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小さく、小さく、ちいさく、
小く?大きいってなに?小さいって何だっけ?
訳がわからなくなってきたぞ。
とりあえず脇絞めてコンパクトにいくか、
ふっ、ん、
馬鹿者!
何かに剣が制される、
えー、剣は勢いを減速させるが完全には止められない。
ざばーん。
次は2本同時にいった。
何でだーーー。
「なぜ先ほどより増えておるのだ!」
いや、僕が聞きたいよ!
「小さくせよと言ったであろう!」
したよ!
脇も締めたし!
振りも小さくした!
ほら!
こんなにコンパクト!
肘を身体につけて、さっきの動きを再現してみせる。
大鹿は僕をしばらく見つめた。
「…………」
何だよ。
「お主」
うん。
「根本的に勘違いしておるぞ」
……え?
大鹿が例の蔓を一本伸ばす。
「我は剣の振りを小さくせよと言ったのではない」
えー。
じゃあ何を小さくするのよ。
「力だ」
だから、その力が分かんないんだって。
筋力?
魔力?
さっき力とは色々なものの総称って言ったじゃん。
どれだよ。
「……ふむ」
大鹿が少し考え込む。
やがて僕の方へ近づいてきた。
「では剣を置け」
また?
「よいから置け」
仕方なく剣を地面に置く。
「手を出せ」
右手を差し出す。
大鹿は僕の小手へ鼻先を近づけ――
「昨日、傷ついたこの者に触れたときのことを思い出せ」
視線の先。
折れ角のうさぎ。
「きゅ?」
昨日。
血だらけで。
ぐったりして。
息も絶え絶えで。
可哀想に。
痛いよね。
辛いよね。
そう思って――
背中へ手をかざした。
すると光が出た。
「そうだ」
え。
「今、少し出たぞ」
えっ?
手を見る。
何もない。
「消えた」
……。
分からん。
「もう一度だ」
えぇ……。
折れ角のうさぎを見る。
昨日の姿を思い出す。
傷だらけで。
角も折れて。
…………。
ほんのり。
小手の隙間から、淡い光が漏れた。
お。
おお!
これか!
「そうだ。それがお主の魔力――」
おおおおおお!
ぶわっ!!
「馬鹿者! 喜ぶな!」
光が一気に膨らんだ。
妖精たちの髪や服が、ぶわっとなびく。
うさぎたちの毛も逆立つ。
「きゅぅぅぅ!?」
ご、ごめん!
慌てて止めようとする。
消えろ消えろ!
…………。
すっ。
消えた。
「…………」
お。
消せた。
大鹿も少しだけ目を見開いている。
「……なるほど」
なに?
「お主、出すことより止める方が上手いのかもしれぬ」
へ?
「普通は逆だ。力を外へ出すことを覚え、それを増やし、ようやく制御を学ぶ」
ふむふむ。
「だがお主は既に、出す力だけなら有り余っておる」
……。
なんか嫌な予感がする。
「つまり今のお主に必要なのは――」
大鹿が地面の剣を見る。
そして例の蔓を見る。
最後に僕を見る。
「強くなることではない」
一拍。
「弱くなることだ。」
…………。
弱くなる修行。
なんだそれ。
めちゃくちゃ地味じゃない?




