第二話「天空流剣術」
フユネに剣技を見せてもらうため、屋敷の地下、鍛練室に、やってきた。
「剣技を見ていただく前に、
天空流剣術について、お教えしますわね」
フユネが青い膝丈袴の巫女服――銀獣族の戦闘服――姿、模造刀を携えた状態で、瑞々しく、艷やかな唇を動かして、甘く、透き通るような増艶美声で、話を切り出した。
「まずは、べんきょーか」
エメラが淡い緑色の看護服――聖霊族の戦闘服――姿で、背後から、俺を抱きしめながら、瑞々しく、艶やかな唇を動かして、甘く、明るい増艶美声で、呟く。
「天空流は、剣術の流派のひとつで、
ルナティシアの始祖、
アイギスさまが戦闘力の低い自分や聖霊族、
スピード特化の銀獣族のために、
考案したとされていますの」
「始祖さまの戦闘力って、うちらのといっしょなんや」
聖霊族であるエメラがフユネの話を聞いて、甘く、明るい増艶美声で、呟く。
〖始祖の器〗の効果に、戦闘力が聖霊族と同程度に成長するというものがある理由は、始祖アイギス本人がそうだったからか。
「戦闘力が低くても、扱える……って、
どんな剣術なの?」
「体の柔軟性を利用する剣術で、
攻撃、受け流し、カウンターで、構成された
4つの基本技がありまして……」
フユネが右手の4本の細指を立てて、天空流に存在する技の種類の数を表す。
「りっくんには、その内の2つを
見ていただきますわ」
「うちの好きなやつやったら、ええなー」
4本中2本の細指を曲げて、告げると、フユネは、少し離れて、3時の方向、円柱状の的のほうに、向いた。
指で表すって、アクアみたいだな。
「まずは、〖飛燕斬〗ですわ」
「好きなやつ、きちゃー」
フユネが甘く、透き通るような増艶美声で、俺たちに技名を告げると、エメラが喜ぶ。
「この〖飛燕斬〗は、斬撃を飛ばす技で、
斬撃が燕のように、見えるため、
この名が付けられましたの」
フユネは、技の情報を話してくれると、指先露出の白い長手袋越しに、美しく、しなやかな右手で、模造刀を引き抜いた。
居合の構えになって、膝上丈の白い薄タイツ越しの美しい左足に、模造刀の先のほうを添えて、左方向に、体を捻る。
白い気体が模造刀の刀身から、溢れ出して、包み込み、薄く圧縮された。
あの気体は、なんなんだ?
「『天空流剣技、3の型〖飛燕斬〗』」
フユネが技名を紡いで、体の捻りを戻すとともに、右斜め上に、模造刀を振るうと、白い斬撃が放たれた。
その斬撃は、前方の円柱状の的に、直撃して、吹き飛ばした。
「次は、〖白鳥の舞〗ですわね」
「これも、好きー」
フユネが甘く、透き通るような増艶美声で、俺たちに技名を告げると、エメラが喜ぶ。
「この〖白鳥の舞〗は、空中での回転斬りで、
その姿が白鳥の舞に、見えるため、
この名が付けられましたの」
フユネは、甘く、透き通るような増艶美声で、技の情報を話してくれると、後退した。
「『天空流剣技、4の型……〖白鳥の舞〗』」
フユネは、膝上丈の白い薄タイツ越しの美脚で、駆け出したと同時に、技名を紡ぐ。
数秒後、左方向に、体を捻りながら、跳躍。
続けて、彼女は、空中回転して、横薙ぎに、模造刀を振るった。
空中3回転による力を加えての横薙ぎ攻撃であれば、わりと簡単に、魔族の硬いらしい首を斬り落とせそうだな。
フユネは、回転の名残によって、振り返って、着地。
膝上丈の白い薄タイツ越しの美脚で、勢いを殺すが、サンダルを履いているせいで、止まらず、かなり滑ってしまった。
金属繊維製のブーツ――戦闘靴――だったら、止まったんだろうな。
「すごかった」
「あらあら」
フユネがこちらに戻ってきたところで、彼女に感想を述べた。
すると、彼女は、美しく、お淑やかで、魅惑的な顔を赤く染めた。
「さすが、剣姫やな」
「エメラ。そのふたつ名は、恥ずかしいから、
やめてほしいのですけれど」
エメラが少し|褒めると、フユネは、少し嫌そうにした。
「それで、質問は、ありまして?」
「〖飛燕斬〗だっけ?
あの技を放ったときの白いものは、なんなの?」
模造刀を包み、薄くなったあの気体が気になるんだよな。
「あれは、魔力ですわ。
武器には、魔力の許容量が決まっていますの」
「コップも、無限には、水を入れれんやろ?
それと同じで、無機物のほとんどに、
魔力の許容量があるんやで」
「許容量を超えても、魔力を流していると、
気体になって、溢れ出しますわ」
エメラがフユネの説明を補足してくれる。
あの気体は、許容量超過分の魔力なんだな。
「〖飛燕斬〗は、許容量超過分の魔力を
隙間なく、刀に纏わせて、
薄く圧縮して、飛ばす技でして――」
〖聖剣憑依〗発動中の魔力漏出も、隙間なく、〖聖気〗を纏えば、蓋になって、魔力消費量が緩和されるんじゃないか?
「純粋なエネルギーである魔力を
ぎゅー……ってしまくって、放つから、
〖飛燕斬〗は、高威力なんやで」
〖飛燕斬〗は、高威力の中距離技なんだな。




