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魔導士団長アンクの秘めごと  作者: くれは


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1-8 会議室での話

 あれから数日後。怪しまれることもなく、今日は朝から会議に出席している。


 例の灰ノ森の任務について。新人魔導士団員もいるってことで、軽い話し合い。


 完全にアンリ(わたし)だ。


「彼女は補助要員のようなものです。規模が大きいですから、5人よ6人と言う判断です」


 うん……ラウム副団長が進言したんだよね。

 新人にも経験をっていう。昔ならではの団長だったみたいだから。


 ノーと言えないかわいそうなアンク、わたし。

 まだ魔導士団長になってから半年ちょっとなんだけどなー……。


「それでは明日、予定通りに」


 ようやく解放されるー。


 本来なら魔導士団長と騎士団長2人で城を離れるのはありえないけど。魔導士団は元団長や副団長が多くいるから出来ることなんだよね。


 わたしも2時間、木の根みたいになっていた席を立った直後だった。


 よくあるワンシーンのようにバーン! と扉が開く。


 これは嫌な予感しかしないフラグだ……。


「会議中、誠に申し訳ございません! 至急、お伝えしたいことが」


 騒然とする中、隣にいた黒髪イケメンが立ち上がる。


「どうした」

「ハイ! 他国にて、『聖女』様の召喚を成功されたという一報が入りました!」

「聖女召喚……?」


 思わず素になっちゃった。


 いや、ルス団長すら動揺して目が見開かれてるし、大丈夫!


 でも、待って?


 聖女召喚ってことは……異世界転移⁉


 会議は終わってたから良いとして。そのあと、慌ただしくなってルス団長は1人で国王陛下のもとに行った。


 わたしは基本的に魔法関連のとき以外で国王陛下と話したりしない。


 まぁ、まだ魔導士団長になって半年ちょっとだしね?

 報告なんて1人で十分だから丸投げです……。


「もしも、わたしの持つ前世の記憶と同じ世界の人だったら……?」


 前世の記憶があると言っても、体験したことや記憶自体が他人事のようなもので、まったく実感はない。


 だけど、魔法と同じく興味がね……。だって、聖女召喚も『召喚魔法』でしょ?


 そっちはノータッチだったからなー。


「そういえば、召喚魔法って……無属性だよね?」


 しかも、異世界召喚。


 宿舎に戻ったわたしは早速、前世の記憶をまとめたノートを取り出す。


 異世界召喚で多いのは2つ。

 勇者召喚と、聖女召喚だ。


 どちらも大体、詳細は省かれている。1つ言えるのは膨大な魔力量と、多分魔法。しかも、呼び寄せられるのに帰せない。


「……謎多き魔法。わたしたちの世界にある召喚とは別物だなー」


 わたしたちの世界にある召喚は魔物を呼び出せる。

 契約するものと、そうじゃないものだったり色々あるんだけど、省こう。


「うーん……元々、頭が良いとは言えないわたし。妄想だけで生きてるからなー……」


 他の人が分からないのに、分かるはずもなかった。いや、それこそ魔法だ。


「……魔法はロマンだからね。知ってはいけない真実が隠されているんだよ」


 よし、カッコいいことを言ったところで。多分、また会議が始まる予感しかしない。


 この国では聖女召喚なんて出来るほど魔力量の多い人間も、魔法具だってない。


 だから、確実にあそこだ。


「シア帝国……」


 ノックの音がして扉を開けると、思ったとおり召集だった。


 再び会議室に集まったわたしたちは、国王陛下の言葉を述べるルス団長の話を聞く。


 詳しく調べたところ、国はやはり『シア帝国』だった。

 帝国って名前だけで凄いのは分かる。ただし、わたしの住むセフィド王国とは同盟じゃない。


 敵国でもないけど……大きいだけあって、他国からよく思われてないんだよね。


「聖女召喚も500年ぶりですか……帝国の動きは?」


 わたしの代わりに有能なラウム副団長が話を振ってくれる。


「今のところ静からしい。それが却って悍ましくもある」

「帝国はどの国とも関わりを持ちませんからね」


 そのとおり。謎多き国でもある。確か、今は女帝だったかな……?


 この国でもそうだけど、女ってだけで上に立つのは難しいし、わたしがアンクを生み出したキッカケでもある。


 女ってだけで騎士団は勿論、魔導士団にも入れないなんて……。狭い世の中だった。


 まぁ、気にしないのがわたしの良いところだけどね!

 前世の記憶で『ポジティブ』っていう言葉があって、素敵だなーって。だから、わたしもポジティブに努めてる!


「まぁ、シア帝国が聖女の力を貸してくれるはずもないからな。俺達は当初の予定通りだ」

「ええ、そう思います。ですが、情報は大事ですから引き続き宜しくお願いします」


 騎士団に所属している隠密部隊へ頼み、そのあと解散した。


 わたしは別館で湯浴みというお風呂に入りながら考える。


「……シア帝国に召喚された聖女様は大丈夫かなー」


 まぁ、女帝だし。聖女様は世界共通で王族みたいな扱いだから、心配する必要もないか。


「どんな世界から来たんだろう……」


 明日も早いのに、そんなことを考えて寝る時間が遅れたわたしは、翌日大遅刻するのだった。

王道という流行り要素は知る限り、手当たり次第入れ込んでいたりします。全ての伏線を今回だけで回収するかは、ごにょごにょです。

私が魔法オタクだったら自分なりの『異世界召喚』を作り上げようと四苦八苦してますね。

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