↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
首を括った先は、デュラハンでした。  作者: from_Uta
始まり

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
10/26

10

気づくと僕は電車に揺られていた。


満員電車が嫌だからと少しサービス残業。

可愛い後輩たちもできた。少し今どきだけどね。

少し前から初任給が上がって10年近く先発の僕より給料がいいらしい。

まーそれで辞めないでいてくれるならそれでもいいさ。自分と後輩たちの今日の仕事の確認と明日のリマインドを終えて。


僕は会社を後にした。


車窓には、黒いガラスに反射した人影が流れている。


僕の顔も、その中にぼんやりと浮かんでいた。


疲れてるなー。


目の下には薄く隈。


髪も少し乱れている。


朝はもうちょっとマシだった気がする。


電車が駅に停まる。


扉が開くと、何人かが降りて、代わりに同じくらいの人が乗ってきた。


この時間でも結構いるんだな。


スマホを見る。


後輩からメッセージが来ていた。


『あ、やべ!忘れてた。先輩ありがとうございます!完全に忘れてた笑』


今どきだねー。


このタメ語と敬語の混合がこの子達の愛嬌に繋がるのかもな。


返事も仕事もちゃんとするしいいか。


『おー。明日よろしくね。今日はゆっくり休みなー』


送信。


すぐに既読がついた。


『先輩もですよ!』


……。


僕も、か。


画面を消す。


黒くなったスマホに、また自分の顔が映る。


そういえば。


今日は何時に帰れるんだろう。


帰ったらご飯を作って。


風呂に入って。


洗濯物……は明日でもいいか。


それから寝て。


朝になったら起きて。


また電車に乗る。


仕事をして。


後輩の面倒を見て。


自分の仕事をして。


誰かが忘れていたら思い出して。


誰かが困っていたら手伝って。


帰る。


それで。


また明日。


…………。


別に。


嫌いじゃない。


仕事も。


後輩たちも。


みんな良い奴だ。


だから、たぶん。


疲れているだけなんだろう。


『まもなく――』


車内アナウンスが聞こえる。


いつもの駅だ。


立ち上がる。


扉が開いた。


人の流れに混ざってホームへ降りる。


階段を上がって、改札を抜ける。


夜風が頬に触れた。


ああ。


気持ちいい。


少しだけ立ち止まる。


風は好きだ。


昔から。


何も言わないし。


何も頼んでこない。


ただ吹いて。


熱くなった身体を冷まして。


それで、どこかへ行ってしまう。


……さて。


帰るか。


僕はいつもの道を歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。