表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
奴隷日記  作者: 幽霊配達員
白の書
93/96

絡めて繋がる手編みのマフラー

 雪降る寒い季節。何にもないはずの聖夜に今年も刹那家は意味を持たせた。

 子虎は亀夜が作ったプレゼントが当たっていて、手編みで作った長い長いマフラーを首にグルグル巻きにしてお出かけをする。

 待ち合わせの喫茶店で鈴とスライムのリリー・Jさんと合流して、とりあえず冷えた身体を温める。

 お茶をしながら話題に上がったのは子虎の長すぎるマフラー。

 これだけ長いと2人がマフラーも余裕でできると言ったら鈴が食いついた。

 店から出て子虎と鈴が1つのマフラーを2人で巻いてくっつきながら街をぶらつく。

「温かいね」と子虎が屈託なく笑う度に鈴が顔を赤めて無言になっていくのがおもしろい。

 いざっていうとき引っ込み思案だな。

 一通り歩いていた子虎が不意に「優太くんもやる?」って聞いてきて鈴が鬼の形相になって業火のオーラを発する。熱そうだな。熱系の魔法は専門外のはずなのに。

 視線に子虎とイチャイチャする権利は渡さないと込めて睨むのやめてほしい。

 ただそんな鈴の奮闘は虚しくマフラーを外し出す子虎。

 あぁ……と物惜しそうに見つめる鈴の前で俺の首にマフラーを巻き出す……子虎?

 いやあのコレだと、俺は鈴と繋がる事になるのですが。

 呆けた口元が歯ぎしりへと化していく。

「こいういのって順番だよね」

 無邪気な声に意図がなさそうなのがとても恐ろしい。リリー・Jさんが乾いた笑みを浮かべる始末だし。

 初めてやる2人マフラーがこんなにも心許ないとは思わなかった。鈴の機嫌ひとつで首がギュっとなりそうだ。

 でまた一通り歩いたら今度は鈴のマフラーがリリー・Jさんの首に巻かれて、隣り合って歩く事に。

 えコレ総当たりに全パターンやるの?

 ただリリー・Jさんの隣は鈴と違って安心感が段違いだった。

 で今度は俺のマフラーを子虎に渡して、案の定鈴が自らの奴隷に嫉妬するハメに。

 リリー・Jさんは鈴の奴隷ですよー。

 ただ子虎って結構チマチマ動くからリリー・Jさんの首がビヨンビヨン伸びるんだよな。でリリー・Jさんの方が子虎の手綱を握る形になると。

 で子虎のマフラーが鈴の首に回る、と。

 子虎から直接首に巻かれた事でウットリしていた鈴だったけど、隣にリリー・Jさんの姿を確認してため息を吐く。

 そりゃ乾いた笑みしかでなくなるわな。

 で最後にリリー・Jさんから子虎へ、鈴から俺へマフラーが回される。

「生きてる間ぐらい子虎を貸してあげる。だから、子虎を楽しませないと許さない。悲しませても、許さない」

 耳元で囁きながら強めにマフラーを締めてきた。

 大切な人の隣を借りている。2人マフラーをして、手を繋いで。

 返すまでの間、温めさせてもらおう。子虎の、隣を。居場所を、奴隷として。

 温かいって、大事な事なんだな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ