↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
65/72

二十二話「砂漠に生きる者」.2


「ほっほぉ~、古代の発掘兵器(イニシエイト)! これはまた半端ないものと出会ったのぉ、ラムネラ」

「しかも魂の電子化による機械兵! なんとも恐ろしい古代の遺物なのかいね!」

「恐ろしいと言いながら嬉しそう……あ、やめ、そこはくすぐったく感じるんだ」


 自分の胸部に乗り込んだ老夫婦を摘まんで引き抜いたルガリは、吐けないため息をついてから降ろす。


「デリケートな部分なんだ。電子化脳に何かあったら、俺は死ぬ」

「うーん、もっと調べさせてほしいんだがなぁ」

「もう少しまともな整備室でもあればいいんだが」


 まともな整備室――というと、犬の民(ショロトリス)のお山が思い起こされる。あそこならば、この老夫婦の知的好奇心を満足させられるだけのデータや機材が揃っている。

 考古学者というより、古代技術研究者である二人は、現代の機械技術にも明るい。

 ならば、あの施設の全容解明だってできるのではないか。


「この砂漠に、その施設があるとでもいうのか?」

「確証があるわけではない。だが、いくつかの物的証拠から、可能性が高いことは判明している」

「この砂漠には、掘り出せばいくつかの発掘兵器(イニシエイト)が発見できる。むろんどれも機能停止、砂と熱にやられて動かすこともできんくらいだが、かつての文明のあった証拠だ」


 さらに言えば、ザハクの存在も気がかりだと言う


「ザハクが吐き出す黄金の水、あれが発掘された発掘兵器(イニシエイト)の機関部分から発見される。動かし続ける限り動くアンブロス・ジェネレーターと違って、こちらは完全に停止した状態で見つかっている。旧式のジェネレーターということか?」

「黄金の水が入ったジェネレーター……」

「アルマートゥスの残骸が多いから、ここは拠点だったのかそれとも廃棄場だったのか。判断はまだできないが、研究する価値のあるものが、砂の下にあるかもしれない。そういう意味では、この岩場は特に興味深い!」


 夫婦が指差したのは、この集落の中央にある岩場だ。そこから水が溢れ、この地を潤しオアシスを形成している。

 砂漠というのは、水がすぐに乾いてしまう。だが時には降った雨が川になったり、雪が降ったりすることもあるように、水が全く存在しないわけではない。特に遠くから流れてきた地下水が豊富な場合、砂漠には枯れない井戸が出来上がる。

 このオアシスは、そう言った地下水の上にあるのだろう。


「発掘作業ができていないが、明らかに人の手が加わった箇所があるのだ。この砂漠の地下には何かがあると、私たちの勘が囁いている!」

「そこにやってきた発掘兵器(イニシエイト)本人! ここに何かあると知っていて来たわけではないのだろうが、もしかしたら何か反応があるかもしれないだろう」


 鳥の民(ハルピウス)の集落にルガリがいたように、犬の民(ショロトリス)の集落が整備場の隣にあったように、この場所も何か古代の技術に関連があるかもしれない。


 ――そもそも、なぜ古代施設のある場所に原住民(プリミティ)たちがいるのか。


「協力してほしい! この集落全体の調査を、その機械の体で!」

「落ち着きなよ、トモロじいさん。ルガリにだってやるべきことがあるんだ。こっちの都合ばっかり押し付けちゃだめだよ」


 ラムネラに抑えられて口をへの字に曲げる老人に、ルガリはむしろ好印象を感じる。自分の欲求にまっすぐで嘘がない。

 自分を電子化兵にした研究者たちとは、同じとは思えなかった。


「獣士同盟軍(ディーラバンダログ)だったか? 大変そうだねぇ」

「人間と原住民(プリミティ)の争い。俺たちには関係ねぇと言いたいが……な」

「この大陸にいる以上、巻き込まれないことはないさ。たとえこの砂漠でもね」

「なんだか、悪いことをしたみたいだな」


 彼女らは争いとは関係のない生活を築けていた。それを崩す要因が来ては欲しくなかっただろう。


「他の猫の民(バスティアン)に当たることにする。たとえ原住民(プリミティ)だとしても戦いを望まないヒトに、戦いを強いるのは支配と同じだ」

「まぁ、世を捨てたような私たちが、手を貸せることなんてほとんどないだろうから」


 せめて他の猫の民(バスティアン)の居場所の目星だけでも。そう言ったラムネラは、一枚紙を広げると。そこに線を書き加えていく。簡単な距離と方角だけがわかる地図だった。



少しでも気に入っていただけたら幸いです。




評価、感想、ブックマーク、どんなものでも大歓迎ですので、お気軽にどうぞ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。