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監査令嬢~仕事を減らしたいだけなのに、王国が勝手に改革されていきます~  作者: 涙目
第七章 外交問題編

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第九話 仕事ですので

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 事件は終わった。

 少なくとも世間的には。


 武装組織壊滅。

 黒幕逮捕。

 密輸ルート解体。

 関係者摘発。


 新聞は大騒ぎだった。

 外交官達も大騒ぎだった。

 軍も大騒ぎだった。


 そして。

 アメリアは忙しかった。


「局長」


「何かしら」


「報告書が終わりません」


 監査局職員が泣きそうだった。


「頑張ってくださいませ」


 アメリアは即答した。


「局長も書いてください」


「書いております」


 机の上。

 報告書の山。

 説明資料の山。

 証拠資料の山。


 事件は終わった。

 仕事は終わっていない。


 むしろ増えた。



◇東方連盟王都


 合同報告会。


 王国側。

 東方連盟側。

 軍。

 外務省。


 関係者全員が集まっていた。


 レイが資料を閉じる。


「これで事件は解決だ」


 拍手。


 各国代表が頷く。


 長かった。

 本当に長かった。


 武器横流し。

 資金洗浄。

 国境武装組織。


 全て終わった。


「アメリア」


 レイが声を掛ける。


「何でしょう」


「終わったな」


 一拍。


 アメリアは首を傾げた。


「終わっておりません」


 全員固まった。


 レイは天井を見上げる。


「まだあるのか」


「ございます」


 即答。


「資産没収処理」

「被害額算定」

「損害報告」

「再発防止策」

「内部監査」


 一つずつ数えていく。


 外務省職員達が青ざめる。


 レイが手で制した。


「もういい」


「左様ですか」


 少し残念そうだった。

 本当に少しだけ。


 周囲は震えた。


 この人は事件解決後が本番なのだ。



◇感謝式典


 翌日。

 東方連盟主催の感謝式典が開かれた。


 武装組織壊滅。

 両国関係改善。

 物流正常化。


 成果は大きい。


 当然。

 功績者も表彰される。


「レイナード王国、第二王子、アルフレッド・フォン・レイナード殿下」


 拍手。


「東方連盟代表、第三皇子、レイ・シェン殿下」


 拍手。


 そして。


「レイナード王国、監査局長、アメリア・フォン・アルフォード閣下」


 さらに大きな拍手。


 しかし。

 アメリアは少し困っていた。

挿絵(By みてみん)


「局長?」


「何かしら」


「嬉しくありませんか」


 監査局職員が聞く。


 アメリアは考える。

 本当に少しだけ。


「仕事ですので」


 即答だった。


 監査局職員達は諦めた。


 いつも通りである。



◇式典後


 アルフレッドが近付いてくる。


「助かった」


 珍しく素直だった。


「そうですか」


「そうですかではない」


 苦笑する。


「王国だけでは解決できなかった」


「そうかもしれませんわね」


「感謝している」


 一拍。


 アメリアは頷いた。


「仕事ですので」


 やはりそこに戻る。


 アルフレッドは笑った。


「お前らしいな」


 以前なら苛立っていたかもしれない。

 今は違う。


 だからこそ。

 アメリアも少しだけ評価していた。


 結果を出したからである。


 その後。

 レイも現れる。


「借りができたな」


「貸した覚えはございません」


「そう言うと思った」


 二人とも笑った。


 国際問題は終わった。


 密輸組織も消えた。

 武装組織も壊滅した。


 王国と東方連盟は感謝している。


 だが。

 アメリアだけは違った。


「帰国後の報告書が増えましたわね」


 監査局職員達が絶望した。


 局長はどこまでも局長だった。

お読み頂き、ありがとうございます。

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