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【第ニ回茶話会完結】セントルローズ公爵夫人の茶話会はいつも紅茶が冷めてしまいます  作者: シロクマシロウ子
第二回茶話会

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14/20

2杯目5口 ミセス・アーバンセーンの真実の姿

〜登場人物紹介〜

◇マリア……セントルローズ公爵夫人。お茶会主催者。

◇ヴィエラ……先々代セントルローズ公爵夫人。


─本日の招待客─

◆モイラ・ゾルテナ…… リレイア子爵夫人 。51才。夫のリレイア子爵は15才年下。

◆ ジュリナ・アーバンセーン……大富豪の妻で、本人も化粧品の企業を経営している。元侯爵夫人。

◆ケイティ・カトマンド…… ダレス男爵夫人。結婚4年目で24歳。眼鏡をかけている。

 



 外は青空で雲はあっても真っ白く──絵に描いたような晴天だった。

 だがセントルローズ公爵邸の応接室(ドローイングルーム)は暗く沈み、静寂に包まれていた。


 そんな中でジュリナは取り皿の上に置いてあった小さなフェアリーケーキを頬張(ほおば)った。──モイラに投げつけられてキャッチしたそれだ。


美味(おい)しいわ。甘さが(ひか)えめで」


 ジュリナの笑顔と言葉にハッとさせられ、マリアは慌てて皆にもケーキを勧める。


「どうぞお取り下さい。甘いのがお好きな方はバタフライケーキもお勧めです」


 モイラとケイティはバタフライケーキを選んだ。糖分を取りたいのだ。

 マリアは離れて座るヴィエラに顔を向けたが、91歳の義祖母は激しく首を振った──今日は喉を通らないのだろう。

 マリアも もはや何でもいい気持ちで、とりあえず自身の皿にフェアリーケーキを取って置いた。


 糖分が補給されて紅茶で流し込み、カモミールの香りに(いや)されると、勇気が出たのかケイティがジュリナに尋ねた。


「ドルツィア侯爵が亡くなってから……あなたはどうやってその……暮らしていたんですか?」


 みんながもぐもぐと口を動かしながら、ジュリナに注目する。


「婚姻契約に、私の財産の取り分はちゃんと明記されていたの。なまじ年齢差があったから、そう言うことはちゃんと話し合われていたみたい。私はそれで生きるのに必要なお金は突然手に入った。それで──」


「それで?」


 マリアが(うなが)した。


「地方の田舎の海岸にある こじんまりとした屋敷を買ったわ」


 その答えは、テーブルのジュリナ以外の女性達と、1人掛けソファのヴィエラを驚かせた。

 みんなの反応に気づいて、ジュリナは説明した。


「なんだか馬鹿らしくて……嫌になったのよ、貴族の世界が。デュアクレア公爵邸に戻ることはもう考えられなかったし、誰も私を知らない土地で……公爵令嬢でも侯爵夫人でもなく生きたかった──」


 その気持ちは察しがついた。マリアと同様に他の2人も うなずいていた。


「だけど若い娘が1人で生きるのって大変だったのよ。結局使用人は雇ったからお金があることはバレてしまうし。でも貴族ではないことになっているから……料理人や庭師の息子、郵便屋なんかにはよく求婚されたわ」


「それでどうしたの?」


 モイラはすぐさま食らいついた。


「恋はしたわ。彼らは思いやりがあって優しかった。私も……そう、愛したのよ。──()()()彼らとは別れた。いつも再婚まではいかなかったわ」


何故(なぜ)? 愛したなら 何故別れるの?」


 モイラは必死に問う。そこに探しているものがあるかのように。


「私は彼らを幸せに出来ないと分かったからよ。結婚して彼らを縛るのは申し訳なさすぎるもの」


 モイラは瞬きもせずに、ただそこにいる美しい女性(ひと)を見つめた──

 ジュリナもモイラを見つめて答えを返した。


「私は男性にベッドで()()()()()()()。どうしても無理だった」


 モイラが目を見開く。


「彼らは私を愛してくれていたから、それでもいいと言ったわ。一緒にいようと。

 私は一緒にはいてはいけないと思った。

 ────愛していたから」



 (まぶ)し過ぎない柔らかな陽光が差し込み

 室内を明るくする


 それに照らされたジュリナ・アーバンセーンの頬笑みは悲しく、だが確かな幸せを(たた)えていた。




 彼女は とても とても 美しく 見えた











──こんな静かにモヤッといい感じではセントルローズ公爵夫人の茶話会は決着しません!

次回はガチンコ第2試合!! 再び角を突き合わせて女達の衝突!!!!

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