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奴隷日記  作者: 幽霊配達員
青の書
73/88

昔話

 大晦日。普段ならみんなで徹マンしながらまったり過ごすのだが、今年は刹那家のお母さんである明理さんから実家帰りのお誘いを半ば強制的に受けており帰省することになった。

 当然みんなして泊まりだ。

 明理さんは家事全般をできる魔女だし、悪魔のケバブさんもしっかりとサポートができる奴隷だ。

 人間の俺では計り知れないほど長い時間を一緒に暮らしてきたんだ。できていない方がおかしいか……と最初は思った。

 やっぱり阿吽の呼吸とまではなかなかいかないらしい。

 俺もただ休んでいるだけだと申し訳なくって手伝いを買って出ようとしたんだけれど、圧の強い笑顔で止められてしまった。

 少しは羽を伸ばしなさい……と。

 代わりにみんなに飛び火するハメになって悲鳴が上がっていた。口で抵抗するも母には勝てなかった。

 何が悲しいかって、みんなして戦力外通告レベルなのに脱落が許されないところだろう。

 最早いいのかなって気分でしかない。

 氷竜はどこかよそよそしいし、千羽は食いかかり気味。亀夜は少しだけ控えめで……子虎はどこか居心地が悪そうだ。

 夕飯は豪華にすき焼きでとても美味しくて満腹で、普段ならあり得ないスピードでみんなして早寝をしていた。

 慣れない家事で程よく心労も祟ったのもかもしれない。

 宛がわれたキレイな部屋で俺もそろそろ寝ようかなって思っていたところ、明理さんからお話しを持ちかけられた。ケバブさんも一緒だ。

 お茶の湯気を揺蕩わせながら騙られたのは、遙か過去の話。

 明理さんは一人暮らしこそ問題なく出来るものの、どこか人恋寂しくて奴隷を召喚した。長い間一緒にいたいからと、長寿な亀人族の魔物……後の亀夜を。

 冷静沈着で大人しくて、意外にも情に厚い奴隷だった。得意分野に特化したサポートをしてもらった結果、家事を身に着けなかった。

 2人の生活は心地よかったけれど、賑やかさが足りないからと虎の獣人の奴隷を召喚する。後の子虎だ。

 身体を使って遊び回るのが大好きで、明理達を連れ回しては楽しませてくれた。この奴隷はこのままの方がいいと思って、家事を身に着けさせなかった。

 ただその元気のよさに着いていけなくなり、体力を持て余すようになってしまう。コレではよくないと、明理は3人目の、鳥人族の奴隷を召喚する。後の千羽だ。

 対抗するような元気な奴隷を願った結果、ケンカが絶えなくなってしまった。当然、家事なんかできるタイプではなかった。

 家の中がにぎやかを通り越す日々に堪忍袋の緒が切れた明理は、気付いたら竜人族の奴隷を召喚してしまっていた。もちろん後の氷竜。

 2人を諫める仲介役を願った結果、力業による両成敗が成立することとなった。

 普段は穏やかなんだけれど、少しでも喜夫に食わないことがあると不機嫌になる厄介な奴隷だったと。家事は気に食わなかったらしい……もう、知ってた。

 慌ただしくも4人の奴隷によって妙なバランスが生まれたようで、程よい刺激の日々が続いていた。明理さんのバイタリティが底なしな事を窺えてしまった。

 俺も4人と一緒に暮らしてはいるけれど、明理さんとは立ち位置が真逆。手綱を握る側か、握られる側か。

 手綱を握ってまとめ上げてたって考えると……な。

 ただそんなバランスも永遠には続かない。

 みんな……婚礼生誕の儀を前提に召喚した奴隷だから。

 1番最初に、頃合いになったのは竜人族の奴隷。奴隷の運命を最後まで受け入れられなかった彼は、みんなの前で盛大に喚き散らしてから婚礼生誕の儀に臨まされ、無事に氷竜を誕生させた。

 婚礼生誕の儀自体は2人きりになる不思議な心の空間になっているらしく、最後の対話をするらしい。

 彼は結局最後まで口では抵抗していたけれど、ソレでも明理さんに命を託したらしい。最期は氷竜を粗末に扱ったら許さないと脅してきたんだとか。

 脅すほど、娘に情が芽生えていたんだな。

 ただ、そんなやりとりを他の奴隷達が知る由もなかったせいで、波乱が起きることになったんだと。

 話はいいところだったんだけれど、俺のあくびひとつで翌日に持ち越しとなった。

 冷めたお茶を飲み干して、片付けてからベッドに入る事になる。

 寝付ける自信がない、な。

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