第四話「幹部会議」
「イクサ~」
垂れ目で、緑色の大きな瞳の北銀獣族女性が寝床の奥から、現れた。
彼女は、イクサに惚れられて、攫われた被害者だが、彼が魔族なのに、紳士すぎるため、仲良くなった。
「おっ。のんじゃねえか。
どうした?」
橙色髪の人型魔族なイクサは、漫画を閉じて、北銀獣族女性なノドカを見ながら、尋ねる。
「そろそろ、通信の時間。
上司からのだから、
遅れたら、殺されるんじゃないの?」
「そうだな。
行ってくる」
「行ってら~」
イクサが寝床から、ボス部屋へと移動する。
彼は、六狂血のひとりで、肉弾戦を好む。
魔族には、珍しく、ひとりの女性を愛し、男性と友達になりたがる。
「〖出でよ〗」
ボス部屋の中心、床に触れて、省略詠唱。
直後、複数のブロックが浮き上がって、階段状になった。
「めんどいな」
階段を上っていき、その先の部屋に足を踏み入れた。
室内には、赤黒く、大きな宝玉が浮いていた。
この宝玉は、魔族の巣の心臓みたいなもので、魔巣核と呼ばれている。
『通信です』
男性ボイスでのアナウンスが室内、ボス部屋、寝床で流れ始める。
魔巣核に触れると、薄板状ディスプレイが出現。
垂れ目で、青色の大きな瞳の王竜族女性、参加者リストがディスプレイに表示された。
彼女は、青色のタイトワンピースに、黒いカーディガンを羽織っている。
左端の参加者リストには、知識狂い(星)、人形狂い(毒)、戦闘狂い(炎)、芸術狂い(嵐)、武器狂い(雷)の5つが記されている。
戦闘狂い(炎)は、イクサのことである。
(この通信、惑星デヴィルからだぞ?
人間は、ほぼ来れないはずなのに、
なんで、ルナティシアの女が……?
しかも、俺より、強いのが
めっちゃ伝わってくるし)
イクサは、戦闘狂いなため、なんとなく、相手の実力を感じ取れるようだ。
「これで、いけてるかな?」
色狂い(氷)が参加者リストに追加されて、点滅を開始するとともに、音声が入る。
軽薄そうな声だ。
「おっ! キミ、きれいだね。
ボクの女にならない?」
「氷狂血殿!
この方は、ミゾレさま。
魔王妃で、
我々より、お強いのですぞ!」
知識狂い(星)の文字が点滅して、注意する音声が入る。
賢そうな声だ。
「うるさいな。
ボクが口説いているんだから、
邪魔しないでよ。
ねぇねぇ、経験豊富だから、
魔王さまよりも、喜ばせれるよ」
「氷狂血、黙りなさい」
「そんなことを言わずに――」
ミゾレが色狂い(氷)の音声を途絶えさせた。
「大人しく、聞いてなさい」
「ミゾレさま。
新しい武器を試すついでに、
あいつを殺しておこうか?」
武器狂い(雷)の文字が点滅して、提案する音声が入る。
職人を彷彿させるような声だ。
「大丈夫です。
実力差を教えないといけませんから」
ミゾレは、断って、息を整える。
「それでは、会議を始めましょうか。
わたしは、ミゾレと申します。
魔王妃を務めさせていただいております」
彼女は、胸もとに、美しく、しなやかな手を添えて、自己紹介する。
「魔王妃は、魔王さまに見初められた
女性たちのことで、
その実力は、我々を超えます」
知識狂い(星)の文字が点滅して、説明の音声が入る。
「ジニア。
説明、感謝します」
「ありがたき、お言葉」
「早速ですが、こちらをご覧ください」
リョウの画像、情報がディスプレイに表示された。
「彼は、〖始祖の器〗所持者。
魔族の敵であるため、
あなた方には、
彼の仲間たちに警戒しつつ、
彼の殺害を命じます」
イクサがは、友達になりたいため、嫌そうだ。
「炎狂血、嫌そうですが?」
「すんません。
外出が苦手で」
「わかります……」
イクサが謝って、嘘の理由を述べると、芸術狂い(毒)の文字が点滅して、同意する音声が入る。
大人しそうな声だ。
「報酬は、彼の仲間の女性なのですが、
無理でしょうか?」
フィアーナたちの画像がディスプレイに表示されて、戦闘狂い(炎)以外の文字が点滅して、盛り上がる音声が入る。
(やっぱ、のん以外の女には、惹かれねえな)
「あの女の人じゃない……」
芸術狂い(嵐)の文字が点滅して、呟く音声が入る。
「毒狂血、あの女の人とは?」
「緑色のオーラを纏っていて、
笑いながら、先代の主を
ボコボコにしていた人です」
「その女の特徴を教えてください」
「髪色がミゾレさまと同じで、
水色の上着を羽織っていました」
ミゾレは、思考を巡らせる。
「デビ。
サテラの後ろ姿の画像を表示」
『了解』
彼女がAIに声をかけると、低い男性ボイスでの返事が流れて、サテラの画像が表示された。
「あなたが見た女性の上着、
このローブでしょうか?」
「はい! これです!」
「ローブを着ているだけだろ?
なにか、問題があんのか?」
武器狂い(雷)の文字が点滅する。
「このローブを着ている女性は、
ルナティシア最強と称される
始祖アイギスの仲間で、
最高峰の実力者です」
(始祖は、魔王に殺されたけど、
仲間は、普通に生きてるんだな)
この通信の参加者は、狂血魔になるとき、知識として、ネトニスがアイギスを殺害したことを得ている。
「戦ったら、絶対に勝てないほどのな」
「魔族への復習に燃えていますから、
より危険でしょうな」
人形狂い(毒)と知識狂い(星)の文字が連続で、点滅する。
「始祖と〖始祖の器〗の仲間たちに
警戒しながら、
〖始祖の器〗を殺す……っていうことですか?
「はい。
ふたりとも、頑張れますか?」
「「頑張ります」」
「それでは、六狂血の皆さん、
おねがいします」
「仰せのままに」
参加者リストの文字が点滅した。
「わたしからは、以上です。
ジニア、引き継ぎます」
「はっ」
知識狂い(星)の文字が点滅して、映像が切り替わる。
すると、赤髪の人型魔族が映し出された。
「わしは、ジニア。
科学者の真似事をしております。
女性を用意できますが、
いかがいたしますかな?」
「ほしいです」
芸術狂い(毒)の文字が点滅する。
(俺には、関係ねぇ話だな)
イクサは、魔巣核に触れて、通信を消した。
(殺される前に、会いに行かねぇと、
友達になれねえ。
急ごう)
イクサは、決意するのだった。




