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魔導士団長アンクの秘めごと  作者: くれは


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1-24 密談した話

 わたしは朝からアンクとしてルス団長に呼ばれて、昨日の話をした。一切表情を変えず、仮説が真実だったことで緊急会議をすることに。


「私の仮説は正しかったようなので、この場で説明をさせて頂きます」


 わたしはルス団長とも話し合ったことを副団長や、重鎮たちに話して聞かせた。ざわつく室内で今度はその光景を目の当たりにしたルス団長が話し出す。


「私が成長の魔法を使って実験しました。赤い魔石は息を吹き返したように周囲の無機物を取り込んでいき、岩の魔物へ変貌した」


 普段は俺なのに、重鎮がいる席だと『私』になるのも最高に良いよね……。


 ハッ!


 大事な席でなんて妄想を……。

 以前のわたしなら、そんなこと考えずに魔法のことばかり頭を巡っていたのに……。


 なんかおかしいな? と思いながら、話は進んで会議が終わる。


「ファクティス団長。少し話せるか」


 そそくさと自室に戻ろうって思ったところを捕まった。紫水晶のような熱い眼差しが痛い……。


「ええ、大丈夫です」


 ルス団長のあとを歩いて訪れたのは温室だった。わたしが王立図書館の次に大好きな場所だ。


 ルス団長は外部に聞こえない遮断魔法をかける。


 徹底していた。


「それで、話とはなんでしょうか」

「ああ……貴方が頼んだ彼女達のことだ。依頼の他に何か、言ってなかっただろうか」


 もしかして、暗闇が怖いこと?

 わたしは約束を破ったりしないよ! と言っても、アンクもわたしなんだけどね……。


「いえ、何も聞いていません。何か気掛かりでも?」

「いや……怖い思いをしていなかったのなら良いんだ」


 えっ……?

 

 待って。それって、そのまま受け取ると……わたしたちのことを心配してくれたの?

 疑ってごめんなさい……ルス団長!


 だけど、なんか胸の奥がムズムズする。


「そうですね。2人とも一般人でしたし、私の配慮が足りませんでした。けれど、シャルール団長のお陰で、精神的な問題はなさそうです」

「そ、そうか……なら良い」


 あれ? 今、照れた?


 可愛いを更新したよ! だけど、女のわたしが廃る……。


 いや、可愛い姿は好きな人だけにって言ったけど……。

 言ってなかったっけ。


 わたしたちの存在が外部に知られないよう配慮してくれたんだね。


 ルス団長は堅物剣聖じゃない! わたしが宣言する。


「彼女たちの心配をして下さり有難うございます。シャルール団長は、お優しいのですね」

「いや……そんなことは。しかし、貴方があのような仮説を立てていたなど思いもしなかった」

「実はもう1つの仮説もあるんです。ですが、今回は隠し部屋のような空間で発見したとの話だったので、私の考え過ぎだったようです」


 そう。もう1つの仮説は、()()()()だった。

 こうなると、鉱山に行っても仕方なかったけど。


 色んな魔法具が作られている現在なら、魔石も作れるかもしれない。


 だけど、それはいわゆる――()()だ。


「まさか、何者かが作ったと……」

「さすが、シャルール団長です。ええ、あり得ない話ではないかと思っております」


 だけど、そんなことを考える人物も、出来る人間は限られている。


 思い当たる人物は、1人だけいる。自分のやりたい研究が出来ないとボヤいていて、あるとき行方不明になった魔導士団を管理する最高責任者の男。


「オブセス・エルンスト。ラウム・エルンスト副団長の叔父にあたる方です」


 そう。まさかのラウム副団長の叔父様なんだよね。

 あの当時は、捜索隊も幅広くやったけど見つからなかったみたい。もう、5年前の話……。


 確か、ルス団長が騎士団長に就任したとき……?


 わたしは魔法学校で、魔法の知識を探求してた頃かな。


「当時は様々な噂が飛び交っていたな。自暴自棄になって、自死したなども」

「シャルール団長が、騎士団長になられて最初の任務だったのではないですか?」

「そうかもしれない。最後の目撃情報は確か……研究室」


 目撃者は食事を運んだ侍女らしい。確か、寿退社していたはず。


 でも、研究室か……。

 魔導士団が使っている工房(アトリエ)とは違うんだよね?


「それはどこにあるのですか?」

「ああ、実はこの真下だ。温室からは行けないが、地下室の一角にある」


 思ったよりも近くにあった。


 でも、研究室は一番初めに調べられただろうし、何も見つからなかったことはルス団長の顔から明らかだ。


 だけど、鉱山のようなこともあるし……。

 わたしが調べてみる価値はある。


「シャルール団長、このあとのご予定はございますか?」

「いや、特には。書類仕事くらいだ」


 さすがルス団長。


 わたしは胸を張って視線を向けた。

 ルス団長はキョトンとして視線が合うと逃げられる。


 この人……可愛すぎでは?


 わたしが男だったら食べられてるよ。


「御一緒して頂けますか?」


 視線をそらしたルス団長に、わたしは片手を差し出して微笑んだ。

普段は『俺』と言うイケメンが正式な場では『私』とか、変化するの良くないですか?

同志は私と握手(何回目)

そして、ちょっとだけアンリに変化が起き始めていますね。

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