表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔導士団長アンクの秘めごと  作者: くれは


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
31/32

1-30 王国調査部

 ルス団長が1回ノックする。すると、中の声が止んで扉が開いた。


「あ! みんなー! 久しぶりのお客さんだぞー!」


 顔を出したのは物語りに出てきそうな太陽のように明るいオレンジ頭。

 童顔に見えるベリーショートヘアの青年だった。


 男性にしては大きな瞳で、人懐っこい犬みたいな人だ。


「キャンキャンうるさいぞ、ファロス隊長」


 ほとんど表に出てこないけど、有名人でもある。


「えー! ヒドイなぁ。オレとルス団長の仲じゃん!」

「――その首、刎ねられたいようだな」


 ルス団長が本気で怒ってる……。それなのに、当のファロス隊長は笑ってるの強くないかな?


 彼は王国調査部の隊長さんでもある。

 部署的に人数が少なくて、小隊長みたいな扱いだから隊長呼びだ。


「えー! 眉間にシワを寄せるとせっかくの男前がただの仏頂面になるってー!」

「容赦ないですね」


 彼はルス団長の幼馴染みなんだって。性格はまったく正反対で、部外者のわたしは必死に笑うのを堪えてる。


 アンクと違った意味で、ルス団長の表情を変えられる人だ。


「あ! ご無沙汰ー! アンク団長も変わりない男前だねー! ルスとは毛色の違った」


 いつの間にか呼び捨てになってるし。ルス団長も怒りの拳を握りしめてるけど、ほぼ諦めてるなー。


 この人は話を聞かないからね。自分で納得して完結させちゃうタイプで有名だから。


「あれ? それにもう1人……2人と全然タイプ違うねー!」

「あっ……初めまして。魔導士団所属のアンリシール・ユウェールと申します。宜しくお願いします!」

「はい、宜しくね~。オレはファロス・ヒートって言うんだ! それで、3人は漸くオレの研究に興味が出て来てくれたわけか」


 研究……?


 ここは主に教会の調査する部署では?


 ルス団長も明らかに険しい表情をしている。あと、さっきから中の人たちが緊張したまま動かないんだけど……。大丈夫かな?


「お前は研究する部署にいないだろう」

「チッチッチ……。甘いなールスは! オレの研究はもちろん教会に関係することだよ! さあさあ、お立ち会い! なんとこのオレ、ファロス・ヒートが研究しているのは属性レリーフに、精霊様の魔力が浸透しているかを調べる代物さ!」

「えっ……? それって、教会で精霊様の啓示って属性を割り出す魔法具ですよね?」


 わたしは実際見たことがないけど。5属性を表す絵の書かれた丸いレリーフで、使える属性が光るんだって!


 見てみたいなー。


「その通り! その魔法具で本当に精霊サマの力が働いているのかを調べる研究だよ!」

「ハァ……なるほどな」


 あっ……。ルス団長も呆れながら納得した。


 わたしたちは中へ入れてもらうと、研究成果らしい長机に並べられた資料を見せられる。

 部屋は他の部署と変わりない。壁には複数の棚があって、所狭しと置かれた長机には資料が山盛りで、小さな窓がいくつもある。窓を開放しなくても暖かい日差しが入り込んできそうだ。

 

 お城の中庭が良く見える。


 ルス団長とのやり取りは日常茶飯事なのか、他の人たちも自分の仕事へ戻っていった。


「じゃじゃーん! どう? オレ頑張ってると思わないー?」

「それよりも成果は出たのか?」


 ルス団長……自分の仕事を終わらせたいから急かしてる。


 わたしは、前のめりになってファロス隊長へ詰め寄る貴重なルス団長を拝んだ。あっ……。ルス団長のがファロス隊長より少し身長低いんだ。


 そこも、推せる!


「仕方ないなー。結果としては、精霊サマの力だったよ!」

「そうか……なら、俺達の用件は精霊様の意思ということになるな」

「え? 何それー! 詳しく聞かせてよ!」


 不正はなかったわけね。


 つまり、ルス団長が説明しているとおり……火魔法を使えた男の子は精霊様によって属性を変えられたってこと?


 なんのために?


 属性魔法を司る精霊様が、本人の持つ属性を判別できないってこと?


 それに、精霊様の力って、どう判断してるの?


「精霊様とはいえ、彼らは1つの属性しか御身へ宿していないわけですし、単に見落としたのでしょうか」

「うーん、どうだろうねー。実際に顕現してる精霊サマは1人だし。その精霊サマすら、オレたちが勝手に『プリンシピオ』様って呼んでるから……なるほど。そうだよ!」


 あっ……また勝手に完結させた。


 だけど、今まで『属性が違った』なんて記録はないみたい。


 わたしたちが、この問題について思案しているときだった。急に、風が吹いたように髪がなびく。


「わっ」


 ノックもせず、大きく扉が開けられた。


「お話中、申し訳ございません! 至急、城の外へ!」

「何があった……いや、話は聞かなくても分かった」

「えっ……」


 嘘……。


 部屋の窓から――赤い……目⁉ よく見ると、さっきまで日が差し込んでいたはずの窓は夜みたいに暗くなっていた。


「ひっ……!」


 調査部の誰かが短い悲鳴を上げた。


 いや、暗いのは夜だからじゃない。黒くて硬い岩のような皮膚だ。きめ細かい鱗に、縦長の瞳孔。蛇や猫……特有の瞳は魔物にもいる。


 『竜だな』ふと頭の中で、以前任務の際に偶然見つけた足跡を見て、ルス団長が言っていた記憶を呼び覚ました。つまり、あれは……。


 ――黒竜だ!

新キャラ登場です。ちょっと変わったワンコ属性男はいかがでしょうか?

人の話を聞かないトラブルメイカーでもあるので、好き嫌いは分かれるかもしれませんが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ