十三話「反撃の時」.3
「他の部族は、共生している者たちはいないのか?」
ルガリの疑問に、両種族は顔を見合わせた。
「んー、どうだっけ?」
「確か、東の大きな都では、種族関係ない共同生活が行われていたって聞いています。信仰するお山も湖もないからこそ、みんな種族をまとめた王についていたって」
「そうそう! 確か、獅の民ってやつが治めて……制圧されたんだよな」
その町は、大陸の中心地であったという。遠く離れた鳥の民や犬の民にはわからないことだが、種族関係ない平等と調和のとれた街で、王族たちによって見事に治められていた。
だが、巨大な力を持つ来訪者に抗うことはできず、敗北した。
「今では藩王国などという名で、一定の自治権を約束させられているそうですな。攻めてきた敵より裏切った同胞のほうが憎い――敵はその心理をよく理解しているようです」
「なら、その開放もまた、一つの目標だな。その街は、だいぶ離れているのか?」
「それがしが幼いころに聞いた話では、ここから我らの翼でも三日はかかるだろうと」
正確に測ったわけではないが、鳥の民は本物の鳥ほど長く飛べはしない。それでも地上を走るよりはるかに速く移動できる。障害物もなく、追い風に乗ればそれ以上。それが三日となると、大よそ三千km程離れていると考えていいだろう。
「遠くのことまではすぐに対処できない。まずは猫の民と話を付けに行こう。フェイジア、ナナワ、一緒に頼めるか」
「いつでも大丈夫です!」
「アタシも行けるぜ!」
「長、あなたには他の種族への連絡を」
「お任せあれ」
「犬の民のみんな、鳥の民のみんなと協力してここを守ってくれ。そしていつか、必ず君たちの集落も開放する」
「おう!」
だが、最大の問題の解決策は見つかっていない。
原住民たちにも扱えるアルマートゥスを。
確かにルガリという発掘兵器は強力だ。それ一機でできることはたかが知れている。
だから、各地を解放しながら遺跡を回り、その答えを探したいのだ。
真の意味で、彼らが独立できるように。
「伝令! 報復部隊に援軍が接近! 偵察部隊がことごとくやられたことで、痺れを切らした模様! 先頭にはフランクリンの家紋を付けたやつがいる!」
飛んできた鳥の民の言葉に、犬の民たちが色めき立つ。一方で数度襲撃を経験している鳥の民たちは冷静だ。
彼らの視線が、ルガリへ向く。
「鳥の民のみんなは罠の確認と、戦える者は一緒に来てくれ。犬の民のみんなは武装して待機。敵の数を把握しだい、倒せる敵を各個撃破してくれ。敵陣には、俺が突っ込む」
「承知!」
「任された!」
鳥の民の長が杖を前に差し出す。
応えるように、ナナワは自らの槍を重ねる。
そして、視線がルガリに向く。一瞬何をすればいいのかわからなかった彼に、フェイジアが耳打ちした。
そして、自分の人差し指を伸ばして重ねる。
「えい、えい、おう!」
低く、唸るような声の後、最期の声をはっきり告げる。
生きて戦い抜くこと。戦い勝つこと。勝利を伴に喜ぶこと。
三つの誓いを、この場にいる三者が誓った。
「行くぞ、この地に住まう者たち!」
ルガリの声に雄叫びを上げて、戦士たちは戦場へ向かう。
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