エピソード6
カチャ
ツゥーーー
結構すんなり引き抜くことができるな、
あれ、抜けきれない、
あーまだ先が抜けきれてないのか、
腰をくねり、右肩をより前に出して見る。
あっ四十肩とヘルニアが、、、
腰も肩も何ともなかった。
若返ったようだな。
なんて思っている頃にはその魚の化け物はすでに陸地に足を出していた、
え、脚あるよコイツ、、、
おっかねー、顔が怖い、目もいってるぜ。
その化け物が、ぐっと身体を沈めた。
「グァッ!」
来た。
速っ――
巨大な身体からは想像もできない勢いで、地面を蹴る。
でも。
やっぱり。
遅い。
いや、違う。
見える。
大口を開ける。
前脚が地面から離れる。
牙の間から飛び散る水滴まで、一滴一滴はっきり見えた。
身体が勝手に動いた。
右手の剣を振る。
……軽い。
あまりにも軽い。
こんな長い鉄の塊を振ったことなんて――
あったっけ。
考える暇もなかった。
剣が化け物の顔へ向かう。
まずい。
これ――
当たる。
そう思った瞬間。
「ギャ――」
声は最後まで続かなかった。
何かを斬った感触が、
……ほとんどない。
振り抜いた勢いのまま身体が一回転する。
ガシャン!
慌てて踏ん張る。
危なっ。
転ぶところだった。
……。
…………。
何も来ない。
恐る恐る振り返る。
化け物は、さっきと同じ場所に立っていた。
口を大きく開けたまま。
黄色い目を見開いている。
「…………」
狼も。
「…………」
うさぎたちも。
みんな固まっている。
あれ?
外した?
そう思ったとき。
ずる。
化け物の上半分が、少し横へずれた。
ずるる……。
そして。
ぼとっ。
頭から胴にかけて斜めに切れた半身が、地面へ落ちた。
残った身体も一拍遅れて、
どしゃっ。
崩れ落ちる。
…………。
静かになった。
僕は剣を見る。
化け物を見る。
もう一度、剣を見る。
……。
いや。
怖っ。
俺じゃなくて。
この剣が。




