第六話「博識サテラ」
前回のあらすじ。
屋敷への帰り、撤退させたはずのネトニスが現れる。
サクラが無力化されてしまって、ピンチに。
サテラさんが助けにきて、ネトニスを撤退させてくれた。
「それじゃあ、
サクラちゃんを治療しようか」
「「おねがいします」」
「うん。
〖星の息吹・翠嵐〗」
教会内に移動したところで、サテラさんがブラウスに、膝丈スカートを合わせて、水色の袖なしローブ姿、〖闘気〗由来の四肢鎧、青色の〖王気〗を纏った状態で、話を切り出した。
彼女は、俺たちに返事すると、瑞々しく、艶やかな唇を動かし、甘く、優しげな増艶美声で、省略詠唱。
直後、青色の〖王気〗が輝いて、青結晶の刃角、白銀髪の青色メッシュ、そして、垂れ目で、青色の大きな瞳とともに、緑色に変化した。
「〖纏翠・破壊〗」
彼女が緑色の〖王気〗を広げて、サクラの凍結状態の右肩を収め、省略詠唱。
直後、緑色の〖王気〗が輝いて、氷を破壊し、痛々しい傷口を露出させた。
「〖纏翠・破壊〗」
サテラさんが〖神気〗の〖透視眼〗を発動させたらしく、緑色の大きな瞳が輝き始める。
そして、サクラの左肩を見ながら、再度、省略詠唱すると、緑色の〖王気〗が輝いた。
「あとは、魔術で、流すだけ」
サテラさんがサクラに告げると、緑色の〖王気〗が白銀髪の緑色メッシュ、〖闘気〗由来の四肢鎧とともに、消失。
そして、緑結晶の刃角、垂れ目で、緑色の大きな瞳が赤色に変化した。
「〖魔力変換・流水〗」
サテラがサクラの左肩に、指先露出の白い手袋越しの美しく、しなやかな右手を向けて、省略詠唱。
直後、青い魔法陣が右手の延長線上に展開して、同色の水を放射し、傷口の中を洗い流していく。
「〈VDRチョーカー〉の
発動補助があるのに、
どうして、詠唱を?」
「夜間は、バッテリーの使用量が
限られてるから、節約だよ」
「なるほど」
夜の森、しかも、曇っている状況だと、バーニング――グラスの恒星――やラヴ――ルナティックの衛星――、星、そして、人工の光がないから、充電できないもんな。
「よし。
これで、再生できるはずだよ」
「ありがとうございます」
サクラが瑞々しく、艶やかな唇を動かし、甘く、優しげな美声で、感謝を述べると同時に、サクラの右肩が癒えた、
よかった。
「今回も、デビル・サーヴァントのときも、
助けてくださって、
ありがとうございます」
「当然だよ。
アイギス……始祖から、
君たち〖始祖の器〗所持者のことを
任されているからね」
始祖アイギスさまは、ネトニスが〖始祖の器〗所持者を狙うことまで、わかっていたのか。
すごいな。
「気になることがあったら、
遠慮せずに、聞いてね」
「はい。早速なんですけど、
サテラさんの〖王気〗の色が変わるのは、
どういう仕組みなんですか?」
「〖星天の王気〗の能力だよ。
花天、炎天、嵐天、雨天、雷天の
5属性の〖王気〗に変化できるんだ」
すごっ。
「ふふっ、これでも、強さでいうと、
2番目なんだよ」
心の声が漏れたらしく、サテラさんが笑って、教えてくれる。
「2番目なんですか!?」
「うん。
最強は、〖蒼天の王気〗だね。
覚醒するだけで、特性が使えるし、
レベル2で、すべての〖王気〗に
変化できるようになるし、
極めると、魔眼も、
使用可能になるからね」
サテラさんが〖蒼天の王気〗について、教えてくれる。
「強すぎる分、覚醒するまで、
〖闘気〗と〖神気〗が
使用できないけどね」
「俺の〖王気〗って、
〖蒼天の王気〗ですよね?」
「そうだね」
王竜族だから、12歳になるだけで、〖王気〗が覚醒するのに、〖始祖の器〗のせいで、16歳まで、延長された上に、〖闘気〗も、〖神気〗も、使えないのかよ。
――
サテラさんと並んで、森の入口に向かって、石畳の道を歩いていた。
「名前しか、言ってなかったけど、
ぼくは、始祖アイギスの星天姫なんだ」
「せーてんき?」
知らない単語だ。
「〖王気〗が覚醒すると、
〖王気〗の種類に、王や姫を合わせて、呼ぶんだ」
〖王気〗が覚醒したら、めっちゃ強いから、その呼び方になるか。
「ぼくは、〖星天の王気〗を使用する姫だから、
星天姫なんだ」
「なるほど」
アクアは、雷天姫なのか。
「自分の仲間の姫を判別する方法……って、
ありますか?」
「〈ルナリング〉が点滅していれば、
自分の姫だよ」
フユネとエメラ以外の家族6人の〈ルナリング〉が点滅していたな。
「質問、いいですか?」
「どうぞ」
「聖霊族の攻撃面の強みって、
〖真なる聖霊〗と〖聖霊の刃〗を併用しての
暗殺ですけど、
ネトニスにも、効きますか?」
「〖聖気〗での攻撃になるから、
あまり効かないね」
神聖魔術でしか、役に立てない……って、〖狂邪気〗での負傷は、癒やせないんだった。
聖霊族が最弱なのか?
「覚醒すれば、他種族よりも、
強いんだけどね」
「どういうことですか?」
「聖霊族には、
金髪や茶髪の子がいるでしょ?」
色素の関係での違いなんじゃないのか?
「〖王気〗とともに、
金髪の子は、
神聖なる陽光と王竜族、
茶髪の子は、
神聖なる月光と銀獣族の力も、
覚醒するんだよ」
ちゃんと、意味があったんだな。。
「どういう力なんですか?」
「陽光の力は、〖王気〗の炎への変化、
重力を強めることができる。
月光の力は、
〖王気〗の水への変化と状態変化、
重力を弱めることができる」
〖蒼天の王気〗と同じで、覚醒すれば、強いんだな。
「どちらも、
〖王気〗を纏っている間だけだけどね」
〖王気〗が2属性になって、王竜族や銀獣族みたいになるんだから、制限があって、当然だな。
「話は、変わるけど、
君は、25代目の〖始祖の器〗なんだ」
「どうして、申し訳なさそうなんですか?」
「ネトニスを
討伐しないといけなくなるから」
無理なんだけど。
「どうして、
討伐しないといけなくなるんですか?」
「魔王討伐には、〖バフ・ブレス〗、
〖蒼天の王気〗、〈幻想武具〉、
魔王核の破壊が必要なんだ」
俺じゃなくても、よくないか?
「魔王核は、
惑星デヴィルにあるんだけど、
今の状況だと、
そこへの門が閉じられているから、
辿り着けないんだ」
惑星デヴィルへの門、閉じるなよ。
「呪いをかけられているから、
閉じているんですか?」
「そうだね。
〖アイギス殺しの呪い〗で、
弱体化しているから」
あいつ、びびって、閉じているのか。
「12年後には、呪いが解けて、
世界樹を狙ってくる。
だけど、世界樹に接近するには、
門を解放しないといけないんだ」
なるほどな。
「簡潔に纏めると、
12年後、ネトニスが
本気を出せるようになるけど、
魔王核の破壊が可能になって、
討伐できるようになる……ってことだよ」
「纏めてくださって、
ありがとうございます」
どっちにしろ、戦うことになるはずなんだから、憂鬱になっている場合じゃないよな。
「準備するものを
詳しく、教えてください」
ほおを叩いて、憂鬱な気もちを吹き飛ばし、サテラに頼んだ。
「〖バフ・ブレス〗と〈幻想武具〉だね。
前者は、ぼくが教えるよ」
「〈幻想武具〉は……?」
「〈幻想武具〉を入手するには、
〖王気〗を極めること、
2体の六狂血……次期魔王候補、
または、20体の上級魔族の撃破が
必要なんだ」
サテラさんが首飾りの赤い勾玉を見せながら、教えてくれる。
「その勾玉は、〈幻想武具〉の核ですか?」
「うん。
これは、
〈ファンタジック・コア〉のひとつ、
〈星のファンタジック・コア〉だよ。
君の〈聖剣〉みたいに、
魔力を流し込んで、詠唱することで、
武器になるんだ」
同じシステムなんだな。
「ちなみに、君は、〖蒼天の王気〗を
扱うようになるから、
〈ファンタジック・コア〉は、
空になるね」
〈ルナリング〉と同じだ。
「あの、覚醒するまでに、
ネトニスが襲ってきたら、
どうすればいいですか?」
「ネトニスに、ダメージを
与えられるように、
君たちを鍛えさせてもらうから、大丈夫」
鍛えてくれるんだな。
「早速だけど、
スキル〖蒼の輝き〗を
取得してしまおうか」
「青の輝き?」
「魔力膜や〖黒渦〗を無視して、
攻撃可能になるんだ」
すげえ。
「大切なひとを守りたい……って、
強く念じながら、
〈ルナリング〉に、
魔力を流し込んでみて」
フィアーナたちを守りたい……と念じながら、右手首の〈空のルナリング〉に、魔力を流し込むが、なにも起こらない。
「失いたくない……とか、奪われたくない……とか、
言い方を変えてみて」
「はい」
フィアーナたちを奪われたくない……と念じながら、右手首の〈空のルナリング〉に、魔力を流し込む。
直後、水色のオーラが右手を包み込んた。
《条件を満たしました。
スキル〖蒼の輝き〗が
使用可能になりました》
《スキル〖ステータス確認〗が
〖ステータス確認E〗に、
アップデートしました》
水色のオーラが右手を包み込んたところで、ルナエルさまボイスのアナウンスが耳もとで、流れた。
「できたね。
〖ステータス確認〗が
アップデートしただろうから、
〖クイーンステータス・オープン〗って、
念じてみて」
「はい」
サテラさんに返事して、ルナリングへの魔力供給をやめ、水色のオーラを消失したところで、〖クイーンステータス・オープン〗と、念じた。
直後、半透明な薄板状ディスプレイ6枚が目前に、円を描くような配置で、出現。
ディスプレイには、時計回りに、フィアーナ、モミノ、ハルネ、リル、ユキネ、アクアの情報が表示されている。
「転生直後で、姫たち全員と
出会っているんですけど、
こんなに、早く出会えるものなんですか?」
「うん。
ぼくたちアイギスの姫は、違うけど、
〖始祖の器〗所持者や始祖返りは、
そうだよ」
始祖アイギスは、最初のルナティッシアだから、自分の姫たちに、すぐ出会えるわけがないか。




