↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】魔導士団長アンクの秘めごと  作者: くれは


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/50

2-41 一難去ってまた一難の話

 数分の沈黙から再び周囲が静かになる。そして、精霊様の口から思いがけない言葉が出てきた。


「それは先ほども申しました。この世界を維持するため、間引きも私達の役割」

「それは……人間を排除すると、言うことですか」

「必要であるのなら。人間は知能を持っているだけあって、数も多く、争いの火種にもなり得る存在。故に、私達が手を下さない方法で幾度も間引いて来ました」


 それって……自然災害とかだよね。王都は海も近くにないし、山はあるけどそれなりに離れていて被害はない。だけど、各地では年に数回の被害報告がされている。


 わたしは思わず唾を飲み込んだ。


「人工魔石は人間を減らすことが可能でしょう。それと同時に、世界の生態を壊しかねない存在でした」

「人間を排除するよりも、世界の生態維持のため」

「はい。私達が創造した箱庭は唯一無二なので」


 精霊様にとって、わたしたちの住む世界は小さな箱なんだ……。


 不意に精霊様がお城の方を見る。精霊様にとってわたしたち人間は全員同じ……。人間の決めた貴族や王族も関係ない。

 魔法オタクなわたしでも、さすがにお城を狙われるのはまずい……。わたしたちに緊張が走る。だけど、精霊様の発した言葉は違った。


「貴方達2人を人間代表として認めます。まずは、私が取り零した人工魔石の排除をして、その力を示しなさい」

「え……? 精霊様が取りこぼした人工魔石って」

「まさか、あの男が生きているのか?」


 あの男って、人工魔石を生み出したオブセス最高責任者のこと⁉

 だけど、わたしも遺体を見てあれは紛れもなく死んでた……。


「精霊様、人工魔石を生み出した男は死んでいました」

「貴方達も取り零したようですね。人工魔石はなんのために生まれたのか」

「新種の魔物を生み出す魔法具……まさか」


 ルス団長の険しい表情でピンときた。

 精霊様がくれた答えを口に出そうとしたときだった。


 地面が沈み込んだように体が揺さぶられる。


「う……一体、何が」


 その直後、けたたましい音がして、緊急事態を知らせる魔法の発動を確認した。ほぼ同時に城から黒い煙が上がる。


 内部からわたしの防護壁が破壊される音も聞こえてきた。


「今度は私の防護壁を壊すほどの力みたいです……」


 オブセス最高責任者は自分の遺体も人工魔石の素材にしたんだ!


 人工魔石を生み出したのはきっと、自分の力を示したかったから。ずっと研究をしたかったみたいだし。新種の魔物を生み出したかったわけじゃないんだ。


「精霊様、申し訳ございませんが……」

「はい。貴方達の価値を私達(・)に示してください」

「行くぞ、ファクティス団長」

「はい」


 わたしたちは身体強化の魔法を使って全速力でお城へ向かった。


 お城の門は開かれていて、戦えない職員さんたちが逃げ出していた。


「オブセス・エルンストの遺体は、城の裏手にある遺体安置所だったな」

「はい。ですので、別館にいる者達が逃げ遅れている可能性があります」

「それなら、俺は奴の動きを封じる。貴方は避難の救助をしてくれ」

「分かりました。ご武運を」


 大丈夫……!


 ルス団長は鉱山で一体倒しているし、人間が媒介になった魔物だって楽勝だ。


 火の手が上がる城壁内で、わたしは言われるまま救助の支援に向かう。別館の出口にはやっぱり逃げ遅れた人達が多く、混乱しているのが見て取れた。だけど、入口側と違ってこっちは火の手もない。


「皆さん、落ち着いて下さい。騎士団員の指示に従って移動します」

「ああ……ファクティス団長!」

「ファクティス団長! 有難うございます。それでは皆さん、避難を再開します」


 2人の若い騎士団員がホッと胸を撫で下ろし、集団移動を開始する。

 避難も大事だけど、多分副団長は現場に向かったんだ。団長達が不在だからね……本当にごめんなさい!


 避難が順調に進んだことで、わたしも一言告げてルス団長のもとへ走る。きっとラウム副団長も一緒だ。


「そうだ。双子魔法のわたしは今どこにいるの?」


 一撃でも攻撃を受けたら消えちゃう……。


 いつの間にか火の手は消えていて、黒い煙も出ていなかった。わたしは走りながら双子魔法で分身の視覚を共有する。


 あっ……いた! 魔導士団員は集まって固まっているみたい。意識も共有すると、国王陛下や王族たちは安全な場所で避難していることが分かった。

 現場に辿り着いたわたしは目を疑った。人工魔石が素材にしたオブセス最高責任者の遺体は飲み込まれ、巨大な黒い塊が蠢いている。


「……黒竜よりも大きい」


 だけど、見た目は泥みたいで何か分からない。


 そのとき、危険を知らせる重低音の美声が飛んだ。


「――ファクティス団長!」

「え……?」


 向き直ったわたしの視界は黒一色だった。スローモーションに感じる時間の中、真横から伸びてきた長い腕。


 一瞬のことで分からなかった。だけど、わたしを包み込む黒い手袋が教えてくれる。そして、すぐにくぐもった声が聞こえてきた。

イケメンはどうしてイケメンな行動をするのでしょうか。

きっとそういう星の元に生まれたんでしょう。皆さんもアンリたちの応援よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。