↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/32

第二話「異世界生活は、恋とともに、始まる」




 目が覚めると、屋敷――ルナティックでの自宅らしい――の寝室。

 乾きかけの涙の跡をなぞるように、新たな涙が両目尻から溢れ、こめかみへと、伝っていった。

 日光が頭側の窓から差し込んでいて、少し寝室を照らし、水分を帯びた状態の白銀色の長い睫(まつ)毛を輝かせている。


 今みたいに、泣いてしまうのに、どうして、初恋の彼女の夢を見たんだ? 

 想い合っていたけど、体が不自由なせいで、恋人らしいことをできずに、会えなくなって以来、彼女のことが心の大半を占領しているからか。

 彼女も、ルナティック人として、転生していて、再会できたら、嬉しすぎるな。

 


「おー!」

「んぅ……」


 久しぶりに、難(なん)なく、腕を上げられたことに感動して、声を上げると、女性の声が左側から、聞こえた。

 そちらを見ると、フィアーナが橙(だいだい)色のパジャマ姿で、左のほうを向いて、眠っていた。

 大好きな姉が眠っているのに、起こしてしまったら、悪いから、静かにしていよう。

 ていうか、フィアーナの髪、白銀色から、桜色へと、グラデーションになっていて、きれいだな。

 自分の髪を確認すると、白銀色だけど、桜色のグラデーションではなかった。



「す……げえ」


 簡単に、上半身を起こせたことに感動して、声を上げそうになったため、すぐさま、声量を落とした。


「ん……?」


 なにかが紺色の和服越しの胸に、軽く当たる。

 そちらを見ると、桜色の結晶が首飾りとして、首から垂れ下がっていた。

 ルナティック人としての記憶でも、この結晶の情報は、ない。

 5歳なんだから、自分にとって、重要な人物のこと以外、記憶に残っていないよな。


 首飾りの桜色結晶を眺めていると、ぴぴっ……という電子音が前方から、聞こえた。

 そちらを見ると同時に、扉が自動で開いて、垂れ目で、紫色の大きな瞳のグラマラス有角美人おねえさんなアクアが、紫色のセクシーなニットワンピース姿で、入ってきた。

 その服装は、セクシーだから、息子として、心配なんだけど。


「リョウくん、おはよぉ」

「おはよう」


 アクアは、俺に気づくなり、美しく、温和で、涙ぼくろ付きの顔を綻(ほころ)ばせる。

 そして、甘ったるく、包み込まれるような増艶(ぞうえん)美声で、挨拶(あいさつ)して、サンダルを脱ぎ、近寄ってくる。

 近寄る動きに合わせて、桜色グラデーション、ゆるやかウェーブの長い白銀髪が靡(なび)く。

 さらに、前方に垂れた状態の白銀毛束、紫色のシリコン製リストバンド、そして、紫色ニットワンピース越しの豊満すぎる胸が揺れる。

 


「今日は、早起きさんだねぇ」


 アクアが甘ったるい口調で、話しながら、マットレスの上、俺の右側に、腰を下ろした。

 窓からの日光によって、紫(むらさき)結晶の刃角(はかく)――刃(やいば)状の角(つの)で、紫色の結晶でできている――が、前髪の生え際の両端で、白銀色の長い睫毛とともに、輝く。


 アクアがマットレスに、美しく、しなやかな両手を着いて、前傾姿勢になり、目線の高さを合わせてくれる。

 近い距離で、前傾姿勢になったことによって、甘ったるいフェロモンが香り、紫色ニットワンピース越し、圧倒的な豊かさの胸が強調され、ドキドキしてしまう。


「ふふっ、ママのことを見つめて、

 どうしたのぉ?」

「な、なんでもないよ」


 アクアが上品に笑う。

 そして、瑞々(みずみず)しく、艶(つや)やかな唇を動かし、甘ったるく、包み込まれるような増艶美声で、尋ねてくる。

 美しく、温和で、涙ぼくろ付きの顔とかに、見惚(みと)れていたなんて、言えないため、ごまかした。


「顔が赤くなってる……あっ!

 『ルナ、今日の日付はぁ?』」

 

 アクアは、なにかに呼びかけると、白い光が首輪の縁を走り始めた。


「『ありがとぉ』」

「ルナって、その首輪のAI?」

「うん。

 この〈VDRチョーカー〉は、

 空中に、パソコンを映し出せるんだけど、

 ルナは、そのパソコンのAIだよぉ」


 あの首輪は、仮想パソコンを反映させられるのか。


「リョウくんも、大きくなったら、

 貰えるからねぇ」


 買うんじゃないんだな。


「ふふっ。

 やっぱり、記憶が蘇ったんだねぇ」


 アクアが上品に笑って、言ってきた。

 前世を思い出すのは、ルナティックでは、当たり前なのか。


「ルナエルさまと会って、お話した?」

「うん。お話させてもらったよ」


 それで、なにか、わかるのか?


「アーシア……地球人とかで、

 遺伝子異常や病気のせいで、

 つらい思いしたから、

 ルナエルさまが

 救ってくださったんだねぇ」


 アクアが言い当てて、美しく、しなやかな右手で、俺の頭を撫でてくれる。

 撫でる動きが右手首の紫色のシリコン製リストバンドを揺らす。


「なんで、わかるの?」

「ルナエルさまと会って、お話できるのは、

 そういう子だけだからだよぉ」


 なるほどな。



「うわっ」

 

 アクアが細い両腕で、抱きしめてきた。

 抱きしめられたことによって、甘ったるいフェロモンが強く香り始め、紫色ニットワンピース越し、圧倒的な豊かさの胸に、顔を包まれ、またドキドキしてしまう。

 

「今回の生(せい)は、前回の分も、

 幸せになってねぇ。

 リョウくんが楽しめるように、

 ママも、協力するからぁ」


 アクアが美しく、しなやかな右手で、俺の後頭部を撫でながら、言ってくれる。


「うん、ありがとう」

「大切に、育てているんだから、

 幸せを願うのは、当然のことだよぉ」


 アクアは、俺と顔を合わせて、言った。

 必死に、産んだことは、言わなくていいの?

 まさか、ルナティック人としての俺の母親は、別にいるけど、異星からの危険な知的生命体のせいで、消息不明だから、アクアが代わりに、育ててくれているのか?

 アクアが育ての親だと、先ほどのドキドキも、アーママ――アクアママの略――と呼ぶことも、辻褄(つじつま)が合うんだよな。



「アーママ」

「なあにぃ?」

「この首飾りは、なんなの?」

「それは、〈セラフィム・コア〉。

 〈セラフィム・ブレイズ〉の核だよぉ」


 右手で、首飾りの桜色結晶を持って、アクアに見せながら、尋ねると、知らない単語が返ってきた。


「セラフィム・ブレイズ?」

「〈セラフィム・ブレイズ〉は、

 人工生命体のひとつで、

 エンジェリア……ルナエルさまの

 故郷アンゲルの人たちが生み出したのぉ」


 ルナエルさまは、アンゲル……っていう惑星の人なんだな。


「魔族……異星からの

 危険な知的生命体から、

 人類を守ってくれるんだよぉ。 

 ルナティックの場合は、

 男子たちを守ってくれるのぉ」

「男が少ないから?」

「うん。

 女子が人口の7割以上も、いるし、

 魔族は、女子の命を奪わないし、

 守らなくても、だいじょーぶだからねぇ」


 ルナエルさまが仰(おっしゃ)っていた守護天使……っていうのは、〈セラフィム・ブレイズ〉のことか。

 

「リョウくんの

 〈セラフィム・ブレイズ〉は、

 ねんねしている状態だけど、

 半年したら、起きてくれるからねぇ」 


 成長するまでは、眠っているから、街の外に出ないほうがいいんだな。


「ほかに、聞きたいこと、ある?」

「大丈夫」

「じゃあ、なーちゃんを起こしてあげて」

「うん。

 フィアーナ、フィアーナ」

 

 女子の体に触れるのは、気が引けるため、フィアーナに声をかける。

 だが、彼女は、背を向けて、眠ったまま。


「肩を揺らしてあげて」

「フィアーナ、朝だよ」

「んっ」


 フィアーナの橙色パジャマ越しの肩に触れて、軽く揺らしながら、声をかけると、彼女は、こちらを向く。

 窓からの日光によって、紅(べに)結晶――赤色の結晶――の刃角が、前髪の生え際の両端で、白銀色の長い睫毛とともに、輝く。

 彼女がまぶたを開くと、垂れ目で、赤色の大きな瞳が露わになった。


「おはよ、リョウちゃん」

「おはよう……」

 

 俺を見るなり、フィアーナは、美しく、温和で、愛らしい顔を綻ばせて、瑞々しく、艶やかな唇を動かし、甘く、天使みたいな美声で、挨拶してくれた。

 初恋の彼女のいいところに、拍車が掛かったような容姿と声、それに加えて、その呼びかた。最高すぎる。

 およめさんになってほしすぎる。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。