第六話「ふたりの星天姫」
前回のあらすじ。
〖聖剣憑依〗を発動させて、デビル・サーヴァントに立ち向かうが、ダメージを与えられない。
それどころか、デビサバの攻撃によって、魔力が枯渇し、〖聖剣憑依〗が強制解除されてしまう。
戦闘不能になったところで、吹き飛ばされてしまった。
三人称視点でのバトル回。
「そんな……。
なんで、リョウちゃんが……!」
リョウが動けなくなるほど、傷つけられたことによって、フィアーナの怒りが沸き上がる。
怒りが橙色の半袖ワンピース姿で、彼女の両拳を震えさせて、右手首の〈星のルナリング〉を震動させる。
《条件を満たしました。
〖星天の王気〗が覚醒しました》
《〖王気〗の覚醒によって、
〖ドラゴン・ブラッドF〗の
レベルが上昇し、最大値になりました》
《〖ドラゴン・ブラッドF〗の
レベル上昇によって、
〖ストレージ〗が〖ストレージ+〗に
アップデートし、
〖闘気:レベル最大〗、
〖神気:レベル最大〗が使用可能に
なりました》
フィアーナの魔力が気化して、〖星天の王気〗――赤いオーラ――に変化する。
そして、赤いメッシュが白銀髪に入り、〖闘気〗――銀色のオーラ――由来の四肢――両方の手足――鎧が現れ、〖星天の王気〗が彼女の全身を包み込んだ。
それと同時に、ルナエルさまボイスでのアナウンスが彼女の耳もとで、流れた。
(なに、あの光?)
フィアーナが〖闘気〗由来の鎧越しの美脚で、デビル・サーヴァントに接近しかけたところで、金色の光が空から急降下してきた。
金色の光が着地して、消失すると、垂れ目で、赤色の大きな瞳の王竜族女性なサテラが現れた。
彼女の種族は、瞳と同色の結晶の刃角、女性のみ、桜色グラデーションの白銀髪、そして、垂れ目が魅力的で、元々、北方大陸に住んでいた。
彼女は、ブラウスに、膝丈スカートを合わせて、水色の袖なしローブを羽織った姿で、〖闘気〗由来の四肢鎧、〖星天の王気〗を纏った状態になった。
すると、〖闘気〗由来の鎧越しの美脚で、地面を蹴って、デビサバに接近。
それによって、肩にかかる長さの白銀髪や服の裾が靡いたり、装飾品が揺れたりするが、豊満すぎる胸は、ブラウスの特殊効果で、揺れない。
「〖反発〗」
デビサバが気づいて、振り向く。
サテラは、デビサバの目前に迫ると、姿勢を低くして、省略詠唱。
直後、右手首の〈星のルナリング〉、紫色の〈星息珠〉――魔法の宝珠――が輝き始めた。
続いて、サテラがデビサバの腹部を狙って、〖闘気〗由来の鎧越しの右拳を放つ。
右拳が黒い金属鎧越しの腹部に直撃すると、デビサバが弾かれるように、吹き飛んで、10メートル後方の地面に、背中を強打した。
サテラが〖星天の王気〗を広げて、リョウたちを収め、スキルを発動。
直後、〖星天の王気〗が輝いて、白銀髪の赤色メッシュ、紅結晶の刃角、垂れ目で、赤色の大きな瞳とともに、橙色に変化した。
続けて、スキルを発動させると、橙色の〖星天の王気〗が輝いて、彼の腹部を癒やす。
(どうなっているんだ?)
リョウは、目まぐるしい状況変化を整理しようとしていた。
「よかったっ。
生きてるっ」
フィアーナが〖闘気〗由来の四肢鎧、〖星天の王気〗を纏った状態で、リョウのもとへと、駆け寄ってきた。
彼の〖始祖の器〗の効果による少女みたいな顔を見るなり、フィアーナは、安心して、リョウの右手側の地面に、腰を下ろした。
「あっ、守るものを生成しとかないと。
〖纏色・生成〗」
フィアーナが〖星天の王気〗を広げて、リョウを収め、瑞々しく、艶やかな唇を動かし、甘く、天使みたいな美声で、省略詠唱。
直後、〖星天の王気〗が輝いて、リョウを囲むように、赤色を帯びた状態の金網を生成した。
「もう大丈夫だよ。
これがあれば、攻撃できないから」
「ありがと……ごほっ」
「リョウちゃんっ!」
リョウが感謝を述べ終わるところで、喉に残った状態の血液を吐いて、フィアーナが心配する。
「大丈夫――」
「大丈夫じゃないよ!
たくさん、血を流したら、
死んじゃうんだよ?」
フィアーナが垂れ目で、赤色の大きな瞳を潤ませながら、リョウの話を遮って、甘く、天使みたいな美声を荒げる。
「なおっ――」
「ルナエルさまのおかげでっ、
健常者としてっ、再会できたのにっ。
今度はっ、結婚できるのにっ。
リョウちゃんが死んじゃったらっ、
意味がなくなっちゃうよっ」
フィアーナが涙を流しながら、言う。
リョウの予想通り、彼とフィアーナは、転生前の初恋相手同士。
ふたりとも、その事実を信じられないでいるのだが、今は、ふたりの魂が共鳴していて、互いに、転生前の姿を重ねさせているため、ふたりにしか、わからないことを言い始めた。
(やっぱり、フィアーナは、
初恋の彼女なんだな)
リョウは、魂の共鳴、フィアーナの言葉によって、彼女が初恋の相手だと、確信した。
「ごめん。俺から始めたのに」
ふたりの恋は、リョウがひと目惚れしたことがきっかけだった。
「そうだよっ。リョウちゃんが
好き好き……ってするからっ、
気がついたらっ、結婚したいくらいっ、
好きになっていたんだよっ」
フィアーナの言葉によって、リョウが涙を溢れさせる。
「話してくれたからっ、知ってるよっ」
ふたりが離れ離れになる前に、フィアーナは、相思相愛であること、ふたりとも、不自由なため、父親に反対されたことを話していた。
「じゃあっ、責任っ、取ってよっ。
責任を取ってっ、生きてよっ。
生きてっ、結婚してよっ」
「わかったっ。
フィアーナと結婚するまで、
生き抜くっ」
リョウは、涙を流しながら、宣言した。
彼の出血は、止まっているため、生き抜けるのだが。
(フィアーナのために、
絶対、生き抜く!)
リョウは、こう思うくらい、転生前のフィアーナに恋していた。
「結婚するまでじゃなくてっ、
添い遂げてよっ」
「わかったっ。
フィアーナと添い遂げるまでっ、
死なないっ」
リョウは、少女みたいな顔を赤らめながら、言い直した。
「約束だよっ?」
「うんっ。約束っ」
リョウが返事すると、フィアーナは、美しく、温和で、愛らしい顔を綻ばせると、彼と右手の小指同士を絡めた。
春風が吹いて、赤色メッシュ入りで、左サイドテール状態、桜色グラデーションの白銀髪が靡いた。
「ウオォォオオォーーッ!」
サテラがユキネとリルの後方への避難を完了させた。
そんなところで、デビサバが第2形態――高さ5メートルの筋骨隆々な青白い怪物――になり、大きな雄叫びを上げる。
(あんな怪物、倒せるのか?)
リョウが第2形態のデビサバを見て、思う。
「ぼくがいるから、大丈夫」
サテラがフィアーナの右隣に立って、瑞々しく、艶やかな唇を動かし、甘く、優しげな増艶美声で、リョウに告げて、しゃがんだ。
「えっと……?」
「このおねえさんが
デビサバを吹き飛ばしてくれたんだよ」
「ふふっ」
フィアーナがリョウに教えると、サテラは、美しく、温和で、聡明な顔を綻ばせて、上品に笑った。
「ぼくは、サテラ。
〖始祖の器〗所持者や
始祖返りを助けているんだ」
サテラは、ふたりに自己紹介した。
「フィアーナちゃん、
リョウは、治癒済みだから、もう心配ないよ」
「よかった」
「でも、魔力が枯渇寸前だから、
この〈MPアンプル〉を
刺さないといけないけどね」
サテラが指先露出の白い手袋越しの右手で、USBメモリみたいなものを取り出して、リョウとフィアーナに見せる。
透明部分から、青い薬液が見える。
「これは、〈マナ・ポーション〉の容器で、
注射器としても、使えるんだ」
青い薬液は、魔力回復薬みたいだ。
「ちくっとするよ?」
サテラがリョウに告げて、彼の右腕に〈MPアンプル〉の底を押し付けた。
すると、短い注射針がリョウの皮膚に突き刺さって、彼の体内に、〈マナ・ポーション〉を入れていく。
「はい、終わり。
これで、疲労感が少し軽くなるはずだよ」
「「ありがとうございます」」
サテラが告げると、フィアーナとリョウが感謝を述べた。
「フィアーナちゃん。
リョウは、ぼくが守っておくから、
君は、あの怪物を討伐してきて」
「はい」
「討伐できるんですか?」
サテラが指示して、フィアーナが返事すると、リョウが尋ねた。
「うん。
ぼくがサポートするからね」
「サテラさん。
色々、おねがいします」
「うん、任せて」
「じゃあ、リョウちゃん、行ってくるね」
フィアーナは、〖闘気〗由来の四肢鎧、〖星天の王気〗を纏った状態で、リョウに告げた。
そして、〖闘気〗由来の両翼を広げて、羽ばたかせ、赤色を帯びた状態の金網を飛び越える。
「〖纏色・生成〗」
フィアーナが省略詠唱すると、〖星天の王気〗が輝いて、彼女の右手もとに、赤色を帯びた状態の太刀――片刃の大剣――を生成した。
「フィアーナちゃん」
「はい」
「3度の致命傷を与えることに
集中して」
「わかりました」
フィアーナが赤色を帯びた状態の太刀を構える。
すると、サテラが橙色の〖星天の王気〗を広げて、フィアーナを収めながら、デビサバの情報を教えて、スキルを発動。
直後、橙色の〖星天の王気〗が輝いて、白銀髪の橙色メッシュ、橙結晶の刃角、そして、垂れ目で、橙色の大きな瞳とともに、緑色に変化した。
デビサバが背中の触手8本による突きを放ってくる。
触手8本がフィアーナの目前に迫ると、サテラがスキルを発動。
直後、緑色の〖星天の王気〗が輝いて、触手8本を砕け散らした。
触手の破片が地面に転がって、黒紫色の体液が地面を汚した。
「ギャアァァアアァーーッ」
「今の触手にも、気をつけて」
「はい。
〖纏色・生成〗」
デビサバが叫ぶ中、フィアーナが省略詠唱。
直後、〖星天の王気〗が輝いて、彼女の左手もとに、赤色を帯びた状態の大金槌を生成した。
続いて、彼女は、〖闘気〗由来の両翼を広げて、羽ばたかせ、上昇し、飛翔しながら、デビサバへと接近する。
「〖星の満ち欠け〗」
フィアーナは、デビサバの頭上、高さ5メートルで、降下を開始するとともに、省略詠唱。
直後、〖星天の王気〗が輝いて、彼女への重力を強くさせ、降下速度を高めた。
サテラがスキルを発動させると、緑色の〖星天の王気〗が輝いて、白銀髪の緑色メッシュ、緑結晶の刃角、垂れ目で、緑色の大きな瞳とともに、橙色に変化した。
デビサバが触手8本を再生させて、青白い両腕とともに、頭部を守ろうとする。
サテラが魔術とスキルを発動させると、橙色の〖星天の王気〗に包まれた状態、白色の大きな魔法陣2枚がデビサバの左右を挟むように展開。
橙色の〖星天の王気〗が輝いて、魔法陣から、炎を帯びた大縄状態の〖魔力糸〗を射出させた。
計6本の炎を帯びた大縄状態の〖魔力糸〗は、青白い両腕と触手8本に巻き付いて、拘束した。
フィアーナが急降下しながら、デビサバの頭部へと、大金槌を振り下ろす。
大金槌による攻撃は、黒い金属兜越しの頭部に直撃して、少し後退させた。
フィアーナは、〖星の満ち欠け〗を解除して、〖闘気〗由来の両翼を使い、後退する。
金網の前に、着地すると、地面を蹴る。
それとともに、〖闘気〗由来の両翼で、デビサバへと、低く飛翔する。
跳躍して、青白い首もとへと、太刀による横薙ぎを放つ。
太刀による横薙ぎは、頑丈な青白い太首を斬り裂き、黒紫色の体液を飛び散らせた。
だが、間髪を入れずに、青白い太首が繋がった。




