第一話「春風と白雲は、優しく」
目が覚めると、サクラの美しく、温和で、お淑やかな顔が目前にあった。
「おはようございます、リョウさま」
「おはよう」
サクラが俺と視線が合うなり、嬉しそうに、顔を綻ばせて、瑞々しく、艶やかな唇を動かし、甘く、優しい美声で、挨拶してくる。
返事したことによって、血液のにおいと味を感じ、デビル・サーヴァントとの戦闘を思い出した。
「フィアーナたちの体調は?」
「3人とも、元気ですよ。
フィアは、お昼前まで、
眠っていましたけどね」
サクラが俺の左側に正座して、返答した。
〖王気〗の初回発動によるものなんだろうな。
「サクラ、〖王気〗と〖闘気〗について、
調べてくれる?」
「そう仰ると思って、
惑星ルナティックの
プラネット・サーバーに、
アクセスして、調べておきました。
関連して、〖神気〗というものも、
見つけましたので、
そちらも、お伝えいたしますね」
じんぎ? 新しい単語が増えたな。
「おねがい」
「はい。
〖闘気〗は、銀色のオーラのことを
指していて、
使用者は、上級術士と呼ばれます。
この〖闘気〗は、金属のような硬度を
有していて、
これを纏うことで、
魔族の体表と体液の特殊効果を
無力化できるようです」
魔族討伐に必要なものなんだな。
「〖神気〗は、神の覇気と書くのですが、
あらゆるものの鑑定、
肉体の部分透視、
魔力探知、念話が可能で、
使用者は、上級術士と呼ばれます」
なるほどな。
「〖王気〗は、王の覇気と書くのですが、
色付きのオーラのことを
指していて
使用者は、聖級術士と呼ばれます」
聖級……って、2番目に、すごいやつだよな。
「〖王気〗には、
星、花、炎、嵐、雨、雷、
そして、氷の7属性が存在していて、
〈ルナリング〉の頭文字で、
判別できるそうです」
俺の〖王気〗は、氷かな?
「属性は、すべて、
空を連想するものなので、
〖炎天の王気〗や
〖雨天の王気〗のように、
呼ぶそうです」
氷属性は、〖氷天の王気〗って、呼ぶのか。
「いえ、氷属性は、蒼い天空と書いて、
〖蒼天の王気〗と、呼ぶみたいです」
青空の下は、大丈夫でも、上のほうは、寒いらしいもんな。
「〖王気〗を纏うことで、
100倍の戦闘力を齎し、
属性ごとの能力を扱えるようです」
アクアの〖王気〗は、紫電が迸っていたから、雷天。
フィアーナのは、〖星の満ち欠け〗って、省略詠唱していたから、たぶん、星天か。
――
「いったん、コアに戻りますね」
「うん」
〖属性変換魔術〗で、口に水を含んで、うがいし、〖ストレージ〗に、水を吐いたところで、サクラが光の粒になって、首飾りの〈セラフィム・コア〉――桜色の結晶――に入っていった。
ピピッ……という電子音が部屋の入口から、聞こえた。
そちらを見ると、扉が自動で開いて、垂れ目で、青色の大きな瞳の南銀獣族おねえさんなフユネが、セクシーなメイド服姿で、入ってくる。
ユキネとハルネの母親な彼女の種族は、長い黒髪、猫科の獣耳、そして、ふわふわ尻尾が魅力的で、元々、中央大陸の南方に、多かった。
フユネに続いて、淡い金髪、垂れ目で、緑色の大きな瞳の南聖霊族おねえさんなエメラも、セクシーなメイド服姿で、入ってきた。
モミノとリルの母親な彼女の種族は、長い耳、そして、小麦色の肌が魅力的で、元々、南方大陸の南方に多かった。
「起きとる!」
エメラが俺に気づいて、嬉しそうに、美しく、魅惑的で、人懐っこい顔を綻ばせる。
そして、サンダルを脱ぎ、膝上丈の白い薄タイツ越し、小麦色の美脚で、駆け寄ってくる。
駆け寄る動きに合わせて、肩にかかる長さの淡い金髪が靡く。
さらに、右手首の〈嵐のルナリング〉――緑色のシリコン製リストバンド――、そして、セクシーなメイド服越しの豊満すぎる胸が揺れる。
「ちょっと……」
フユネがエメラを止めるため、指先露出の白い長手袋越しの美しく、しなやかな右手を伸ばすが、届かず、前進を許してしまう。
「ろーっ」
エメラは、マットレスに迫ると、床を蹴って、軽く跳躍する。
そして、〖聖気〗――淡い金色の聖なるオーラ――の圧縮エネルギー製の両翼を広げて、滑空しながら、抱き着いてきた。
抱きつかれたことによって、甘ったるいフェロモンが濃く香り始め、セクシーなメイド服越し、圧倒的な豊かさの胸に、顔を包まれ、ドキドキしてしまう。
「もう大丈夫なん?
正常状態には、なっとるけど、
今日は、ずっと、横になってて、
ええんやで?」
エメラは、俺とのハグをやめると、目前に腰を下ろして、前傾姿勢になり、目線の高さを合わせて、俺を見ながら、〖神気〗を発動させたらしく、やや垂れ目で、緑色の大きな瞳が輝く。
輝きが収まると、瑞々しく、艶やかな唇を動かして、甘く、明るい増艶美声で、気遣ってくれる。
そして、俺の話を聞くため、若葉状、小麦色の右耳に、淡い茶髪をかけると、右手首の〈嵐のルナリング〉が揺れた。
「大丈夫だよ。
元気になったから」
「そっか」
エメラは、安心すると、俺の左側に並んで、抱きしめてきて、セクシーなメイド服越し、圧倒的な豊かさの胸に、俺の横顔を包んできた。
「エメラ、そんなに密着しませんの」
「なんで?
うちは、リョウがかわいいから、
抱きしめとるだけやのに」
フユネが瑞々しく、艶やかな唇を動かし、甘く、透き通るような増艶美声で、注意すると、エメラは、理由を尋ねた。
「りっくんは、愛らしいですけれど、
殿方なんですから、
離れてくださいまし」
「甘えてもらって、
癒そう……っていう意味でも、
こうしとるのに。
男子は、女子に甘えたら、心が心を癒えること、
はくしき? の天才ふーちゃんなら、
知っとるやろ?」
フユネが指示すると、エメラは、食い下がる。
「知っていますけれど、
とっさに、付け足してなくって?」
「は、はぁ!?
そんなこと、ないんやけど?」
フユネが呆れ気味に尋ねると、エメラは、狼狽えるが、必死に隠そうとする。
エメラは、わかりやすいんだよな。
「癒やせれるんやから、
このままでも、ええろ?」
頭を振る動きに合わせて、長い黒髪が左右に軽く靡く。
「はぁ、いいですけれど、
りっくんの顔を拭いてあげなさいな。
きっと、エメラの汗が
付着してしまっていますわ」
「あっ」
エメラは、少し離れて、腕を抱きしめてきた。
「気づかんくて、ごめんな?
今、拭いたるからな……濡れとる」
謝って、ハンカチを取り出した。
「待ってな。
そっこー、乾かすから」
「はぁ、乾かしても、
においは、残りますのよ?
そんな汗臭いもの、
りっくんに、触れさせないでくださいまし」
フユネがハンカチを取り出しながら、エメラに教えて、注意する。
汗臭い?
完熟期――24歳以上のルナティシア――女性は、汗をかきやすいけど、甘ったるいフェロモン以外、香ってきたことないんだけどな。
「このハンカチは、
今朝、洗濯して、
乾燥させたものですからね」
「うん」
「失礼いたしますわね」
フユネが美しく、お淑やで、魅惑的な顔を綻ばせて、告げてくる。
そして、ハンカチで、顔の左側を拭いてくれる。
その動きに合わせて、右手首の〈雨のルナリング〉――青い〈ルナリング〉――、セクシーなメイド服越し、エメラと同じ豊かさの胸が揺れる。
「はい。
これで、拭けましたわ」
「ありがとう」
「どういたしまして」
感謝を述べると、フユネは、笑顔で、返事してくれた。
「エメラ。
2枚は、ハンカチを
持っておいたほうがいいですわ」
「わかった。
持っとく」
ふたりの会話を聞いていると、姉妹に思えてくるんだよな。
「フユママ」
「はい?」
「明日以降なんだけど、剣術を教えて」
「剣術、ですの?
理由をお伺いしても、よろしくて?」
少し照れながら、理由を述べると、フユネが左頬に、指先露出の白い長手袋越しの美しく、しなやかな手を添えて、尋ねる。
「フィアーナたちを守れるように、
強くなりたくて」
「あらあら。
男性らしくて、素敵な理由ですわね」
「ええ子や。
さすが、先導種」
フユネとエメラは、嬉しそうに、美しい顔を綻ばせる。
そして、指先露出の白い長手袋越し、色違いの美しく、しなやかな右手で、優しく、頭を撫でながら、褒めてくれる。
撫でる動きに合わせて、ふたりの〈ルナリング〉、セクシーなメイド服越し、同じ豊かさの胸が揺れる。
「教えてくれる?」
「もちろんですわ。
明日から――」
「剣技を見るだけなら、
今日でも、ええんちゃう?」
フユネの言葉を遮って、エメラが提案してくれる。
「そうですわね。
今日は、剣技をご覧になっていただいて、
刀の振りかたなどは、
明日から、お教えさせていただきますわね」
やったぜ。




