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魔導士団長アンクの秘めごと  作者: くれは


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1-21 初鉱山の話

 一瞬だけ魔力の乱れを感じて振り返るわたしは、そのまま部屋に上がった。


「なーんか、妙なのに付け回されてるじゃなぁい。ブレブレだったし」

「うーん……お城からなんだよねぇ。だから、安全だとは思ってるんだけど」

「あら、そうなの? 王城ねぇ……どっちで出たの?」

「あー、アンクだよ。今日、休みだから」


 なぜか意味深な表情をするクロエは顎に手を置いて笑っている。


 まさか、正体が分かったの……?


 女の勘ってやつかな……。


「私も女なのに……」

「何を言ってるのよ? まぁ、害がないなら良いじゃない。それで? 今日来た目的は?」

「あっ! そうだった。実はわたしの仮説を証明したくて、鉱山に行きたいんだ」

「へぇ……詳細は聞かないけど、1人じゃ心配だからアタシに頼ったの?」


 わたしは満面の笑みを浮かべる。

 それを見たクロエはわたしの頭をくしゃくしゃに撫でた。


 クロエはルス団長より1つ年上だから、わたしとは10歳も離れていたりするんだよね。


 わたしもだけど、クロエも一人っ子だから、姉妹みたいな関係でもある。


「そんな顔されたら断れないじゃない。妹のために一肌脱ぎますか」

「わー! 有難う、クロエ! 大好き〜」


 わたしはまたクロエに抱きついた。


 クロエの準備を待って体感10分。わたしはなんとなく、アンリの方がいいと思って変身を解除して外に出るとコソコソ隠れている魔力を見つけた。ちなみに、アンリのわたしも非番だからとっくに寮内にいてもおかしくない時間だからね。


 それにしても、暇なのかな……。


 いや、わたしも休みなわけだから、きっとこの魔力もそうだよね。それから、わたしを見た瞬間魔力の揺れが激しくなったような……。同じ女はどこだって感じ?


 よしっ……。怪しまれないように影魔法で、部屋の中にいるよう演出して。


「もしかしなくても、鉱山の中までついてきたりするんじゃない?」

「えっ! それはさすがに……」


 鉱山と言っても魔物も出る。まぁ、小型から中型までで、騎士団員や魔導士団員なら軽く倒せるレベルだ。


 そして、どの鉱山にも駐在している騎士団員がいる。


 魔石は必要物資だし、採り過ぎないようにするためだ。あと、稀に子供が探検で入ろうとするから。


 大人なら誰でも入れるけど、万一のために名簿へ名前を書くのが義務付けられている。

 ちなみに、複数人なら1人でいい。魔導士団員であるわたしが書くべきかと思ったけど、今は変身して一般国民だし……って思ってたらクロエが前に出た。


「アタシが書いていいかしら?」

「お願いクロエ」


 鉱山は王都を出て道なりにいくとあるんだよね。

 王都は国王陛下が建てただけあって、海以外は全部ある。だから、海鮮は高級で中々食べられないんだけど……。


(じょ)……2人で大丈夫か?」

「あ、はい! 大丈夫です」

「氷と土魔法以外は禁止だから、宜しく」


 最後に注意事項を聞いてわたしたちは中へ入る。

 その際、外の騎士団員から怯えたような声がしたけど、気にせず進んでいった。


「此処は、ずっと前から鉱山として採掘されていて灯りがあるから良いわよね」

「うんうん。光魔法で明かりをつける必要がないからね」


 属性の中でも光魔法は少ない。その中でも、回復魔法使いはもっと少ないんだけど。


 もちろん――わたしは使えない。


 回復魔法以外なら使えるけどね。


 確か、ルス団長は……4属性が使えるんだっけ?

 もしも、光魔法が使えてなおかつ回復魔法を使えたら……。


「最強の魔法剣士だ」

「ちょっと……急にビックリするじゃない」

「あっ! ごめん……声に出てた?」


 ダダ漏れな魔法オタクの妄想が口から出てたらしい。


 でも、魔法剣士ってロマンがあっていいよねー。


 まぁ、わたしは魔法オタクなわけで……魔法オンリーで良いんだけど。


「騎士団員も異変を感じてなかったわね」

「うん……問題になってないってことは、不発かなー」


 わたしの仮説はこうだ。


 鉱山から採取出来る魔石が、なんらかの理由で穢れて新種の魔物を生み出すこと。


 つまり、魔石が魔物化する説!


「うーん……でも、わたしの仮説が正しいと、魔石が生きてる説になるんだよね……」

「それは突飛ね? 魔石が生きてるかぁ……素材で良く使うけど、本当なら怖いわね」

「あっ! それは大丈夫。詳しくは言えないけど、一部の変わった魔石だから」


 色が違うとか、赤いってことは秘匿だよね?


 わたしたちは中央まで歩いていき、鉱夫さんが休憩する広い場所の壁を調べる。


「ここらはもう採掘されてるでしょうねぇ」


 魔石も当然魔力を帯びているから、感知魔法を使ったら一発なんだよね。

 ただ、感知魔法も精度はあって、魔力量で範囲が決まる。


 だから、鉱夫を生業にしている人たちはある程度位置を決めて適当に掘り進めていくんだ。


「奥の方にはまだ魔力を感じるけどね。うーん……魔力の高さなのか、大きさなのかも分からないからなー」


 騎士団が見つけてきた赤い魔石は男性の拳ほどだった。

 鉱山には大きくても、その半分以下しか採れない。


 空気中の魔力が結晶化したものって言われてるから、質は魔物の方が良いんだよね。


「魔石が共食いでもしてくれたら良いんだけど」

「それこそ恐怖じゃない? まぁ、()()()()なんてのもいるけどぉ」

「――そうだよ! 岩の魔物。あれは動物が穢れて生まれたわけじゃない。魔石で動いてる」


 無機物が魔石で魔物化する例はあるんだから、魔石が魔物に変異する可能性も否定できない!

誰かに付けられているようです。お城からというのが、とても分かりやすいですね。

そして、とても勘の良いクロエは侮れない人物かもしれません。上も下も兄弟のいないアンリにとっては良いお姉さんです。え? お姉さんだって? クロエに殴られたい方はこちらまで。

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