決める。

「決まった……!」

勝利を確信したその瞬間――

彼女の機体の真下から、誠の39号機が「チルト3.0」の爆音とともに突き抜けてきた。

「なっ……私のマブイの『影』を走ったっていうの!?」

瓜生が「無」で道を作り、誠がその「隙間」を貫く。

山口支部の**「三連単ライン(一貴・瓜生・誠の系譜)」**が、香川の女王の絶対的な出力を、純粋な「技術と連携」で上回った瞬間だった。

レース終了後、ずぶ濡れでピットに戻った誠たち。

そこには、悔しさを噛み締めながらも、香川名物の最高級讃岐うどんを差し出す平田千夏の姿があった。

「……負けたわ。菜奈が『アイツら、変態やけん』って言ってた意味、よく分かったわよ」

千夏が差し出したのは、極上のコシと喉越しが自慢の「讃岐うどん」。

誠と瓜生、そしてシロは、プロとしてまた一つ、大きな「壁」を乗り越えた実感を噛み締める。

雨が止み、瀬戸内の空に夜明けの光が差し始めた。

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