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5 ハウス・オブ・ダイナマイト   キャスリン・ビグロー監督 Netflix作品

 



 急遽、書いてます。中東での戦争が始まった今、モニターの向こうを、ただ傍観者として他所事と見るには痛すぎる。少しでも何が起きようとしてるか感じ取るために、わたしなりの提案です。

 というわけで短い紹介になり、さらにはサブスク映画、という縛りはありますが、今こそ一番強く推したい作品『ハウス・オブ・ダイナマイト』。

 キャスリン・ビグロー家督で、過去作に『ハート・ロッカー』。イラク戦争での爆弾処理班を描いた映画で有名です。脚本はノア・オッペンハイム。代表作は『ジャッキー』。ケネディ大統領暗殺が起きて国葬の準備を進めるジャッキー夫人の慟哭と執念を非常に細かく描いたと話題になりました。

 この2人が携わる作品だから、それはもう緊迫感が半端ない。


 簡単にあらすじ。

 平和な1日が今日も始まった。ホワイトハウスには多くの人が働く。大統領も、軍人も含めてあらゆる政府関係者、警備のSPも、メディア関係者も、彼らを支える売店のスタッフも。最果ての米軍基地では、いつものように同僚と軽口を叩きながらも任務を行う軍人達。モニターに表示される映像は平和そのもの。のはずだった。

 突如、アメリカ本土に向かって弾道ミサイルが飛んできたと警告が表示される。シカゴに19分後に着弾予定と確認されると同時に人々は様々に動き出す。「訓練通りに落ち着いて!」と声を掛け合い対応しようとする軍人達。何処からのミサイルかを探り関係各国と慌ただしく連絡をとる軍人幹部達、政府関係者達。もどかしいほど事態は順調にいかない中、最終的な決断を大統領は下す。

 大都市シカゴ266万人の生命を守れるのか。アメリカ本土への攻撃からの世界への連鎖は始まるのか。19分間の怒涛の展開。


 てな感じですかね。

 現代の戦争というものが、どういうものか。これを忠実に写実的に、残酷さと恐ろしさを丁寧に描いてます。そこに血はない。千切れた腕も飛び出た内臓も潰れた眼球もない。けど、差し迫る血と煙の臭いにむせ返りそう。観る側の限界まで想像力に訴える展開で台詞1つ、視線1つ、見逃せない。スピードもある。昔流行った『72』ってリアルタイムドラマを少し思い出しました。でも、それより、ずっと現実的な分、怖い。ホントに怖い。

 人はそれぞれ立ち位置がある。1兵には、間違いなく手順を踏んでその指で押すボタンの重みが。大佐には、その行動と言葉で現場を鼓舞してリードする聡さが。政府幹部には、国民の命がのしかかる責任が。大統領には、世界の運命を決めるという事実が。日常からの場面転換で、その重さにのた打ち回る人々。それぞれが国家に忠誠をと、最善を尽くそうとする中、大切な人が頭によぎる。当然だ。人間だもの。忠誠を誓う立場の前に、誰もが誰かの大切な人だ。


 そう。そもそも、軍備は『大切な人』を守る為に持っている筈だった。なのに、何でこうなるのか。

 日本では銃の携帯は許されない。

 アメリカでは、成人なら銃の携帯は許される。

 守る為に銃を持つ。守る為に銃の携帯を禁ずる。

 この対比が、この映画を見終わってから何度も浮かぶ。どちらの言い分も分かる。痛いほど分かる。

 では、どうすればいいのか。

 理想では生きれないのは、重々承知。

 今回の中東の戦争は、近代史の歪みきった積み重ねと現代の覇権主義国家の暴走を止めようと暴走してるのも、承知。でも、なんとかならなかったのか。現場では、震える人々がいる。己の役割を果たそうと鼓舞して泣いている人がいる。

 今はニュースサイトから観る私達だけど、ソレは簡単に近くにやってくる現実だと感じていなければいけない。日本だって他人事ではない。ソレは、いつかの日本になるのだから。


 ただ、恐れながらも注視していくことで変えられる未来もあると信じている。

 だから、どうか、他人事と感じないように、理性と感覚を研ぎ澄ませて未来を読んでほしい。

 その助けに、この作品がなれば幸いです。

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