12 それから
今回で一区切りとなります。
バレット王国はガネーシャ王国に勝利すると同時に、両国合同で『戦神の加護』を持つ王族の追放を確認したと発表した。
魔道大砲を失ったガネーシャ王国は軍事力を大きく落とすけれども、依然経済力は強大なままだった。
故に条約を実行したことへの評価、という名目でバレット王国へと経済援助を行うことで各国は合意した。
そして、ハリスとミリーは今、王宮の謁見の間に居た。
功を上げた報償を受け取るために。
関係者が揃い、静寂が訪れると、奥から国王がゆっくりと入ってきた。
これから行われるのは、先の戦争にて功績を挙げた者たちへの報償授与だ。
皆がうつむいたまま、国王が玉座に着くことをまつ。
そして国王が席に着き、式が始まった。
「まずは皆の者、此度の戦は大義であった」
国王は皆を見渡しながらねぎらいをかけた。
その後、宰相が国王に目録を渡そうと動き出すが、国王はそれを手で止めて、
「此度の戦、この場にはいないが第一功は聖女アレクサンドリアにある。だが、彼女は先の戦にて加護を失ってしまった。おそらくは、加護の使いすぎに加えて酷い重症を負ったことが原因だろう」
その言葉に、会場中の皆が息を呑み込んだ。
完全に静まりかえった中、国王は言葉を続けた。
「故に彼女からの希望に沿い、『聖女』の認定を解除し、地方の小さな修道院での暮らしを与えることとする。また皆の者と共に、彼女のこれまでの活躍に対して感謝の祈りを捧げようと思う」
そう言うと国王は姿勢を正し、左手を胸に当てて目を閉じた。
他の者も次々と、同じようにして祈りを捧げていった。
数秒だろうか、数分だろうか、長く長く感じる時間が過ぎた後、国王は改めて宰相に合図を出し、宰相は国王へと目録を渡すのであった。
そして、宰相より戦のあらましが発表されたあと、いよいよハリス達の番になった。
「ハリスよ、此度の働きは大義であった。そなた達が魔道大砲を破壊したことが決め手となった」
「ありがたきお言葉」
かつては親子だった二人。
しかしその面影は、ここには見えなかった。
「故に、辺境の開拓地に縛られること無く、王国内を自由に移動できる権利を授けよう」
「ははっ!」
それは実質の恩赦、少なくとも周りに居た人達はそう判断した。
「そしてミリーよ。そなたが居なければ、我が国は聖女アレクサンドリアを失っていた。大義である。ハリス同様、王国内を自由に移動できる権利を授けよう。加えて、先般の発言は取り消す」
「もったいなきお言葉です」
「また、聖女への治癒をきっかけに聖女としての加護が発動したとの報告がある。故にそなたを我が国の『聖女』に認定しよう」
その発言に、周りは大きく動揺した。
加護が後天的に授かるなど、ましてや祝福の儀式以外で授かることなど、これまで一度も無かったからだ。
「なに、あの時の光の強さを鑑みれば、そなたを疑う者などおりはすまい。胸を張りたまえ」
「ありがたき幸せでございます」
「これからの活躍を期待する」
「はい」
それから二人に続き、司令官始め他の者たちへの報償が言い渡されていった。
全ての式典が終了し、二人が解放されたのは完全に日が暮れたあとだった。
二人はひとまず王都の安い宿に泊まって疲れを取り、それから一度あの辺境の開拓地戻った後、各地を旅することにした。
翌日、二人は宿を出て旅馬車乗り場に向かうと、そこには荷物を提げた一人の侍女が佇んでいた。
二人は首をかしげながら彼女を眺めていると、侍女は二人の方へとやってきて、
「お初にお目に掛かります、シトラと申します。国王陛下からの命により、聖女ミリー様専属侍女としてお世話させて頂くことになりました。お二方、今後ともどうかよろしくお願い申し上げます」
綺麗な茶色に赤みが掛かった髪を揺らしながら、二人に向かって優雅にお辞儀をした。
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もう少しだけ続きます。




