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監査令嬢~仕事を減らしたいだけなのに、王国が勝手に改革されていきます~  作者: 涙目
第四章 留学生編

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終話 平和ですわね

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 アメリア・フォン・アルフォードは考えていた。

 本気で。

 真剣に。

 極めて真面目に。


 問題。


 東方皇子が自分へ話しかける。

 ↓

 交流時間が増える。

 ↓

 王太子が不機嫌になる。

 ↓

 絡まれる。

 ↓

 仕事が増える。


 よろしくない。

 非常によろしくない。


 特に最後が。


 アメリアは机へ向かったまま小さくため息をついた。


(解決しましょう)


 問題は放置すると増殖する。

 それは経験で学んでいる。


 公爵家でも。

 学園でも。

 生徒会でも。

 有害物質でも。


 同じだった。


 早期対応が重要である。


◇数日後


 図書館。

 アメリアは一冊のノートを広げていた。


 条件整理。

 東方皇子。

 年齢相応。

 社交好き。

 知的会話を好む。

 東方文化に理解がある相手を好む。


 家格も必要。

 語学力も必要。


 そして。

 暇すぎない人物。


 これ重要。

 非常に重要。


 暇だとまた自分へ来る。


 困る。

 本当に困る。


◇三日後


 生徒会室。


「また始まったな」


 副会長が呟く。


「始まりましたね」


 会計担当も頷く。


 机の上。

 大量の資料。

 令嬢名簿。

 家系図。

 成績表。

 交流実績。

 語学能力。

 地域研究。


「何をやっているんだ」


 剣術担当が聞く。

 生徒会長は即答した。


「問題解決だろう」


 全員納得した。


 その通りだった。

 アメリアはいつもこうだ。


 感情で動かない。


 原因を探し。

 対策を考え。

 解決する。


 今回はたまたま。


 東方皇子だっただけである。


◇一週間後


 お茶会。


 主催は伯爵令嬢セシリア。


 東方文化研究会所属。

 東方語習得済。

 交易にも詳しい。

 家格も十分。


 そして。

 優秀。


 アメリアの評価は高かった。


 つまり。

 紹介する。


 当然である。


「レイ殿下」


「何だ」


「ご紹介したい方が」


「ほう」


 レイは少し残念そうだった。

 最近のアメリアは妙に忙しい。

 話す時間も減っている。


「セシリア様です」


 伯爵令嬢が一礼する。


 完璧だった。

 実際かなり優秀な令嬢だった。


「初めまして」


「こちらこそ」


 会話が始まる。


 東方文化。

 交易史。

 民族音楽。

 建築様式。


 話が合う。

 非常に合う。


 アメリアは少し離れた場所で頷いた。


(よろしいですわね)


 仕事完了。


 そんな気分だった。


---


 一ヶ月後


 レイとセシリアはよく話すようになった。


 二ヶ月後。


 さらに仲良くなる。


 三ヶ月後。


 誰が見ても明らかだった。


「付き合い始めたらしい」


 副会長が言う。


「らしいですね」


 会計担当も頷く。


「成功だな」


 生徒会長が遠い目をする。


 成功だった。

 完璧に。

 恐ろしいほど。


◇一方

 ルーカスは安心していた。


 理由は分からない。

 だが安心していた。


 東方皇子は伯爵令嬢と行動している。

 最近アメリアとも話していない。


 良かった。

 本当に良かった。


 だから。

 再び。

 ミリアとの時間へ戻った。


 何事もなかったように。


◇そして

 アメリアは幸せだった。


 図書館。

 本。

 紅茶。

 静寂。


 東方皇子からの呼び出し無し。

 王太子からの文句無し。


 外交業務終了。


 素晴らしい。

 実に素晴らしい。


「平和ですわね」


 本心だった。


◇その頃。

 王城。


 宰相室。


「東方皇子と伯爵令嬢が交際を始めたそうです」


 部下の報告。

 宰相は沈黙した。


 机を指で叩く。

 一度。

 二度。

 三度。


「原因は」


「アメリア嬢です」


 再び沈黙。


 本来。

 東方皇子と王国王族。


 その関係は外交上非常に利用価値があった。


 様々な思惑もあった。


 だが。

 全部消えた。


 綺麗に。

 見事に。


「……余計なことを」


 小さく呟く。


 初めてだった。

 宰相が。

 アメリア・フォン・アルフォードを。

 障害と認識したのは。

お読み頂き、ありがとうございます。

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