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【第四部完結】監査令嬢~仕事を減らしたいだけなのに、王国が勝手に改革されていきます~  作者: 涙目
第十三章 侵略編攻略

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幕間 アメリアは……

この物語は全てフィクションであり、実在する人物、事件とは一切関係ありません。

 戦争は終わった。

 その報告は夕刻には司令部へ届いていた。


 敵軍壊滅。

 敵国降伏。

 反乱領主制圧。

 完全勝利。


 誰もが笑っていた。


 将軍達も。

 文官達も。

 兵士達も。

 領民達も。


 公爵も安堵していた。


 長かった。


 本当に長かった。


 被害は出た。

 失われた命もある。


 だが。

 終わったのだ。


「実行部隊もまもなく帰還するそうです」


 臣下が報告する。

 公爵は小さく頷いた。


「ああ」


 そして立ち上がる。


「出迎えに行く」


 自然な行動だった。


 此度の最大功労者達だ。


 迎えるべきだろう。



 城門付近。


 遠く。


 帰還する一団が見えた。


「帰ってきたぞ!」


 歓声が上がる。


「終わった!」


「勝ったぞ!」


 領民達が沸く。


 兵士達も笑う。


 勝利だった。

 紛れもない勝利だった。


 だから。

 最初は気付かなかった。


 公爵は目を細める。


 実行部隊。


 近衛。

 騎士達。

 志願兵達。

 第二王子。


 そして。


 アメリア。


 探す。


 探す。


 探す。


 見つからない。


 公爵の表情が変わった。


 もう一度見る。


 見つからない。


 代わりに。


 目に入った。


 実行部隊の顔。


 誰も笑っていない。

 勝利した顔ではない。

 誰もが俯いている。


 第二王子も。

 近衛達も。


 その顔を見た瞬間。


 公爵は理解した。


 何かあった。


 心臓が嫌な音を立てる。


 気付けば走っていた。


「第二王子殿下!」


 皆が振り向く。


「アメリアは!」


 声が震える。


「アメリアはどうした!?」


 その叫びで。


 周囲も気付いた。 



 歓声が止まる。


 

 静寂。


 アルフレッドが顔を上げる。


 酷い顔だった。


 泣いている訳ではない。


 だが。


 泣きそうだった。


「……アメリアは……」


 続きが出ない。


 言葉にならない。

 

 公爵の顔から血の気が引く。


「そん……な……」


 膝が震える。


「アメリア……」


 崩れ落ちた。


 その姿に。


 誰も声を掛けられない。


 アルフレッドが拳を握る。


「申し訳……ありません……」


 絞り出すように言う。


「実行部隊に……裏切者が紛れていました」


 後方。

 騎士達が一人の男を引きずり出した。


 縄で縛られている。


 抵抗も出来ない。


 だが。


 その姿を見た瞬間。


 

 公爵は立ち上がった。


 


「貴様ァァァァァ!!」


 


 激怒。


 剣へ手が伸びる。


 今にも斬り殺しそうな勢いだった。


 臣下達が慌てて飛び付く。


「閣下!!」


「離せ!!」


「殺してはなりません!!」


「離せと言っているだろうが!!」


 誰も見た事のない姿だった。


 公爵は暴れる。


 怒り。


 悲しみ。


 後悔。


 全てが混ざり合っていた。


 

「アメリアを!」



「私の娘を!!」



 怒号が響く。


 だが。


 臣下達も離さない。


「閣下!!」


「他に裏切者がいるかもしれません!」


「情報を吐かせる方が先です!」


 静寂。


 公爵の身体から力が抜けた。


 剣から手が離れる。


 そして。


 ぽつりと呟いた。


「……護衛を増やそうなどと」


 誰も動けない。


「考えなければ……」


 誰も何も言えない。


「アメリアは……」


 言葉が続かない。


 数分後。


 臣下の一人が肩を貸した。


「閣下」


「少しお休み下さい」


 返事はない。


 公爵はただ立ち上がる。


 まるで。


 何かを失った老人のように。


 ゆっくりと。


 ゆっくりと。


 城へ戻っていく。



 周囲には勝利の声が残っている。


 戦争は終わった。


 国は救われた。


 誰もが喜んでいる。


 それなのに。


 公爵の心だけは。


 濁流と共に。


 川底へ沈んでいた。

お読み頂き、ありがとうございます。

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