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人魔戦線  作者: ちゅういち
序章-始まりの物語

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2/5

初めての狩り

読んでいただきありがとうございます!

誤字脱字等あれば教えていただけると嬉しいです!

「お〜い。そろそろ行くからな、準備しとけよ」

「うん。わかってるよ父ちゃん。」


あれから数年が経過して、僕もあと半年で10歳である。


今日は訓練の一貫として父と近くの森に狩りをしに行く。


両親に騎士になりたいということを話した時はそれはもう大反対を食らった。


僕は捨て子だったこともあり、自分の適正神術が分からず、神術を扱うことができない。

故に剣技1本で進んでいかなければならず、あまりに危険だ、という正論すぎる理由だった。


父は2年ほど在籍していたようだが、他校との交流戦や実地訓練で周りとの差を感じたこと、そして何より命の危険を感じたことで退学したようだ。

だからこそより反対したのだろう。

それでも僕は騎士の道を進みたいと言った。


そこで父は以下の条件を出した。


1.文字の読み書きをできるようにすること

2.父から剣術を習うこと

3.闘気というものを扱えるようにすること


父曰く、人はみな神力を持っており、それを神術に使用したり、闘気というものに変えて身体に流すことができるらしい。


家系の神術さえ分かれば基本的に誰でも扱うことのできる神術とは違い、闘気を流すのは難しいとの事だ。


基本的には騎士養成学校の2年次に習うことだそうだが、僕は捨て子故に生みの親と再開することがない限り神術はおそらく扱えない、だからこそ闘気を習得することが条件だそうだ。

読み書きはともかく闘気はまだ理解不能だ、できる気がしない。


今日はとりあえず、ある程度剣を扱うことはできるようになったから、実際に狩りをしてみようということだ。

この森にいるのはウサギやシカが基本だが、たまにイノシシやクマなどそこそこ危ない物もいるので、訓練には丁度いい、父も着いているし比較的安全だろう。


そうして山を2人で歩く。

 

「そういえば父ちゃんは風の家系なんだっけ?」


「ん?あぁ、俺もお前の母さんも風だな。といっても俺ができるのは風で壁をつくれるくらいだな。」


「十分凄いじゃん!でも騎士は辞めちゃったの?」


「俺は闘気をあまり上手く使えなかったからなぁ……精々ちょっと力強くなるくらいだ。

 それに壁作るだけで攻めれないんじゃあ魔物を相手にするのは厳しいぞ。」


「そっかぁ。父ちゃんはどうやって闘気を作ってるの?」


「それは…………っと、アトス、お前から見て前方少し左を見ろ。」


雑談をしていると父がとても真剣な雰囲気になった。

父の言った方角を見るとそこには自分と同じくらいの大きさの生き物がいた。


「あれはなに?見たことない気がする。」


「あれはイノシシだな、下手に近づくと突進されるから遠くから剣を投げるか弓で仕留めるんだ。」


イノシシはこちらをじーっと見ている。警戒しているのだろうか。

そこで父さんが僕の肩を叩きながら言った。


「アトス、お前があれを狩れ、俺はギリギリまで助けない。」


一言そう言い捨てて、父はイノシシに向かって石を投げる。イノシシの鼻にクリーンヒットした。

イノシシは雄叫びをあげながらこちらへ突進してくる。


「ぐぉ!!ぐぉぉおおおおおお!!!!」


「え……ってちょ?!なんでイノシシに石投げるの父ちゃん?!」


このまま突進されれば無事ではすまないだろう。

自分にはできると思っていたが、実際に生き物に命を脅かされる事への恐怖を感じ、背筋が震える。


いつもの訓練が所詮訓練だったことを思い知る。


そうしてイノシシが間合いに入った瞬間、剣を真っ直ぐ下ろす。


「やあああああああ!」

「ぐぉぉおおおお!」


両者が全力でぶつかった結果…………剣が弾き返された。


「ぐぁぁ!?ゴホッゴホッ」


両腕に激しい衝撃が走ったと思ったら、激しく吹っ飛ばされる。

持っていた剣が手のひらから弾かれ宙を舞う。


所詮はただの動物、父と打ち合いをしていた僕が剣を振れば倒せるだろうと、どこか楽観視していた。


それがどうだ、前方には頭から血を流しているものの大したダメージを負ってなさそうなイノシシ。

対してこちらは両腕は衝撃により思うように動かず、恐怖に身がすくみ、身を守る武器もない。


思わず僕は助けを求めようと父の方を見た。


「まだ動けないほどじゃないだろう。また突進してくるぞ?」


父はまだ助ける気はないらしい。どうすればいい……ここで諦めてしまえば騎士になど到底なれないだろう。だがもうどうしようも……


そこでふと、父が石を投げた時の事を思い出した。

おかしい、剣で血が流れるほどの傷を与えられることよりも、たかが石を投げられた時の方が痛かったのだろうか?これが闘気なのだろうか?


いや、父は僕になんとかさせようとした。つまり現時点で僕には扱えない闘気を使って解決するような訓練はしないだろう、しないと信じる。


衝撃で揺れる頭で必死に考える。


1.剣が当たった頭が硬かった。

2.石が当たったところが急所である。


いずれかだろう、ここまで来たら急所であることに賭けるしかない。

武器はない、こうなったら己の身しかない。


そう覚悟を決めていると、再びイノシシがこちらへ突進してくる。


「ぐぉぉおおおお!」


集中する、相手が自分の射程に入るまで、怖いが待つ……待つ……待つ……そしてイノシシが目の前まで来た瞬間、僕はイノシシの鼻に向かって拳を振り下ろした。


「おりゃああああ!!」

「ぐぉぉおおおお!!」

 

ゴン!という音と共に腹に大きな衝撃を食らう。あまりの衝撃に嘔吐する。

だが僕の拳が当たった手応えもあった。


そうして横たわりながら前を見ると、イノシシは先程よりも目を血走らせ、こちらに向かって突進を続けてきた。もう力は残っていないし詰みだろう。そう思い目を瞑ると……。


「よくやった。あとは俺がやる」


声の後にでかい衝撃音。まるで鉄の塊が壁に打ち付けられた時のような音がした。

恐らく先程言っていた父の風の壁だろう。


「こいつらは頭の皮膚が硬い。突き刺して殺すなら鼻が手っ取り早いが……横から首を切っても割と楽に仕留められるぞ。こうやってな」


そういうとイノシシは首と胴が切り離され、息絶えていた。

こうして僕は、改めて生き物を狩る大変さを理解した。


神術とは


人族は身体に流れる神力を使う事で、神術を扱うことができる。

人には適正神術が存在する。これは親からの遺伝で決まり、例外はない。


また、適正ではない神術は使用することができない。

例えば、水の適正者と風の適正者で子供を作った場合、どちらかの適性を引き継ぐ。

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