続いてほしいと思った
Twitterにてレオとリクスの小話を載せました!活動報告にも報告しておりますので、よろしくお願いします。
なんで『また』なんて言ってしまったんだ
この前の王子との別れ際の言葉に絶賛後悔中のセリーヌ。あの時は嬉しくて頭がふわふわしてた。だから思わずポロッと言ってしまったんだ。友達に深く考えずに『またね』と言うのと同じみたいに。でもそれは少なからず『また会いたい』という気持ちがなければ出てこない言葉だ。
だっていつになくはしゃいで楽しかったのだ。
懐かしい、まるで幼い頃に戻ったみたいに。
そう視線を遠くした、その時。
「姉様」
呼ばれて、ちらりと見る。リクスがむすっとした膨れ面でこちらを見ていた。自分だけ家に置いてかれて少し不貞腐れてしまっているようだ。これは早急にご機嫌をとらなくては。その姿がなんだか子供みたいで(というか実際子供なのだが)、可愛らしい。可愛いたった一人の弟なのだ。かわいがって甘やかしたい。もうこの子が自分を狙ったり破滅に追いやったりするなんて考えられなくなっていた。
おいでとこちらへ呼んで、セリーヌの隣に座らせる。
「……領地はどうだった?」
表情は読み難くても、いじけているようなのはわかる。
「とてもいい所だったわ。王都に負けないくらい栄えてて活気のある街だった。それにね、海辺の街だから海産物が美味しくて!」
焼き魚の味を思い出して思わず笑顔になってしまう。ああ、あれもとても懐かしい味だった。庶民のグルメはやっぱりいいなあと思っていると横から声をかけられる。
「……王子と他にもアイツがいたって聞いた」
問い詰めるような眼差しを向けられ、一瞬言葉が詰まる。情報源は――レオか。いつの間に仲良くなったんだ?
「偶然会ったのよ……たまたま、ね」
「たまたまで知り合い二人も会うのかな。姉様友達少ないのに」
「う゛っ……」
痛い所を突かれる。義弟はなかなか毒舌だ。セリーヌだって思っているのに。
それでもあそこで出会ったのは本当に偶然なんだからしかたない。リクスは随分根に持っているようだ。セリーヌは柔らかく彼に微笑み、優しく頭を撫でる。
「今度一緒に行きましょうね。私もリクスを連れていきたいわ」
「今度は僕と二人で行ってくださいね」
「わかった。二人で行こう」
素直に撫でられながら、念押しする義弟が可愛い。姉馬鹿だろうか。でも仕方ない、見た目も行動も天使みたいなのだから。
すると我が侍従レオが王子の唐突な来訪を告げる。また、王子来たのか!? セリーヌが慌てて出迎えの準備をしようとするともうすぐに王子が部屋へ顔を覗かせた。セリーヌを見て、顔を和らげ、あの王子の笑顔ではない、優しい瞳を向ける。セリーヌもようこそとなんとか笑顔は返した。リクスは心底嫌そうな顔をしている。
「殿下。流石に連絡もなしに訪れるのは失礼なんじゃないんですか? こちらにも準備がありますし」
「そんなに堅苦しくさせたくないんだ。どうせ家族になる。僕の事も家族の一員としてくれたら嬉しいよ」
「はぁ?」
おいおいおい、ここで喧嘩しないで!
王子の言い草も一国の主になる者としてどうかと思うが、それへのリクスの態度もまずい。下手したら不敬罪で首切られるぞ。後ろで侍従は「そもそもまだ婚約してるだけですからね」と笑顔は浮かべながらも何か腹の中で蠢いていそうな顔で呟いている。セリーヌは頭を押さえる。ああ、そもそもあまり関わりたくはないというのに――
なんだかんだで避けるはずが仲良くなってしまった婚約者。姉様と慕ってついてきてくれるようになった義弟。忠義の固い、信頼のできる侍従。そして、悪態をつきながらも見守ってくれる義理堅い友人。
集まれば頭が痛い。でも、どこか嫌じゃない気持ちもあった。
今はまだ、このままでもいいかなと思うようになってしまったのは甘いだろうか。それでも、願わずにはいられない。どうかゲームの物語が、進まないでくれと。
知らない乙女ゲームの世界。これからも見えないフラグを掻い潜りながら、予想もできないバッドエンドを回避して、上手くやっていくことはできるだろうか。
転生してしまった公爵令嬢の奮闘は続く。
第一章【完】
これにて少し駆け足になりましたが、第一章は終了です。第二章からはガッツリめの恋愛要素となり、ようやく話の本筋へ向かいます。ついにゲームのヒロインが登場したり、他にも色々と訳のある人物が登場したりします。引き続き楽しんで読んでいただけたら幸いです!また、是非感想や応援頂けたら嬉しいです(*´ `*)




