十三話「反撃の時」.1
「よし。そいつを運び込んだら完了だ。ゆっくり、ゆっくりだぞ」
「みなさーん、おつかれさまです。ご飯を食べて、ゆっくり休んでくださいね」
ナナワ、フェイジアが指揮する防衛柵構築は、原住民たちの驚異的身体能力も相まって、わずか三日程度で完成した。
鳥の民の集落を修復するときもそうだったが、彼らの建築能力と体力には目を見張るものがある。
そんな少女らの姿を、ルガリは長とともに眺めていた。
「フェイジアも、すっかり鳥の民たちのリーダー格になってきたな。ナナワの影響かな?」
「あの子はもともとしっかりした子ですからな。ルガリ様と過ごされて、自分が頑張らなくてはと考えたのかもしれません」
フランクリン婦人によって奴隷として連れて行かれそうになっていた少女は、自ら翼を広げて世界へと飛び立つことを選んだ。
ナナワという戦う同年代の少女と出会ったのが彼女にとっていい刺激になったのだろう。
「しかし、ひどいこともあるものですな。あのナナワという少女、幼少のころに顔を焼かれたとか」
「その傷があるからこそ、彼女は闘える。消えない傷を負った戦士は、手負いの獣よりなお凶暴だ。傷つけられるばかりだった君たちの怒り、人間にぶつけてやればいい」
「ええ。この足の分まで、存分に」
「ただし、逃げ回る奴らを笑ってやるんだ。死んで本望なんて、思わないでくれよ」
「もちろん、ひ孫と遊ぶ約束がありますからな」
ニカッと笑う長に、大丈夫だとルガリは思う。下手をしたら、この男はアンブロス・ジェネレーターでも抱えて敵陣へ突っ込みかねない。
アンブロス・ジェネレーターの爆発には強い衝撃と、外部から供給されるエネルギーが必要だ。
つまり、魂魄が生成する精神波だ。これが高度適正パイロットはアルマートゥスを通すことで神聖刻術として発動し、アンブロス・ジェネレーターを動かす誘発剤となる。
むろん、むき出しのジェネレーターをぶつけ合わせることでも爆発は起きる。そして周囲のジェネレーターに誘爆させれば、相応の巨大な一撃となりえるだろう。
「ルガリ様も、お体を新しくされたそうで。それがしの体も、そのように簡単であったらよかったのに」
「ははっ、やめておけ。きっと死ぬほど痛い目を見る」
その死ぬほどがあまり冗談に聞こえない。二人の間に奇妙な空気が流れる。
「おーいルガリ! 柵作りは終わったぜ。どうすんだ?」
「お疲れ様。それじゃあ、次に行くとするか」
空気を吹き飛ばす、カラッとしたナナワの声が響く。
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