親子デート
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こうして父のお陰で獲物を狩ることができた。
今は先程のダメージが思いのほか酷く、近くにある木に寄りかかって休んでいる。
現在時刻ははっきりと分からないが、もうすぐ夕方になる頃だろうか。
父はイノシシを捌いていた、家の方が処理しやすいだろうにどうして今捌いているのだろうか?
ふと疑問に思い父に尋ねてみた。
「それ持って帰るんだよね?家で捌けばいいじゃん」
「だって帰るの明日だしな、今日の夜飯どうすんだ?」
「え?僕たち帰るの明日なの?」
「言ってなかったか?」
「父ちゃん一言も言ってないよ?!」
「そうか?じゃあ今言った。近くに休憩するのにちょうどいい洞穴があるからそこで1晩過ごすぞ。」
「布団は!」
「ないが、こいつの毛皮があるからな、何とかなるだろう。」
今日は泊まり込みらしい。
騎士を目指すなら、こういった過酷な環境での野宿も将来経験することになるのだろう。
そうしていると父は捌き終わったイノシシの肉を縛って背負った。毛皮はこちらに投げてきた、持てということだろう。
僕の方も歩ける程度には体力も回復した。
「ここから真っ直ぐに数時間くらい歩けば洞窟があるから今日はそこで寝る。明日は毛皮を洞穴に置いて帰るから、その分もう1匹くらい何か狩って帰ること目標な。」
「わかった!じゃあ歩いてる間に学校の話してよ!学校の話!」
「はいはい」
並んで生い茂る木の中を進んでいく。1人だと迷ってしまいそうだが、父がいるので問題ないだろう。
そうして父に何を話してもらおうか考え、ひとつ質問をした。
「父ちゃんがついていけないと思った人ってどれくらい強かったの?」
僕からすれば父だって強い。その父がついていけない世界に少し不安を覚えたからこその質問だった。
質問すると父は昔の頃を思い出したのかどこか遠い目をしながら語った。
「騎士になりたいって人は元々少ないから、同じ年に入るやつなんて10人行かないくらいなんだが……そいつは少なくとも俺が辞めるまでの間ずっと学力、剣術、神術全てにおいて1番上だったな。
俺は全てにおいてボコボコにされたもんだ……。」
そんな話を聞いていると、自分が騎士を目指せるのか不安になる。僕は少し顔を俯かせてしまった。
そんな不安を感じ取ったのか、父は少し笑いながら声を発した。
「そいつは例外だ、神童と呼ばれるほどだったからな。入学後の1年間は基礎がメインだからあまり置いてかれることもないと思うぞ。
お前には神術を使えない分先に身体や剣の扱い方を鍛えさせてる。普通そこら辺を本格的に鍛えるのは学校に入学してからだ。
それに、まだ入学試験まで2年近くあるんだし焦るほどの事じゃない。少なくとも今は同い年のやつらより確実に身体は強くなっているはずだ。」
騎士を目指す者は神術ばかり鍛えて、身体は入学後から本格的に鍛えるタイプの人が多いらしい。
故にこの歳で身体を鍛えている僕は珍しいのだとか。
お前も努力は続けているし問題はないという父。
実際ある程度体力は着いてきた気がするし、最初の条件の中で明らかにできていないことは闘気くらいだとは思うのだが……。
「でも父ちゃん闘気についてきちんと教えてくれないじゃん。」
「教えただろ。こうギュッ、と頭の中で力を込めてバン!って感じだ。」
これである。そもそも父はあまり闘気が得意ではない。そして何より感覚派らしく、参考になることを教わったことがない。
「父ちゃんの説明参考にならないんだよね……」
「しかたがないだろ……父さんあまり上手く使えないんだから。自分の適性さえ分かれば使える神術とは違って闘気はコツを自力で掴むしかないんだ。」
「ほんとに12歳までに扱えるようになるのかなぁ。」
神術に関してはみんなそれとなく扱えるらしく、実際に生活している中で使うことも多い。
例えば僕の家はお風呂上がりに両親が神術で髪や身体を乾かしてくれる。
だが闘気は戦闘職でもない限り存在すら知らなかったりする。父も使わないで狩りをしているし、父の場合使っても効果はあまりないのだとか……。
だから僕らが住んでいる村で1番詳しいのはおそらく父だろう。そもそも騎士を目指す人が滅多にいないのだし当たり前だ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
自身の課題について考えながら父の後を着いて行くと、前の方に大きな崖が見えた。よく見ると穴が開いている。
「ここだ、今日はこの中で寝る。」
「わかった。そういえば父ちゃん飲み水はあるの?僕もうすぐ無くなるんだけど。」
「近くに川があるからな、水が必要な時はそこの水を使う。それと焚き火をするから足元にある細めの木を集めてくれ。」
焚き火も外で寝るのも初めてなのでなんだかワクワクしてきた。
そうして木を集めながら洞穴の近くに来ると生き物が鳴いているような音が聞こえてきた。
思わず僕は父に尋ねる。
「声が聞こえない?なんかいるのかな……。」
「……聞こえるな。ここに人がいることは無いはずだが……。いないとは思うが魔物かもしれん、俺が見てくるからここで待ってろ。」
そういうと父は木を1本足元から拾い上げ火をつけた。
そうして洞穴の中へ進んでいって、洞穴へ足を踏み入れた瞬間。
「キャアアアアアアアア!!」
叫び声のようなものが聞こえた。それとほぼ同時に父が大量の水とともに吹っ飛んできた。
(まさか本当に魔物……?)
僕は昔のリベンジを果たすために、緊張しながらも覚悟を決めて、剣の柄を握り込む。
すると父が口の中に入った水を吐き出して一言発する。
「待て!人だ……。中に人がいるだけだ。」
父の言葉を聞き、まだ警戒をしつつ洞穴の中を覗いてみると。
「ご……ごめんなさい…………」
そこには怯えた様子で頭を下げる、僕とそこまで歳が離れていなさそうな女の子がいた。
闘気
体の中にある神力を変換して作れるもの。
作った闘気は身体に流すことで身体能力を向上させることができる
基本的に全ての人が適正さえ分かれば扱える神術とは違い、使えるようになるまでにかなりの努力が必要、それと適正のないものは効果があまりなかったりする。
闘気は武器に流すこともでき、強度や威力が上がる




