次回茶話会準備……はこの上なく慎重に豪華に行われる
「最っ悪の茶話会だったけれども、なんとか乗り切ったわね」
モイラ、ジュリナ、ケイティ達が参加した茶話会の翌日である。
公爵邸の居間のソファに座り、ヴィエラは向かいにいる主催者のマリアをそう労った。
「はい。カップケーキも幸いしたと思っています。大きめの菓子やクリームやメレンゲが沢山乗ったものでもなくて良かったです」
マリアの返答に、ヴィエラは何度も うなずいた。
「ミルフィーユやパイも当たって崩れていたら大惨事だったでしょうからね。そもそも食べ物は投げることは想定されていないものよ。
……ああ、酷いお茶会だったわ。あなたも紅茶、また冷めてしまっていたのでしょうね」
これには マリアは うなだれた。
「今回は茶話会中には私は一口もつけられませんでした。──それどころか、おかわりの継ぎ足しも配慮し損ねていました。私は主催者として……本当に未熟でした」
ヴィエラは落ち込む孫の嫁に優しい言葉をかける。
「今回は……特殊だったのよ、マリア。あれほどの緊張感を伴うお茶の時間なんてそうあるものではないわ。
だけど招待したからこそ あの3人は自らを吐露できたのだと思いますよ。あなたは勇気ある主催者だわ。
次はもう気心の知れた人達でも呼んで、お菓子とお茶を頂きましょう。
お茶の時間は和やかに、平和であっていいはずよ」
マリアは小さく うなずいて
「お義祖母様の気心の知れた方をお入れしました……」
とポケットから取り出した茶色の紙を広げて差し出した。
ヴィエラは眼鏡に手をかけてその見慣れた用紙を見つめた──少し驚いたのだ。
「はやいわね。もう次の茶話会の招待客リスト?」
マリアは再びうなずいて
「はやく準備しなくてはいけないと思ったんです。……最上級のメニュー、最上級の おもてなしが必要とされますから」
とボソボソと言っている。
招待客リストを手に取りヴィエラは凝視していたが──しばらく無言だった。
代わりにマリアがボソボソと言葉を続ける。
「その方達をちゃんと おもてなしできれば、私はまた自信がつくと思うのです。……主催者として……」
しかしヴィエラは頭を振った。
招待客リストを膝の上に置く。
「マリア、あなたは目標を高く設定しすぎだと思うわ。
この茶話会はある意味では……前回より緊張感は上よ。これは……個人が主催する茶話会では多分前例がないわ」
マリアは義祖母に頭を下げた。
「やらせて下さい!」
──ヴィエラはとても すぐに了承は出来なかった。
彼女は改めて そこにあるリストの名前達を見つめる。
そこにある名前は全て
現役・先代の “公爵夫人” 達 のものだった────
お読みいただきまして、どうもありがとうございました。
【第三回茶話会】は いつとは今は明記できませんが、予定できました際には活動報告でご連絡致します。
楽しみにお待ち頂ければ嬉しい限りです。
シロクマシロウ子




