4 星を継ぐもの ジェイムズ・P・ホーガン 著
好きな映画のジャンルは、実はパニックものとかとか。小難しいものもいいけど、何も考えずに『ドッカーン』『バコーン』と慌てふためき逃げ惑う人々をスクリーンの向こう側から眺めるのも乙なものです。ホホホ。
あとSF! いやぁ、SFからしか得れない栄養ってのがあるのです。『未知との遭遇』での回転する宇宙船。そこでの謎の『ディストピア飯』(何か分からんペーストがべったりトレーに盛られたアレですよ。エヴァのシンジ君が食べてたアレですよ)とか。
『オブリビオン』の乗り物や住居の美しさ。ストーリーも良かったけど、トム・クルーズもかっこよかったけど、近未来的なデザインされた設定がね、堪らん。
『パッセンジャー』とかもいい。太陽系外惑星目指してる移民宇宙船がいい。宇宙船のデザインがねー、生活設定も萌えるわ。何故か白くてシンプルデザインなのは、先の技術を描いたSFに多いかな。それもいいのよー。
ここ最近気になるのは『プロジェクト・ヘイル・メアリー』。今年公開予定の映画だけど、『オデッセイ』の原作者が書いた小説の映画化だそうで。『オデッセイ』も良かったからね。また面白そう。こちらはすっごく未来じゃなくて、すぐ先の未来を感じられる作品。デザインが少しワチャワチャしてて、コードいっぱい。でも予告みるだけでSF的栄養はたっぷりで養分摂取してる。『コンタクト』も『メッセージ』も、少し先のSFデザイン。だから、また良いんですよ。話も凄く良いんだけどね。少し先のSFデザインは、現実って感じが残っていて、そこも萌えポイントなんですわ。
さて。映画や小説と、そんな数多にあるSF作品を語るなら、この作品を語らないわけにはいかない!
1980年に邦訳が出版された、ジェイムズ・P・ホーガンの処女作『星を継ぐもの』。今回は小説を語ります。この作品は映像化されてません。いや、出来ない。読めば分かる大人の事情。
ハードSF小説という分野でしょうね。ガッツリ、未来的な、理系な話をコッテコテに描いて、荒唐無稽とんでもない話を展開させていきます。日本にSFブームを作った『スター・ウォーズ』と同じ頃にヒットした有名な作品なので、知ってる方も読んでるかもですが、簡単にあらすじを。
インターネットが普及して、オンラインでの買い物もチケット購入も当たり前で、ちょっとお高いリゾートは月の観光……な近未来の地球。開発が進む月面で、真紅の宇宙服を着た人のミイラが発見される。所属不明の遺体が身に着けていた機器は、地球の技術より進んだものばかり。さらに年代測定の結果、遺体は5万年前のものと特定される。
5万年前に月にいた彼は何者なのか。何処から来たのか。何故、我々と瓜二つの身体なのか。
『チャーリー』と名付けられた遺体の謎を解くために、物理学者のヴィクター・ハントを中心とした学者達が集められる。彼らの知識からでた結果を重ね、繋げ、紡、謎を解いていくヴィクター。
5万年前の月に、一体何が起こったのか。そして、『チャーリー』は何処から来たのか。
人類の進化と地球生命の謎を解き明かす。
と、まぁ、こんな感じかな。
読んだ方、これで良いよね? ネタバレしてないよね? 怖いよー。
この作品はね、ホントに説明がムズカシイ。うっかり話してネタバレしたら申し訳ない! こんな面白い話を、どう説明すればいいんだよー。
作者はイギリスの方。コンピューターの営業マンだったそうです。1977年に一気にかきあげた作品。何となくカフェでコーヒー1杯で粘って執筆した『ハリポタ』のJ・K・ローリングを思い浮かべてしまう。歴史を変える本というのは、天から呈示が降ってくるんだろうか……凄いわ。
印象的なのは、冒頭からのヴィクターを中心とした動きから描かれる近未来の様子。執筆中もしくは構想を練った時は70年代でアポロの月探索時代。きっと夢ある未来技術が語られ出した頃なのかな。地球全体にネットワークが拡げられている社会のスピード感が描かれているのだけど、それは『現代社会』に非常に近いと思う。まさに『夢のような便利さ』。
そんな70年代から見たら作中に近い近未来に生きている私達だけど、作中より進化はしてない。月に旗立てたきりだ。(小惑星への往復と試料搾取という技術は得たし、太陽系外へ衛星は飛ばせたし、火星からの写真も太陽への接近観測もしたけれど)
もうちょっと、進化してるスピード感だったんだろうな。そんな大人ですら未来に夢を持ってた時代に考えられた話だというのが、読後にじわじわ染みる。今より、未来に夢と希望を強くはっきりと抱いて信じて書かれた話なんだろう。
だからか、話の展開が凄まじい。超ウルトラE技の連発。ちょっと間違えると陰謀論で終わってしまうノリだ。ネットの海には、似たような『陰謀論』がゴロゴロ転がっています。
でも、そこに説得力を持たせるハードSFの凄さよ。理詰めで固めて怒涛の展開を魅せていく。その勢いに、私は作者が未来へと夢を描くエネルギーを感じる。「空の向こうの宇宙に、こんなロマンがあったら素敵だろうな」と願うような憧れを感じる。
いつか宇宙へ行けたら。その先で何者かの存在に出会えたら。
まるで恋のような憧れ。
作中で熱情を持って描かれていく『チャーリー』の最期の時。科学により判明した事実と結果のみで巧みに『チャーリー』の生きた5万年前を解明して追っていくヴィクター。2人の時空を越えた物語の進行は、映画のように鮮明に迫力ある画像となって読者を揺さぶる。ヴィクターと共に、5万年前の出来事を追体験していく。文字で読んでいるのに映像となって襲いかかるのは鳥肌もの。
描かれた最期はとんでもなく『陰謀論』というかもしれない。でも、何も明らかになってない現代でこの話を『陰謀論』と笑うには不誠実だ。
SFとは『少し不思議な話』と藤子不二雄大先生達の言葉。
そう。コレでいいんだよ。
つい夜空を見上げて夢と希望を思い出す。そんな話。
今年は先に書いた『プロジェクト・ヘイル・メアリー』も公開されますしね。あと、話題の『ディスクロージャー・ディ』! あのスピルバーグ監督の最新作! 予告どころか情報が全く漏洩しない不気味さがヤバいですよ(通常、話題作であればあるほど、制作スタッフやら関係者から秘密は漏れるものなのですが、今作は全くない!)。翻訳すれは『開示の日』。
今年は元大統領が「宇宙人はいるよ。会ったことないけど」発言もありの、そこからの「漏洩しやがって! もう機密開示してやるー!」発言もありの(笑)。どーなってんだ最近の世界は! 何でもアリだわ。
さて何が開示されるのか。ネット皆さんが囁く予想通りに、これは『来たる日の為の予行練習』なのか。ムフフ。路傍のSFファンは激動の年になるのか楽しみです。




