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東西故郷物語 ~Memories of Hometown  作者: ミサゴ
第2章 東を背にして
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第017話 - 渡り鳥

○登場人物○


◆出雲サヤ(仮)♀ - 主人公。東側から闇バスで不法入国した高校生。京都で事故に巻き込まれ、玲子達に救出される。

◇出雲玲子♀ - 帰道際、事故に巻き込まれたサヤを救出した。偶然にもサヤと同い年。

◇出雲勲♂ - おじさん。玲子と陽三の父。妻の死後、2人の子供のために姫路で働いている。

―朝の首都「京都府」、そのとある高校。



あ~あ…あの東からきた「()()()」は何をしてるんだろう。


帰りの道中で、事故に巻き込まれてはいないだろうか。


西側の輩に捕まってしまって、牢屋に入れられてはいないだろうか。


―不安やなぁ…




 「…雲!……出…雲!」

―えっ?

どこか()()()()()()()()()()()()()が耳を通じて頭の中へと響き渡る。


 「こぉら出雲!お前、また寝てたんか!はよここ答えろ!」

教室に大きな怒号が響く。


そうだ、まだ授業中だったんだっけか。

 「は、はぁい!…えっと…」


 (ちょっと、これ今何ページ?)

隣席の友人に小声で()()()を求める。

 (…65ページ…サヤ、しっかりしいな…)

 (えへへ…おおきに…)


 「えぇっと、ここは~であるからにして―」


 「出雲、次居眠りしたら廊下に突き出すからな~!」

周りの数人がクスクスと笑う。

彼女は聞こえていても、聞き流して聞こえないふりをした。




窓の外、遠くに映る誇りの京都タワーが輝く。



サヤを見送ってから3日目。

私の心配性も災いして、1日中彼女の事が気になっていた。

いくら平日だったからって本当に一人で行かせて大丈夫だったのだろうか。

お金は足りていただろうか、携帯の充電はまだ残っている呑んだろうか。

玲子の妹の様な存在になったサヤの事を、こうしてずっと心配している。


―まるで、彼女の母の振る舞いの様に。



 「レーコ!自販行かん?」

 「う~ん、今日はいいや。」


昼休み、久しぶり(恐らく初めて)有人からの誘いも断って一人で昼食を済ませる。

スマホを開いて、通知を確認するが、メッセージは無い。

唯一のメッセージは、来年から中学生になる陽三からの「今日の着はんは何?」という少々抜かし過ぎなメールが一見届いているだけだった。

自分で作った弁当を、窓辺の空席で食べる。



こんな調子が午後も続き、いつの間にか授業も終わる。

彼女からの電話メールも「姫路に着きました」を最後に連絡を聞いていない。

調子の良くないまま、いつも通りの帰路に就く。

時間通りにやってくるバスに乗り、電車に乗る。

そして、近隣と比べても一層古く見える古い木造ドアを開ける。





姫路のおじさんの家。

おじさんは仕事が夜遅い分、朝も遅い。

日は既に上っていたが、カーテンが閉められて薄暗くなっている居間。

卓上に、一枚の薄っぺらい紙が置かれていた



―「おじさんへ、一晩だけだけどお世話になりました。少し早いですが、これから玲子さんの元へと帰ります。これからもこんな私をよろしくお願いします。」



おじさんが起きた頃。

()()()が居候していた部屋に、彼女の姿は無かった。



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