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首を括った先は、デュラハンでした。  作者: from_Uta
始まり

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21

「はい。アナタ、アーン♡」

涎が鎧につくまでのほんの僅かな瞬間、あるはずのない妄想で現実逃避してしまう。


ビチャッ、川の水なのか涎なのか分からない液体が鎧とぶつかる音で現実に戻される。


おーいかんいかん、

あまりに悍ましく現実を見るのを避けていたぞ。


さてどう処理するか。

①殴りで迎え撃つ

②鶴の棒で叩くか拘束?

③剣で串刺すか切りつける


穏便なのは②か、手元で蔓がイヤイヤと震える。

まー確かに滑りそうではある。

とすると①も綺麗には叩けないか?


③しかないとみて腰元に手をやる。


ギェェェー


もう落ちる、

突く暇はなさそうだ。


引っこ抜く勢いで上に横払いした。

チャキンッシュ


あまりの素早い動きに我ながら感動した。

フッまたつまらないものを切ってしまった…

怪魚?の身が二つに裂かれて落ちてくる。


決まったー

顔があったらニヤリ顔だったであろう。

ただし、この身体と剣は血を吸うので液体が落ちてこない。

ボトン、ボトン、

鈍い音だけの振動が響いた。

イヤイヤコイツらどんだけ重いんだよ。

本日の釣果。

怪魚、一匹。

……いや、二つか。

真っ二つになった怪魚を見下ろす。

相変わらず見事な切り口だ。

僕の剣、包丁にしたらさぞ優秀だろうな。

いや、まな板まで切りそうだから駄目か。

「クゥゥゥン……!」

おっと。

大狼が待ちきれない様子で身体を揺らしている。

はいはい。

お待たせしました。

どうぞ召し上がれ。


手のひらを向けて合図すると――

「ウォフッ!!」

がぶりっ!

おお。

食いついた。

大狼は怪魚の胴体へ顔を突っ込み、夢中で肉を引きちぎり始めた。

ばりっ。

ぐちゃっ。

ばきっ。

……。

うん。

食事中の犬って、こんなに迫力あったっけ。

二匹のうさぎは少し離れたところで草を食べている。

見慣れたのかな。

最初はあんなに怖がっていたのにね。

僕は剣を鞘へ戻した。

ちゃきん。

それにしても。

……。

あれ?

昨日もそうだったけど、血を吸った後の剣が妙に綺麗なんだよな。

刃こぼれもない。

錆もない。

最初に見たときより、なんだか艶が増している気がする。

……。

これ。

まさか。

育ってる?

いやいや。

剣が育つって何だよ。

ゲームじゃあるまいし。

…………。

でも。

魔法もある世界だからなぁ。

あり得なくもないのか。

大鹿さんに聞いてみよう。

そう思っていると。

「……グルル」

ん?

大狼が食事をやめていた。

まだ半分以上残っている。

どうした?

もうお腹いっぱい?

「グルルル……」

違う。

川の方を見ている。

耳を立て、背中の毛を逆立てていた。

……。

あれ。

また魚?

僕も水面へ視線を向ける。

静かだ。

さっきまで怪魚が暴れていたとは思えないほど。

でも。

よく見ると。

水面の下。

大きな影が動いている。

一つ。

二つ。

……。

三つ?

おいおい。

まだいるのかよ。

すると、さらに奥から。

ゆっくりと。

ひときわ大きな影が浮かび上がってきた。

…………。

でか。

さっきの魚が子どもに見える。

大狼が一歩後ずさった。

うさぎたちも僕の後ろへ隠れる。

……。

いや。

ちょっと待て。

僕、今ようやく昼飯を確保したところなんだけど。

水面に、巨大な二つの目が浮かんだ。

ぎょろり。

僕を見る。

…………。

僕も見る。

…………。

僕も見る。

…………。

……。

あの。

もしかして。

おかわり、いかがですか?

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