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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
白の書
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帰るべき我が家

 旅行後半は観光と食べ歩きがメインだったな。

 作り方は知ってるけど家で作った事がないのがカプレーゼだな。なんかこう、テーブルに並ぶだけでセレブって感じるのはなんでだろうな。オリーブオイルがオシャレなんだろうか?

 ティラミスやジェラードなんかが有名どころだろうけれど、地方の珍しいデザートにも手を出したいと散策。

 小洒落たカフェに入ってカッサータなるものを食べる。エスプレッソは角砂糖を口に含んでからクイッと1口で頂いた。淹れ立てが美味しくって、口の中の角砂糖がエスプレッソで溶けて甘さが広がっていく。

 エスプレッソマシンがついつい欲しくってしまった。まぁ豆を敷き詰めて圧縮するのにも技術が要るから宝の持ち腐れか。

 で流れでコーヒーショップへ入るとモカを発見する。通称マキネッタって言うコーヒーを淹れる道具だ。

 店主が言うに、毎日飲むから洗うときは水で濯ぐだけで、少しずつコーヒーの層ができていって家庭ならではのコーヒーの深みが増していくそうな。

 なんか特別感があって魅力的で、ついつい衝動買いしてしまった。直にコンロで暖めるためにスタンドもセットで購入。なおこの地方ならマキネッタ専用のコンロがどの家庭にもあるから要らないらしい。こんなところでも違いが出るのか。

 コーヒーにのめり込んでたら千羽から呆れた視線を向けられていた。紫緒とケンタウロスのC・ルックさんも温かい笑みを浮かべていたな。

 残り期間でどれだけ味を積み重ねられるかが勝負かな。俺がいなくなった後に腐らなきゃいいけども。

「ちょっと甘いものを食べるつもりが、とんだ長い買い物になったわ」

 文句に溜め息を添えて。でも声色はどこか楽しそうだった。

 おみやげにチョコレートを買って、側で水が流れている小道を歩きながらジックリお喋りして歩く。

 ゆったりとして贅沢で、そしてとても早く過ぎてしまう時間。

 楽しい。

 気がつけば昼食にペスカトーレを食べて帰る時間。

 地元まで瞬間転移装置を使って飛んで、一旦安藤家へ。

 お留守番していた紫江と合流して、C・ルックさんが奴隷棒名の儀を終えたと伝える。

「紫緒ズルーい。私も一緒に千羽の驚く顔見たかったのに」

「ってなんで私が基準になるのよっ!」

 この双子はどこまでも千羽をおちょくる事が好きみたいだ。奴隷棒名の儀に関しては、最初から紫緒の奴隷だったからどのタイミングだろうが文句はないらしい。

 ホントに仲がいいな。

 挨拶を終えて懐かしの我が家へ。

 ……うん。俺にとって刹那家はもう、帰るべき我が家なんだって旅行をして気付いた。

 ただいまと同時に抱きついてくる子虎。チョコレートのおみやげにいち早く気付く亀夜。ゆったりとにこやかに演じながら迎えてくれる氷竜。不機嫌のオーラが俺でもわかるのがな。

 そして家に足を踏み入れて理解をさせられた。

 この家、俺がいなくなったら3日でゴミ屋敷に戻るぞ……と。

 幸先は不安だけれど、今日はとりあえず疲れたので休ませてもらう。大丈夫かな、未来。

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