表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
監査令嬢~仕事を減らしたいだけなのに、王国が勝手に改革されていきます~  作者: 涙目
第五章幕間アルフレッド①

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
82/180

第一話 面白くなりそうだ

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 異変は小さなところから始まる。


 政治というものは大抵そうだ。


 大きな事件が起きる時。

 最初から大きな音はしない。


 数字が一つ。

 報告が一つ。

 人事が一つ。


 そういうところから始まる。



 アルフレッドは書類を読んでいた。


 王城の一室。

 第二王子執務室。


「殿下」


 側近が入ってくる。


「報告です」


「どうぞ」


 アルフレッドは顔を上げない。

 書類を読みながら返事をする。


「宰相派の貴族達が活発化しております」


 少しだけ手が止まった。


「へー」


 珍しい話ではない。


 政治に派閥は付き物だ。

 今日もどこかで争っている。


 そういうものだった。


「具体的には」


「公爵家周辺への接触が増えております」


 そこで初めて顔を上げる。


 公爵家。

 アルフォード公爵家。


 王国最大級の勢力。


 そして。

 王太子妃予定のアメリア・フォン・アルフォードを抱える家。


「続けて」


「学園関係者への聞き取りも確認されています」


「学園」


 アルフレッドが目を細める。


 卒業式が近い。


 その時期に。

 わざわざ学園関係者へ接触する。


 少し不自然だった。


「対象は」


「生徒会関係者が中心です」


 沈黙。


 生徒会。

 アメリア。

 公爵家。


 線が一本繋がる。


(何か始まるな)


 アルフレッドは思う。

 だが口には出さない。


「監視継続」


「はっ」


 側近が頭を下げる。


「介入は?」


 アルフレッドは首を振った。


「不要」


 即答だった。


 情報が足りない。

 現状はただの違和感。

 動くには早い。


 側近が退室する。

 部屋に静寂が戻る。


 アルフレッドは椅子へ深く座った。

 窓の外を見る。


 王都。

 平和だった。

 少なくとも表面上は。


 ふと思い出す。

 銀髪の公爵令嬢を。


 アメリア・フォン・アルフォード。


 数回会った程度。

 会話も多くない。


 印象は一つ。


 変人。


 それだけだった。


 社交界では目立たない。

 権力欲も薄い。

 派閥にも興味がない。


 政治家としては理解しにくい人間だった。


 だが。

 宰相派がわざわざ動く理由があるとすれば。


 その中心にいるのは。

 おそらく彼女だ。


(さて)


 アルフレッドは机の上のペンを回す。


(何を始めるつもりだ)


 宰相が。


 あるいは。


 アメリアが。


 まだ分からない。

 何も。


 ただ一つだけ。

 確かなことがあった。


 王城の空気が変わり始めている。


 そしてそれは。

 偶然ではない。


 アルフレッドは窓の外へ視線を向ける。


 晴天だった。


 嵐の前というものは。

 大抵こんな空をしている。


 だから。

 第二王子は静かに笑った。


「面白くなりそうだ」


 誰にも聞こえない声だった。

お読み頂き、ありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ