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監査令嬢~仕事を減らしたいだけなのに、王国が勝手に改革されていきます~  作者: 涙目
第二章 学園入学編

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終話 静かで平和な学園生活ですわね

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 学園祭終了から一週間。

 生徒会室。

 珍しく仕事が早く終わっていた。


「……暇だな」


 副会長が呟く。


「暇ですね」


 会計担当も頷く。


 静かだった。

 信じられないくらい静かだった。


「去年もこんな感じだったか?」


 剣術担当が尋ねる。


「違うな」


 生徒会長が即答する。


「むしろ毎日揉めていた」


 予算。

 会場。

 委員会。

 出店。


 去年は地獄だった。


「今年は楽だったな」


「楽でしたね」


「驚くほど」


 沈黙。


 そして全員が同じ人物を思い浮かべる。


「……アメリア嬢か」


 誰も否定しなかった。


「正直」


 会計担当がため息を吐く。


「最初は気に入らなかった」


「だろうな」


「俺達に勝ったしな」


 剣術担当が苦笑する。


「今も納得してないぞ」


「お前は十五秒だからな」


「言うな」


 笑いが起きる。


 そして再び静かになる。


「だが」


 副会長が言った。


「アメリア嬢は何も要求しなかった」


 誰も反論できない。


 権限を求めない。

 役職を求めない。

 名声も求めない。


 ただ仕事をしていた。


 それだけ。


「何がしたかったんだろうな」


 会計担当が呟く。


「後学のためだろう」


 生徒会長が答える。


「本気でそう思うか?」


 一瞬だけ沈黙。


 そして。


生徒会長が呟く。


「多分だが」


 全員が顔を向ける。


「俺たちが思っている以上に」


 一拍。


「殿下に絡まれるのが嫌だったんだろうな」


 静まり返る。


 そして。


「あぁ……」


 最初に納得したのは会計担当だった。


「それだ」


「それだな」


「全部説明がつく」


 副会長も頷く。


「生徒会に入った理由も」


「学園祭改革も」


「全部殿下の功績にした理由も」


「全部繋がる」


 剣術担当が呆れたように笑う。


「王太子に絡まれたくないから」


「学園改革したのか」


「そうなるな」


「馬鹿だろ」


「馬鹿だな」


 全員笑う。


 だが。


 生徒会長だけは窓の外を見ながら呟いた。


「いや」


 全員が振り返る。


「もっと怖い」


「何がだ?」


「本人は多分」


 クラウスは苦笑した。


「自分が学園を変えたと思ってない」


 沈黙。


 誰も反論できなかった。


 あの少女なら本気でそう思っている。


 だから余計に厄介だった。


 欲がある人間なら分かる。

 野心がある人間も分かる。


 だが。


 面倒事を減らすために学園を立て直す人間は理解できなかった。


「来年も残ってほしかったな」


 副会長がぽつりと漏らす。


 その言葉に全員が頷いた。


 生徒会長だけが窓の外を見る。


「残るだろう」


「え?」


「もう遅い」


 全員が首を傾げる。


 生徒会長は苦笑した。


「気付いていないのは本人だけだ」


「?」


「来年困ったことが起きたら」


 一拍置く。


「お前達、真っ先にアメリア嬢の所へ行くだろう?」


 沈黙。


 数秒後。


「……行きますね」


「行くな」


「絶対行く」


 満場一致だった。


 窓の外では一年生達が帰宅している。


 その中にいるであろう銀髪の令嬢は。


 きっと今日も思っている。


『静かで平和な学園生活ですわね』


 と。


 生徒会全員は思った。


 いや、その平和、お前が作ったんだよ。

お読み頂き、ありがとうございます。

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