大海のように移り変わる
照りつける太陽に灼ける砂浜。魔女たちは自分がコレだと選んだ水着を装着し、己の奴隷や友人たちと海を楽しむ眩しい季節。
多分俺にとって、最後の夏になると思う。
氷竜と鮎歌と半魚人のクリスタル・Pさんと一緒に海水浴に行ってきた。
事前に鮎歌から、氷竜とおそろいの水着を作ってと頼まれていたから作った。けれどもデザインにとても苦労させられた。
まずカラーだけれど、親友っぽく2人のイメージカラーをメインに使ってと言われた。水色&桃色……パステル調にすればいけなくないか。
で問題は2人の体型だ。ボンキュッボンな氷竜に対して鮎歌はちんちくりん……水着でペアルックにするにはあまりに難易度が高い。
種類を別にしてデザインだけ同じにする方が賢明かとも考えたけれど、結局2人共ビキニにした。
鮎歌から大絶賛をもらえたので正解だった。氷竜は少々嫌がっていたけれどな。
みんなして浅瀬で水をかけ合いながら戯れるのも夏ならではで楽しい。水の冷たさを肌で楽しめるのは、存外贅沢な事なのかも。俺には思いっきり加減してくれてるしな。
砂浜で休憩中に眺める水のかけ合いはもう、攻撃力があったんだよな。クリスタル・Pさんでさえ鋭さが違ったし。
仕方ないから砂山を作っては崩していた。脆いな。
氷竜がクリスタル・Pさんと全力で遊泳を楽しんでいるとの、鮎歌と一緒に砂浜で眺める。
鮎歌から「どんな事があっても氷竜を許してあげてね」とお願いされた。俺の事が大切だからこそ、誰にも渡したくないって荒れた海のように当たり散らしちゃってる。暴走を止められないだけで愛情の深い魔女だからって。
言われるまでもない。氷竜も俺の大切な主の1人なんだから。
俺の届かない海ではしゃぎ回っている氷竜は、飛沫を纏って輝いている。眩しくて目を細めてしまうぐらいに。
見蕩れていたら鮎歌から砂のお城を作ろうって、微笑みながら誘ってくれた。
崩落したようなお城ができた頃に氷竜とクリスタル・Pが戻ってきたせいで、かなり呆れられてしまった。
一度サーフィンをやってみたいとお願いしたら、仕方ないなって氷竜が教えてくれた。3分で溺れるからやめろってさじ投げられた。上手くいかないのがもどかしい。
代わりにクリスタル・Pさんが背中を貸してくれると言ってくれた。鮎歌も遠慮しなくていいって勧めてくれた。丁重にお断りさせていただいた。
だって変な悪ふざけが発動しそうだったんだもん。
お昼を抜いて、夕暮時にバーベキューを楽しむ。生身で火を扱うのに少々手間取ったけれど、開放感も相まって美味しかった。
最初俺たちだけがやっていた海辺のバーベキューは、気付けば1組……また1組と数を増やしていき海が暴力的な磯の匂いで包まれた。
魔女の世界では海水浴に来た夕暮にバーベキューをするのが流行っているんだろうか?
疑問を口に出したら氷竜たちから乾いた笑みを向けられてしまった。何の笑みだったんだろう。
帰りの氷竜のホウキに乗せてもらっている間も答えなんて出なかった。




