第三話「魔素、魔力、〈セラフィム・ブレイズ〉」
紫竜暦181年、後暖季。
11月3日。
ルナティシア――ルナティック人――としての転生から、1年が経過した。
記憶復活から、計算すると、半年になる。
この半年で、体が10歳くらいに、成長した。
ルナティシアは、ナノマシン――極小の機械――のおかげで、幼少期の成長が早く、30歳前後で、不老になるらしい。
――
屋敷の鍛練室。
「それじゃあ、魔力について、教えるわね」
「うん」
やや垂れ目で、青色の大きな瞳の南銀獣族少女なユキネが、大きな半袖シャツに、青色の袖なしパーカーを羽織った姿、優しい表情で、瑞々しく、艷やかな唇を動かして、甘く、透き通るような美声で、告げてくる。
クールで、優しい姉な彼女の種族は、長い黒髪、愛らしい猫耳、そして、ふわふわ尻尾が魅力的で、元々、中央大陸の南方に住んでいた。
ユキネが目前の床に、しゃがんで、目線の高さを合わせてくれる。
しゃがむ動きに合わせて、長い黒髪、そして、はだけた状態の青パーカーの裾が少し舞い上がり、すぐに収まった。
さらに、右手首の〈雨のルナリング〉――青色のシリコン製リストバンド――、シャツ越しの豊満すぎる胸が揺れた。
ナノマシンによって、10代後半の姿だけど、実年齢は、7歳なんだよな。
「まず、あらゆる惑星の大気には、
『魔素』と呼ばれるエネルギーが
含まれていて、循環しているの。
呼吸で、魔素を取り込んで、
魂で、変換されたものが『魔力』ね」
大気中のエネルギーが魔素で、それが体内で魔力に変わるのか。
「さら」
リルの精霊なイチゴがユキネの頭に乗った状態で、鳴く。
そちらを見ると、イチゴは、深呼吸して、淡い赤色の体を膨らまし、彼女の説明をわかりやすくしてくれる。
ルナティックの精霊は、つぶらな瞳、なめらかで、もちもちな質感が魅力的で、ふっくらとしていて、安定的な球状の魔法生命体。
「魔素には、レベルがあってね、
初期レベルだと、言霊が発動しやすくて、
高レベルだと、魔法が使えるんだよー」
垂れ目で、緑色の大きな瞳の北聖霊族少女なリルが、シャツに、緑色の半袖パーカー、膝丈スカートを合わせた姿、左隣の床に、腰を下ろした状態で、美しく、温和で、人懐っこい顔を綻ばせながら、瑞々しく、艶やかな唇を動かして、甘く、明るい美声で、追加情報をくれる。
明るい姉な彼女の種族は、若葉状の耳、そして、白い肌が魅力的で、元々、南方大陸の北方に住んでいた。
リルは、笑顔が絶えないし、明るいよな。
そういえば、訪問リハビリの付き添いの看護師さんにも、明るいひとがいたな。
「アースの魔素は、初期レベルで、
ルナティックのは、高レベルってこと?」
「そうそう。
リョウは、賢いねー」
リルが前傾姿勢になって、美しく、しなやかな右手で、頭を撫でてくれる。
前傾姿勢になったことによって、長い金髪が前方に垂れ、甘酸っぱいフェロモンが濃く香り、緑色の半袖パーカー、シャツ越しに、ユキネと同じ豊かさの胸が強調され、ドキドキしてしまう。
撫でる動きにあわせて、〈嵐のルナリング〉――緑色のシリコン製リストバンドが揺れた。
「魔素や魔力の説明は、充分ね。
次は、〖魔力感知〗を使えるように
なってもらうわ」
「どうすれば、使えるようになるの?」
「体内に、魔力を流すのだけれど、
わたしとリルねえさん、
どっちの魔力を流したいかしら?」
「フィアーナは、だめなの?」
「わたしは、慣れてないから」
フィアーナが橙色の半袖ワンピース姿、右隣の床に、腰を下ろした状態で、胸元で、美しく、しなやかな右手を小さく振る。
その動きに合わせて、左サイドテール状態、桜色グラデーションの白銀髪が左右に、軽く靡く。
さらに、右手首の〈星のルナリング〉――赤色のシリコン製リストバンド――、そして、橙色の半袖ワンピース越しに、ユキネと同じ豊かさの胸が軽く揺れた。
「この方法は、
あなたたち、元・低魔惑星人へのものよ?
慣れてるひとなんて、いないわよ。
それを抜いても、
あなたたちは、分魔……運命の相手だから、
できないの」
「「なんで、運命の相手だ……って、
わかるの?」」
「ふふっ」
「あははっ、重なったっ。
うけるっ」
ユキネがこちらに向き直って、本当の理由をくれた。
とっさに、尋ねると、フィアーナの美声と重なって、ユキネが美しく、お淑やかで、涼やかな顔を綻ばせて、リルと笑う。
ふたりとも、成熟期――10代後半の姿――だから、すぐ笑うんだよな。
「12歳以上の聖霊族と王竜族が
確認できるのよ」
「家だったら、あたしのママとアーねえが
確認できるんだよー」
俺たちが分魔であることは、ふたりが確認したのか。
「話を戻すけれど、
運命の相手同士は、魔力の質が同じなの。
同じ質の魔力を流し込んでも、
反応してくれないから、向かないのよ」
「いっしょに、魔術を発動させるときは、
逆に、効果が倍増するんだけどねー」
ユキネとリルが教えてくれる。
フィアーナとの合体魔術、やってみてえ!
「それで、どっちの魔力にするの?」
「ユキネがいい」
「ユキのこと、大好きだねー」
「猫耳が生えているからだと、
思うけれど」
ユキネは、リルに考えを述べつつ、両膝を揃えて、床につけ、左右に足を開き、その間に腰を下ろす。
その動きに合わせて、長い黒髪が軽く舞い上がり、すぐに収まった。
さらに、右手首の〈雨のルナリング〉、そして、大きなシャツ越し、圧倒的な豊かさの胸が揺れた。
「それじゃあ、魔力を流すわよ」
「うん」
ユキネが美しく、しなやかな右手で、胸の中心に触れてきて、甘く、透き通るような美声で、告げてくる。
返事した直後、温もりが彼女の右手から、胸の中へと、注がれるように入ってきて、全身を巡っていく。
この温もりが魔力なんだな。
《条件を満たしました。
スキル〖魔力感知〗、〖魔力操作〗、
ルナリング付属スキル
〖ステータス確認〗、〖ストレージ〗が
使用可能になりました》
温もり、改め、魔力の循環が収まったところで、ルナエルさまボイスでのアナウンスが耳元で流れて、4つのスキルの情報を取得した。
「4つのスキルを使えるように
なったかしら?」
「うん。なったみたい」
「次は、〖ステータス確認〗を発動させて、
自分の情報を確認してみて」
ユキネの言葉に従って、〖ステータス確認〗を発動させる。
直後、半透明な薄板状ディスプレイが目前に出現した。
――――――――――――――――――――
〖リョウ・ブライト〗
種族 王竜族・遊者種
性別 男
年齢 1歳
成長段階
魔力成長期
状態 正常
戦闘力(パワー+スピード)
50(25+25)
種族特性
〖ドラゴン・ブラッドM:レベル1〗
〖始祖の器:レベル1〗
通常スキル
〖ステータス確認〗
〖魔力感知〗〖魔力操作〗
〖ストレージ〗
〖生体用微細素子〗
特殊スキル なし
装備
〈セラフィム・コア:未開放〉
〈空のルナリング〉
――――――――――――――――――――
基本ステータスに加えて、習得スキルや重要な装備アイテムが纏めて、確認できるんだな。
「確認した?」
「うん。
確認したけど、
〖始祖の器〗っていうのは、
なんなの?」
「それは、女子みたいに可愛くて、
すごい魔術師になれる特性だよー」
尋ねると、リルが返答してくれる。
だから、女顔なのか。
「あと、動物に懐かれるらしいから、
にゃんこが寄ってきてくれるわよ。
よかったわね」
ユキネ、かなりの猫好きだもんな。
ていうか、女顔だったら、フィアーナに告白したとき、異性として、見られない……という理由で、振られるんだけど。
「なに?」
「なんでもないよ」
不安になって、右隣のフィアーナを見つめていると、彼女が首を傾げる。
それによって、左サイドテール状態、桜色グラデーションの白銀髪が揺れた。
「見た目が可愛くても、
内面は、ちゃんと男子だし、
フィアとは、分魔なのだから、
想い合えるわ」
ユキネは、囁いて、安心させてくれると、顔を合わせて、頭を撫でてくる。
「ユキ。
リョウが可愛いのは、わかるけど、
効率よく、魔力を
使えるようにしてあげなきゃだよ」
「そうだったわね。
ねえさんのおかげで、
思い出せたわ。
ありがとう」
「ユアウェルだよー」
旧聖霊語……英語だけの言語のユアウェルカム――どういたしましての意味――の略な。
リルは、口調だけじゃなくて、単語も、可愛いんだよな。
「リョウ。
胸の中心に、魔力を集めてちょうだい」
「うん」
まぶたを閉じて、胸の中心へと、魔力を集めることを意識する。
直後、体全体の魔力が胸の中心へと、集まってきた。
「集めたよ」
「じゃあ、わたしが合図するまで、
その状態を保っていて」
「うん」
「『ルナ。5分、経過したら、教えて』」
ユキネは、甘く、透き通るような美声で、AIルナに呼びかけると、白い光が〈VDRチョーカー〉――魔力を経て、仮想パソコンを反映させる首輪――の縁を走り始めた。
「時間ね。『ルナ、助かったわ』」
ユキネがルナに感謝を述べた。
「維持を解いていいわよ」
ユキネの言葉に従って、胸の中心での魔力維持をやめたが、魔力は、胸の中心で、留まっている。
「魔力は、留まったままよね?」
「うん。胸の中心で、留まってるよ」
「これで、魔力炉ができたから、
魔力の生成・蓄積がしやすくなって、
魔力運用に適したわ」
魔力を集めて、留めていたのは、魔力運用に適応させるためだったのか。
「次は、〈セラフィム・ブレイズ〉を
目覚めさせてもらうわ」
ユキネは、指示して、立ち上がった。
魔術じゃないのか。
「〈セラフィム・ブレイズ〉の目覚めには、
〈セラフィム・コア〉に、
魔力を流し込むのだけど、
消費量がわからないの。
だから、魔術を教えるのは、
明日に、延期させてちょうだい」
「うん、わかった」
残念だけど、〈セラフィム・ブレイズ〉を目覚めさせるほうが大事だからな。
「早速だけど、魔力を流し込んでみて」
ユキネは、指示すると、少し後退した。
右手で、首飾りの〈セラフィム・コア〉――桜色の結晶――を掴む。
そして、魔力源から、右手へと、魔力を集中させて、〈セラフィム・コア〉へと、流し込んでいく。
『〈セラフィム・コア〉への
魔力供給を確認。
人類守護用魔法生命体
〈セラフィム・ブレイズ〉、起動。
コア内の蓄積魔素を使用して、
生体を構築』
数秒後、〈セラフィム・コア〉から、ルナエルさまボイスでのアナウンスを流れた。
すると、〈セラフィム・コア〉が輝いて、金色の魔法陣が目前に展開し、桜と金、2色混合の光球を生成。
桜と金の2色混合の光球が変形していき、眩く、輝いた。
光が収まって、まぶたを開くと、垂れ目で、桜色の大きな瞳のグラマラス美少女がいた。
彼女は、古代ギリシャ服姿で、金色の両翼を広げて、目前に浮遊している。
「ほんとに、女の子になった」
フィアーナが古代ギリシャ服姿のグラマラス美少女を見て、甘く、天使みたいな美声で、呟く。
「ご主人さまっ」
古代ギリシャ服姿のグラマラス美少女は、膝上丈の白い薄タイツ越しの美脚で、着地すると、金色の両翼を消失させる。
そしと、こちらに向かって、鍛練室の床を蹴る。
「危ないっ」
「大丈夫よ。」
古代ギリシャ服姿のグラマラス美少女が勢いよく、抱き着いてきて、押し倒してくる。
後頭部をぶつけないように、彼女の美しく、しなやかな右手が守ってくれる
安堵すると、果実みたいな甘酸っぱいフェロモンが濃く香っていること、古代ギリシャ服越し、ユキネと同じ豊かさの胸を押し当てられていることに気づき、ドキドキしてしまう。
「ご主人さま、お会いしたかったです!」
「う、うん」
古代ギリシャ服姿のグラマラス美少女が俺に覆い被さった状態で、嬉しそうに、美しく、温和で、お淑やかな顔を綻ばせて、瑞々しく、艶やかな唇を動かし、甘く、優しげな美声で、告げてくる。
近っ!。
「ルナエルさまに似てる……」
「わたしたち〈セラフィム・ブレイズ〉は、
ルナエルさまたちエンジェリアの方々に、
生み出していただきましたので、
似ているんです。
頭頂部の毛束は、わたしたち特有ですけどね」
「これ、かわいいよね」
フィアーナが右隣で、呟くと、古代ギリシャ服姿のグラマラス美少女が、理由を教えてくれる。
すると、リルが左隣から、頭頂部からのハート状の桜色毛束を見ながら、甘く、明るい美声で、褒めた。
「それで、名前は?」
「ありません。
ご主人さまから、
名付けていただくことで、
契約が結ばれますので、
名付けていただけませんか?」
かわいらしい名前がいいよな。
天使……桜色……。
「『サクラ』は、どう?」
「かわいいですね!
自身の名称として、『サクラ』を登録。
ご主人さまの名も、登録しますので、
お教えください」
「リョウ……だよ」
「ご主人さまの名称として、
『リョウ』を登録。
これで、契約が完了しましたので、
わたし、サクラは、
リョウさまの〈セラフィム・ブレイズ〉に
なりました。
これから、よろしくおねがいしますね」
「うん、よろしく」
「はいっ」
古代ギリシャ服姿のグラマラス美少女、改め、サクラは、満面の笑みで、大きく頷いて、返事した。
頷く動きに合わせて、頭頂部からのハート状の桜色毛束、そして、3つ編みで、前方に垂らした状態、桜色の長い髪が揺れる。




