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魔導士団長アンクの秘めごと  作者: くれは


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1-7 成功した話

「ファクティス団長! 成功しました」

「なっ……まさか、穢れを封じたのか?」

「ええ、そのまさかです」


 よし! 第一段階は成功した。


 次は……魔力による穢れの検知!


「穢れ濃度……60、40……10、0……」

「成功したようです」


 歓喜する部下と違って、あのイケメンルス団長も呆けた顔をしている。


 カワイイ……。


 いやいや、イケメンはどんな顔をしていてもイケメンだからね⁉


「……ファクティス団長。これは、勲章ものじゃないか?」

「そうかもしれません。ですが、私は魔法の研究をして見つけただけですので」


 本当は魔法が大好きだから! とか言いたいけど、あの氷の人形って呼ばれる男がだよ? 仮面がボロボロに剥がれちゃう。


 口元を押さえる仕草もイケメンで最高……。

 まぁ、これで現状すぐに森を焼かなくていいかな?


「詳しい話は後ほど聞かせてもらう。封印はどの程度持つんだ?」


 さすが、ルス団長……頭が切れる。

 当然、魔法も万能じゃないからね。


「これは仮説の段階ですが、高度な封印魔法と別物なので一週間ほどかと思われます。ですので、最終的に森を焼くことに変わりありません」


 そう。聖女がいないわけで、封印魔法を唱えるのに魔法士団員を派遣するのは予算とか諸々かかるからね。


 なんせ、わたしたちは後衛職だし! 騎士団員も派遣しないと……。


「……そうか。分かった。陛下に伝えよう」


 そんなこんなで、わたしは無事にルス団長との初任務を終わらせた。



 仕事を終えて宿舎に戻ったわたしは早速アンリへバトンタッチする。

 これからお風呂タイムだからねー。さすがに、男性の裸はちょっと……。


 いや、アンクも美青年に作ったから肉体美とか「彫刻のようだ……」とかなるんだけど。犯罪でしょ。


 イケメンの私物化犯罪で捕まってしまう。


 分身だったアンリも既に宿舎に戻っていた。

 魔法士団員で紅一点のわたしは本来だったら相部屋のところ、当然1人部屋!


 アンクは団長になって一人部屋だけど。

 この世界にもお風呂があるんだけど……女湯は侍女さんや、使用人のいる別館まで行かないといけなくて面倒なんだよねー……。


 わたしは部屋を出て、外に繋がっている長い廊下を歩いていた。


「あー……個室にお風呂欲しいー」


 ちなみに団長と副団長室にはお風呂も完備されている太っ腹!


「……大声ではしたない娘だな」

「――え?」


 つい先程まで、どこかで聞いたような低温イケボ……。


 いやいや、此処……魔導士団の宿舎!

 なぜ、この方が……いるの?


「ひっ……!」


 紫水晶のような一重の瞳に睨まれる。いや、目つきが悪いだけ……。


「所要だ」


 すべてを見透かしている……。


「そ、そうなんですね……!」


 うん……。会話が持たないぞ?

 そっか……国王陛下に話って言ってたもんね。


 国王陛下がいる部屋は魔法士団の宿舎を通る。本来は城内とはいえ、別館に設置しているんだけど。賊が入ったときとか、緊急事態ですぐ駆けつけられるように魔法士団の宿舎は城内にあるの。


 騎士団は外。魔法は万能じゃないけど便利だからね。


「お前は女1人なのだから、気を引き締めろ」

「は、はい……! 気をつけます……失礼しました!」


 今のは心配してくれた……?

 

 ルス団長の後ろ姿を見送ったわたしは別館へ急ぐ。


 次の日。国王陛下から封印について聞かれて答え、1週間後に火魔法を使える魔導士団員を連れて灰ノ森へ行くことが決まった。


「いやいや……まさか、わたしも行くことになるなんて思わないよね?」


 まさかの分身と一緒。


 この世界では適正属性しか使えない。

 基本的に副団長クラスで2〜3。団長が3〜4かな?


 属性は『火、水、土、風、光』の5属性なんだけど。勿論、わたしは全て使える! アンクとしてのわたし。それは、敢えて隠してない。

 間違って使ってバレたら困るから。


 代わりに、アンリである本来のわたし自身は火と風にした。火は強くて簡単だし、風はめちゃくちゃ便利……。


 空を飛ぶのも風魔法が使えないと無理だからね!


「自分の浅はかな考えが憎い……」


 ふらふらした足取りで棲家の王立図書館へ向かう廊下の角。絶望していたわたしは感知魔法を怠っていた。


「わっ……」

「……わ? すまない。よそ見をしていた――ファクティス団長……」


 やっば!


 わって何? そんな可愛い声、男が使うものじゃないよ!


 あ、偏見でした……ごめんなさい。


 でも、うちのアンクはそんなこと言わないんです……。


「ああ、申し訳ございません。シャルール団長……私も感知魔法を怠っていました」


 乙女ゲームならフラグ建ってるー。わたしって建築士の才能あるかも?


 何かを考え込んでいるルス団長……怖い。約5センチ差の目線が痛いよー。


 早く王立図書館(オアシス)に帰らせてー。


「……いや、大丈夫ならいい。次の任務も宜しく頼む」

「はい。こちらこそ、宜しくお願い致します」


 去っていく後ろ姿を眺めて、心の中で盛大にため息を吐いた。

イケメンの私物化犯罪なんてあったら、何人もの作家さんが世の中から消えてしまいますね。

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