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監査令嬢~仕事を減らしたいだけなのに、王国が勝手に改革されていきます~  作者: 涙目
第二章幕間クラウス①

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生徒会の議事録

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

王立学園生徒会

内部記録 第七号

記録者:生徒会長クラウス

件名:アメリア・フォン・アルフォードについて


四月

新入生についての報告。

今年も優秀な人材は多い。

中でも特に注目されているのは二名。

第一王子ルーカス殿下。

そして公爵令嬢アメリア・フォン・アルフォード嬢。

成績、実技、礼儀作法。

いずれも極めて優秀との評価。

王太子妃候補として不足はない。

現時点において、生徒会との直接的な接点はなし。


五月上旬

図書館利用者増加について。

特定時間帯に図書館窓際付近への生徒集中が確認される。

原因調査の結果、

アメリア嬢周辺へ学生が集まっていることを確認。

当初は派閥形成を懸念したが、

調査の結果、その可能性は低いと判断。

本人に派閥形成の意思は見られず、

相談や質疑応答が自然発生的に行われている模様。

本人は状況を理解していない様子である。


五月下旬

第一王子殿下の機嫌悪化について。

複数回確認。

原因は不明。

ただし発生時期は、

アメリア嬢の学内評価上昇と一致する。

直接的な因果関係は不明。

しかし殿下がアメリア嬢を強く意識していることは明らか。

本人達の関係改善の見込みは薄い。


九月

アメリア嬢、生徒会加入を希望。

理由。

「後学のため」

とのこと。

提出された学園祭改善案を確認。

内容は極めて優秀。

予算管理。

導線設計。

物資管理。

危機管理。

来年度継続運営案。

いずれも実用に耐える水準。

正直に記録するならば、

現役生徒会役員を上回っていた。


翌日。

加入試験実施。

剣術。

勉学。

会計。

情報分析。

全てにおいて合格。

特筆事項あり。

情報分析試験において、

我々が「問題への対応策」を検討したのに対し、

アメリア嬢は「問題そのものを発生させない制度設計」を提示。

思考の方向性が根本的に異なる。

この時点で加入を認める。


十一月

学園祭準備。

生徒会業務量が大幅に減少。

書類整理。

予算管理。

委員会調整。

進捗管理。

各種問題対応。

全ての処理速度が向上。

特筆すべきは本人の姿勢である。

功績を主張しない。

権限を求めない。

評価を求めない。

ただ作業を行う。

その結果として周囲の業務が改善されている。


十二月

学園祭終了。

成功。

過去最高水準。

来場者数増加。

予算黒字。

重大トラブルなし。

しかし公式報告書では、

主要功績者がルーカス殿下となっていた。

理由を確認したところ、

アメリア嬢は次のように回答。

「殿下の機嫌が良くなるのであれば問題ありませんわ」

記録者個人の意見としては理解不能。


以上

王立学園生徒会

会長 クラウス



追記・生徒会長所見

アメリア・フォン・アルフォードは極めて優秀である。

ただし本人は自身を優秀だと認識していない。

周囲から評価される理由も理解していない。

さらに、

本人は学園改革を目的としていない。

権力にも関心がない。

名誉にも関心がない。

王国への貢献を口にしたこともない。

では何を目的としているのか。

一年間観察した結果、

最も妥当と思われる結論を記す。


アメリア・フォン・アルフォードは、

ただ静かに勉強したいだけである。


もし彼女が望む静かな環境が存在するならば、

学園改革も、

生徒会改革も、

学園祭改革も、

おそらく発生しなかっただろう。


だが現実には発生した。

結果として学園は改善された。

生徒会も改善された。

殿下との関係も一時的に改善された。


本人だけが、

それを自分の功績だと認識していない。


以上。

お読み頂き、ありがとうございます。

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