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佐賀弁の旋風と4カドの誘惑

第14話:佐賀弁の旋風と、4カドの誘惑

2027年8月16日(月):福岡市内・病院の屋上

西野に告白を邪魔された翌日。誠は屋上のベンチで、左腕を吊りながらシロと一緒に遠く福岡競艇場の空を眺めていた。そこへ、見慣れない派手なアロハシャツを着た二人の男が現れる。

「……およよ、この子が噂の山口の若手ね。誠くん、災難やったねぇ。落水して入院なんて、ウチが代わりに泣いてあげっけんね」

現れたのは、大分支部のトップレーサー、大峰幸太郎。マブイ計83,000という化け物じみた出力を持ちながら、その雰囲気はどこか抜けていた。

「師匠、泣きよる場合じゃなかですよ! こいつが西野さんの差しを差し返した速水です」

後ろで目を光らせるのは、弟子の宮地明。

大峰は、誠の左腕に触れるか触れないかの距離で手をかざした。

「……あんたのマブイ、今は『霧』みたいにバラバラばい。横西ちゃんが調整したエンジンが凄すぎたとね。でもね、誠くん。マブイは『量』じゃなか。どれだけ機体と『友達』になれるかたい」

大峰は、圧倒的な出力を誇りながらも、それを機体の隅々まで「愛」として行き渡らせる、独自の**「最高峰旋回ピーク・ターン」**の極意を、冗談めかした佐賀弁で説く。

そこへ、誠に冷たい飲み物を買ってきた守屋あおいが戻ってきた。

「あっ、大峰さんに宮地さん!?」

「お、あおいちゃん。誠くんの看病ね? 仲のよかねぇ。ウチらもお邪魔みたいやし、宮地、行こうか」

「……チッ、次は水面コースで叩き潰してやっけん。覚悟しとけよ、速水」

去り際、宮地は誠を鋭く睨みつけた。彼らにとって、誠は「注目される若手」であると同時に、自分たちの師匠を脅かすかもしれない不気味な存在として映っているのであった。

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