十五話「舞い降りる凶兆」.1
報復部隊に合流したダニエル・フランクリンは首を傾げていた。
なぜ、こちらが出向く前に、すでに敵が視界にいるのか。
なぜ、見たこともないアルマートゥスが敵方に属しているのか。
なぜ、そこに恐怖を感じているのか。
「ルーサー、あれがお前の言っていた、発掘されたアルマートゥスだな」
「え、ええ。ですが、頭部こそ同じですが、形状が違う。色も同じようですが、あんなに鮮やかではなかった……脚部や腕部は新しいパーツのようです……」
「相手方にアルマートゥスの整備能力があるというのなら、他の貴族がすでにバックについていると思うか?」
「……いいえ、ならば単機で攻め手を打ってくることはないでしょう。敵は少数と侮った我々を、森の中で多数を持って迎え撃つのが上策です」
「だろうな。つまり、一機しかいない中で、こちらを相手取る算段があるということだ」
ダニエルとルーサーの考えは一致している。
ただ違うのは、自分たちが勝つと信じるダニエルと、負けるかもしれないと怯えるルーサーの、やる気の差だ。
「まあいいさ。整備不良の機体と戦っても詰まらないだろう。全機防衛陣形! 敵が突っ込んできてくれるなら、ありがたく迎え撃たせてもらうさ」
にやりと笑ったダニエルは、自らのアルマートゥスに乗り込む。
装飾華美に見える機体だが、それはあくまでペイントだけ。中身は最新鋭のものであり、機動力は通常機体より四割ほど向上するように、カスタマイズが施されている。
「お前ら! 敵がわざわざ突っ込んできてくれる。こいつらを一網打尽にして、捕虜を奪還するぞ! 奴ら獣どもに支配者が誰あるかをはっきりさせてやれ!」
ダニエルの言葉に、アルマートゥス部隊は歓声を上げる。
彼が率いる部隊の数は、人機混成部隊が率いる五体のアルマートゥスの、四倍。二十機に及ぶ機体数は、一個連隊と同等以上。
つまり、二千人以上の人間を撃滅できるだけの戦力があるということだ。
「この数の相手に対し、無策で突っ込んでくるとは思えないが。さて、どう来る?」
この状況を楽しんでいるダニエルに対し、ルーサーは冷や汗を流す。正面から現れた敵機は、ただ単に機体の表面を磨いたわけではない。
何か全く新しいパーツに置き換えられている相手は、本当に自分たちと同じアルマートゥスと考えていいのか。
「ダニエル様、来ます……」
彼らの正面、およそ三百メートル程度の距離に来た敵を見据えて、ルーサーは低く呟いた。
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