第七話「入学式」
紫竜暦193年、前暖季。
4月7日。
ルナティシア――ルナティック人――としての転生から、12年5ヶ月が経過した。
今日から、学校に、通い始める。
――
「いってきます」
玄関の扉を閉めて、向きを変えると、フィアーナがセーラー服姿で、立っていた。
「なーたん!
待っててくれたの?」
「うん。
みんなも待ってるって言ってたけど、
行ってもらったの。
いこ?」
フィアーナが瑞々しく、艶やかな唇を動かし、甘く、天使みたいな美声で、美しく、しなやかな右手を差し伸べて、誘ってくれる。
「ふたりで、箒に乗って、行こう。
〖排出〗」
省略詠唱すると、右手首の〈空のルナリング〉が輝いて、白い魔法陣が手もとに展開し、〈インテリジェンス・ブルーム〉を出現させた。
〈インテリジェンス・ブルーム〉に跨って、飛行態勢になる。
「わたし、重いから、
バランスを崩しちゃうよ?」
「大丈夫。乗って」
フィアーナが遠慮がちに、〈インテリジェンス・ブルーム〉に跨って、落ちないように、背中から、抱き着いてくる。
それによって、セーラー服越しの豊満すぎる胸が押し当てられ、ドキドキしてしまう。
「リョウちゃん?」
「飛ぶよ。
〖魔力継続変換・風〗」
省略詠唱すると、緑色の魔法陣2枚が両足の裏に展開して、同色の発生風を発生させ、俺たちを上昇させる。
両膝を曲げて、風を強くし、学校へと、飛ぶ。
――
飛行していると、セーラー服姿のユキネたちを見つけた。
「ふたりとも、にゃっほー」
「にゃ、にゃっほー」
「にゃ、にゃっほー」
降下すると、リルが俺たちに気づいて、美しく、温和で、人懐っこい顔を綻ばせた。
そして、甘く、明るい美声で、可愛く、挨拶してきたため、フィアーナとともに、照れながら、返した。
「おにいちゃん、おはようです」
「おはよう」
ハルネが美しく、お淑やかで、愛らしい顔を綻ばせて、甘く、癒やされるような美声で、挨拶してくれたため、返した。
「リョウたそ!」
「にゃんこを呼び寄せて!」
モミノが甘く、色っぽい美声で、俺の名前を呼んで、ユキネが甘く、透き通るような美声で、頼んでくる。
ふたりとも、猫ちゃんが好きすぎるんだよな。
「いっしょに、登校するだけでいい?」
「おねがいします!」
「おねがい!」
ふたりは、〖始祖の器〗所持者が歩いているだけで、動物を呼び寄せれること、知っているのか?
――
「ここまでで、大丈夫よ。
お見送り、感謝するわ」
街の犬や猫の行列を連れて、学校に到着した。
ユキネが感謝すると、動物たちは、去っていった。
「お名前、おねがいします」
校門を通って、名札の受け取り所に差し掛かると、王竜族少女が促してきた。
桜色スカーフだから、2年生の先輩か。
「リョウ・ブライトです」
「フィアーナ・ブライトです」
俺たちが名乗ると、王竜族の先輩女子は、机の向こうから、ふたつの名札を取り出した。
「どうぞ。
こちらの名札は、学校に滞在しているときは、
首にかけておいてくださいね」
「「はい」」
俺たちは、自分の名札を受け取って、首にかけた。
「あの、〈セラフィム・ブレイズ〉は、
この状態でも、いいですか?」
「はい。〈セラフィム・ブレイズ〉は、精霊状態か、
通常状態で、セーラー服姿のどちらかであれば、
大丈夫ですよ」
両手で、精霊状態のサクラを示して、確認すると、王竜族の先輩女子は、笑顔で肯定して、補足してくれた。
「ありがとうございます。
失礼します」
フィアーナと手を繋いで、校内に足を踏み入れた。
――
校内。
「A組の子は、こっちだよ」
「B組の生徒は、こっちに並んでくださいね」
体育館へと、足を踏み入れると、王竜族おねえさんな先生ふたりが甘く、優しい美声を張って、呼びかけていた。
A組の先生は、セーター姿で、両方の細腕を上げて、振っていて、B組の先生は、スーツ姿で、口もとに、美しく、しなやかな左手を近づけて、甘く、優しい美声が広範囲に、届くようにしている。
「わたしたちは、B組よ」
首かけの名札を確認しかけると、ユキネが瑞々しく、艶やかな唇を動かし、甘く、透き通るような美声で、教えてくれる。
A組の先生、アクアに少し似ているから、確実に呼び間違えそうだから、B組で、よかった。
「おはよう」
フィアーナとともに、列に並ぶと、甘く、澄み渡る美声が左隣から、聞こえた。
そちらを見ると、垂れ目で、濃い桜色の大きな瞳の王竜族少女がセーラー服姿で、美しく、温和で、儚げな顔を綻ばせて、こちらを見ていた。
「お、おはよう」
「ふふっ、わたしは、ウィステリアちゃん。
よかったら、リアって呼んでね。
よろしくね」
照れながら、挨拶を返すと、濃い桜色の大きな瞳の王竜族少女、改め、ウィステリアちゃんは、笑って、首掛けの名札を見せながら、名乗ってくれる。
「りょ、リョウです。
よ、よろしく」
女子には、少し緊張するな。
「リアちゃん、歌が上手なんだよ」
フィアーナがウィステリアちゃんのことを教えてくれる。
仲がよさそうだな。
フィアーナは、異性が苦手な代わりに、同性とは、かなり仲良くなれるんだよな。
「言うほど――」
「わたしたちのおねえちゃんは、
すごいんだから!」
ウィステリアちゃんが謙遜しかけると、甘く、凛々しい美声が右前から、遮った。
そちらを見ると、垂れ目で、緑色の大きな瞳の王竜族少女がセーラー服姿で、こちらを向いて、誇らしげに、背中を反らしていた。
それによって、セーラー服越しの豊満すぎる胸が強調されている。
「つーちゃん!
恥ずかしいから、やめて」
「はーい。
おねえちゃん、可愛くて、すごいのに」
ウィステリアちゃんがほおを赤らめて、注意すると、緑色の大きな瞳の王竜族少女は、不服そうに、呟いた。
「つーちゃん……ツバサちゃんの言葉は、
あんまり、気にしないでね」
「う、うん」
忘れられないけど。
「待って。
始祖返りで、フィアさんの隣にいる。
フィアさんの旦那さまってことよね?」
「ま、まだ恋人だよ」
ツバサちゃんが尋ねると、フィアーナは、美しく、温和で、愛らしい顔を赤らめて、訂正した。
今は、なーたんの恋人!
将来は、なーたんの旦那さま!
最高すぎる!
「わたし、動画の撮影と編集が好きで、
〈コイセカ〉も、好きなの!
ふたりが〈コイセカ〉の
主人公とヒロインみたいな関係だから、
おねがい。
撮影させてください」
「おねがいします」
ツバサちゃんが頭を下げると、ウィステリアちゃんが続いた。
〈コイセカ〉は、ライトノベル原作のアニメで、モミノとリルが好きな作品だよな?
「フィアーナがよければ」
「やったー」
「よかったね」
ツバサちゃんは、美しく、温和で、凛々しい顔を綻ばせて、ウィステリアちゃんと両手を合わせて、飛び跳ねながら、喜ぶ。
その動きに合わせて、ポニーテール状態、桜色グラデーションの長い白銀髪、水色の膝丈スカートが浮き上がる。
さらに、〈空のルナリング〉、セーラー服越し、圧倒的な豊かさの胸が揺れる。
フィアーナがまだ返答してねえよ。
「ふぅ」
やや垂れ目で、赤色の大きな瞳の王竜族男子がハンカチで、手を拭きながら、体育館の後方から、カッターシャツに、紺色ズボンを合わせた姿で、現れた。
同級生なのに、こんな高身長で、男前なのかよ。
「つー。
なんだか、すごく盛り上がってるけど、
どうしたの?」
赤色の大きな瞳の王竜族男子は、爽やかで、軽やかな声で、ツバサちゃんに尋ねた。
「おにいちゃん!
ふたりが撮影を許可してくれたの!」
「ギンくん!?」
ツバサちゃんが返答すると、赤色の大きな瞳の王竜族男子は、こちらに、ウィステリアちゃんを向かせて、彼女の背後に隠れた。
向きを変えられたことで、上半分を纏めて、下半分を垂らした状態、桜色グラデーションの長い白銀髪、水色の膝丈スカートが靡く。
さらに、右手首の〈花のルナリング〉、そして、セーラー服越し、ツバサちゃんと同じ豊かさの胸が揺れた。
「おにいちゃんの人見知りが
発動しちゃった」
「ねぇ、ギンくん。
ふたりとも、いい子だから、大丈夫。
ご挨拶しよ?」
「ぎ、ギンガ・サファイアです。
よ、よろしく」
赤色の大きな瞳の王竜族男子は、凛々しく、無垢で、端正な顔を赤らめながら、ウィステリアちゃん越しに、左腕を伸ばして、名札を見せながら、名乗ってきた。
「リョウ・ブライトです。
彼女は、俺のフィアーナです。
よろしく、おねがいします」
「「ふふっ」」
フィアーナが俺の恋人であることを強調して、彼女を紹介すると、ツバサちゃん、ウィステリアちゃんが笑った。
「俺の……」
フィアーナは、美しく、温和で、愛らしい顔を赤らめつつ、嬉しそうにしている。
かわいい。
「これより、紫竜暦993年度、
入学式を始めます」
生徒が集まったところで、入学式の開始が宣言された。
――
「続いて、新入生の挨拶になります。
リョウ・ブライトさん、
おねがいします」
「俺?」
「きーちゃんが言ってたでしょ?」
「ふふっ」
フィアーナとのやり取りで、小さな笑い声が前方から聞こえた。
そちらを見ると、垂れ目で、橙色の大きな瞳の王竜族少女が振り向いて、美しく、温和で、快活な顔を綻ばせていた。
視線が重なって、照れると、彼女は、笑って、前方に向き直した。
それによって、外はね状態、桜色グラデーションの長い白銀髪、水色の膝丈スカートが靡いた。
「な、なんで、笑ってるの?」
「うしろの子がかわいくて」
垂れ目で、青色の大きな瞳の王竜族少女がフィアーナの前方で、驚きながら、甘く、優しい美声で、尋ねる。
すると、橙色の大きな瞳の王竜族少女が甘く、落ち着いた美声で、返答した。
「シグ、余裕ありすぎ」
「そんなことないって。
ヒナが緊張しすぎてるだけ」
ふたりは、幼馴染なのか?
「すんません」
低姿勢で、列の右横を通り抜けて、壇上に向かう。
登壇すると、北銀獣族の先輩女子な生徒会長が美しく、しなやかな両手で、スタンドマイクを示して、促してくる。
彼女の種族は、長い黒髪、愛らしい犬耳、そして、ふわふわ尻尾が魅力的で、元々、中央大陸の北方に住んでいた。
多数の同級生に、注目されてるし、ほとんどが女子だから、緊張する。
同じクラスの聖霊族のぽっちゃり男子を見て、落ち着け。
「リョウ・ブライトです。
前回は、事情があって、
高校には、1年半しか、通えなかったので、
今回は、青春を謳歌したいと思います」
よし。あとは、締めるだけ。
「はっ……ちゅんっ!」
最悪。
大人数の前で、くしゃみ、出るなよ。
ほら、ざわざわしてる。
「い、以上です」
恥ずかしくなって、壇上から、駆け足で、降りた。
第1印象、終わった




