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からくり競艇 ~黄金の波切り、魂のスロットル  作者: 水前寺鯉太郎
第2章:駆け出し編

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秋風の再起、39号機の真実

第15話:秋風の再起、39号機の真実

2027年10月15日(金):下関競艇場・ピット

左腕のギプスが外れ、誠は再び39号機の前に立っていた。

傍らには、誠の退院を誰よりも待ちわびていた守屋あおい、そして誠が不在の間、下関の看板を守り抜いた瓜生俊樹とシロがいた。

「誠、おかえり。……横西がまた来たがってたけど、今回は俺と菜奈先輩で調整した」

瓜生が指差す39号機は、かつての暴れ馬のような神調整ではなく、誠の1000のマブイが指先のように馴染む、極めて素直なセッティングに変更。

「ありがとう、俊樹。……俺、やっとわかった気がする。無理に大きく見せるんじゃなく、等身大の俺で戦うよ」

復帰戦の相手は、夏に病院を訪れた大分支部の大峰幸太郎と、その弟子・宮地明。

「およよ、誠くん! 退院おめでとう。でも復帰戦がウチらなんて、運が悪かったねぇ」

大峰の佐賀弁が響く中、宮地が鋭い視線で誠を射抜く。

「速水、左腕はもう動くんか? 遠慮せんで一気に捲り差してやっけん、しっかり付いてこいよ」

ピットで見守るあおいは、誠のヘルメットを渡しながら、小声で囁きました。

「誠くん。……今日は、勝って。そしたら、この前の病院の続き……ちゃんと話すから」

誠は一瞬驚いた顔をしましたが、すぐに力強く頷いた。

「ああ。行ってくる、あおい!」

下関・復帰戦スタート!

「大時計、始動!」

1号艇・誠、2号艇・宮地、3号艇・大峰。

誠はインコースから、リハビリ中に平野一貴先輩から伝授された「マブイの揺らぎを消す」操縦法を実践します。

加速する39号機。横西のパワーはない。だが、誠のマブイとエンジンの回転が完璧にシンクロし、水面を吸い付くように滑っていく。

「……今だ、チルト3.0!」

誠はあえて、最高速ではなく「旋回半径の最小化」のためにチルトの噴射を使った。

大峰の83,000マブイが作る巨大な引き波を、シロの浄化能力で無効化し、そのわずかな隙間を「針の穴を通す」ような最小旋回で駆け抜ける!

誰もが「誠が行った!」と思った。しかし、その瞬間、大峰の機体が魔法のような角度で誠の懐を捉えていた。

レース結果:2027年10月15日 確定

1着:大峰 幸太郎(大分)

2着:速水 誠(山口)

僅差での敗北。プロの、そして「SG級」の壁は絶望的に厚かった。

レース終了後、大峰が機体を寄せ、誠に声をかける。

「およよ、惜しかったねぇ! でも今の旋回、ウチもヒヤッとしたばい。面白か試合だったよ。誠くんはまだグランプリ出れんから、次はまた来年やね」

大峰は笑いながら去っていきましたが、誠の目には悔しさよりも、はっきりとした「次への道筋」が見えていた。

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